フィアット850 逆転エンジン
フィット850スパイダーのドンガラを組んでほしいということで、
引き受けました、このお仕事。
おお、ホントにドンガラね。
どこかで途中までやって、その後放置されたプロジェクトらしく、
多少のパーツは、このボディーと一緒に付いてきましたが。
ぜんぜん足らないのでオーナーさんがパーツ取り車を購入。
とりあえず、足まわりを組んで、転がせる状態にした頃、
このプロジェクトに使用するというエンジンが届きました。
フィアット124のツインカム・・・・・・・・・。
オリジナルの850ccに対して、こいつは1600ccの模様。
元はフロントエンジンの124をリヤに積むということね。
こいつを850の車体に載せるには、ラジエターをフロントに移動することになります。
エンジンの脇には、オリジナルと違ってスペースががなくなるので。
んでもって、エンジンの回転を逆回転にしないと。
そのまま使うと、前進1速、バック4速、ってことになって、面白すぎるので。
こうなると、もはやカスタムワークですな。
足りないものもたくさん出てきます。
こんなプレートひとつにしても、鉄板から切り出し作らねば。
マフラーを作ったり、エンジンを搭載する方法をすったもんだと合わせたり、
おなじみの切った貼ったでございます。
そう簡単には、いかないよねぇ。
んで、なんとか収まったエンジンは、この車にゃずいぶんとデカイぞ。
エンジン回転は逆に、デスビとオイルポンプは元と同じ回転方向にセットアップです。
カムは、逆回転用です。
とりあえずは、逆に回るか、試したいので準備します。
ウォーターポンプも逆転してしまうので、電動ポンプをどこかにかますのが一番かな。
フロントラジエターにしたら水回す距離も長くなるしね。
まぁ、まだ水まわりはないけれど、水道水冷却にてエンジン始動。
ウォーターポンプは塞いでおいて、ヘッドのヒーターホース口から水道水を入れますと、
エンジンのウォータージャケットが水で満たされて、サーモスタットハウジングから
ジョボジョボと排水します。象さんの鼻みたいなホースを付けとくと、エンジンもぬれず、
そして、かわいらしい??
必要な電源をつないで、まずは火を入れずクランキングしてオイルプレッシャーが上がるのを確認。
逆方向のクランキングにはエンジン側から取り付けられたVW用のスターターを使います。
油圧も上がり、点火系にも電源を入れ、どうなるんじゃ、と思いつつ、エンジン始動。
おお、エンジンかっかった。
逆回転しましたね。
マフラーは、エンジンの下を通り、いさぎよくナナメ出し。
ぼぼぼぼぼぉーん、って言ってるね。
土曜日だったので、遊びに来ていた何人かのお客さんたちが見守る中、
エンジンも逆に回されてびっくりしたことでしょう。
ここまで終われば、あとは配線をちゃんと引いて、リヤドラムブレーキをディスクにして、
ブレーキラインを全部作り直せば、一応頼まれたとこは終わり。
その後は、ボディーショップで補強を入れつつ、ペイントの手直しなどするらしい。
まぁ、ウチで担当するところは、どうやら無事に片付きそうで、ホッとしましたね。
ん、その後、冷却系は作るのかな? それも頼まれたら考えればいいか。
まだまだ時間のかかりそうなプロジェクトだし。
しかし、すごい車になりそうだな、こりゃ。後ろが重いぞ。





