シェビー君、日本へ旅立つ
1951年式のシボレー・ピックアップトラックである。
我が家からクルマで1時間弱のポモナで年間8回ほど行われる、ポモナスワップミートというのがある。クルマ関係の大規模なフリーマーケットという感じ。
このポモナスワップミートにて、愛車を手に入れるべく日本からMさんご夫婦がはるばるやって来てくれた。遠いところ、ご苦労様です・・・・・。
Mさんとは、この少し前にEメールをいただいて知り合った。
古いアメリカのパネルバンまたはピックアップを探しているという事で、数ヶ月間、あれやこれやとメールを交換していた。
そのうち、ポモナの事が話題になり、可能なら渡米してポモナ行っちゃおうか、なんて話からいつの間にやら本当に渡米が決定、それじゃ、せっかくだから奥様も一緒に、という事にトントン拍子で決まったのだ。。
うーん、奥様が一緒じゃ、気に入ったクルマが見つかってもダメ出しがでる可能性も・・・なきにしもあらずんば虎児を得ず、意味よく分からず。
しかし、実は後に、我々は奥様に助けられる事になるのだが・・・。
Mさん到着の日、初めてお会いするのにメールでやり取りしていたせいか、初めてじゃないような不思議な気分。
ポモナは2日後なので、希望車種について煮詰めたり、個人売買の情報誌を買って研究したり、奥様の行きたい所に行ってみたり、時差ボケと戦ってみたり、あっさり負けてみたりしてるうちに、ポモナ当日。
出発は朝早い。
Mさんの借りているレンタカー、小さなシボレーに3人で乗ってフリーウェイをポモナ方面へ。
フリーウェイは空いているものの、フリーウェイをおりてからは、会場までノロノロ渋滞。
少々ヤキモキしながらもポモナスワップミートに到着。
さあ!!
と張り切りつつも冷静に、膨大な数のクルマを見てまわる。
これはダメ、
これもイマイチ、
これはいいけど、うわ、高い!
何て言いながら、歩き回る。
途中で奥様は、アンティークやオモチャも並んでいるパーツ、グッズのコーナーへ。
男2人となり、さらに歩き回るが、ツボにハマるクルマに出会えない。
翌日の月曜日はポモナで欲しいクルマを見つけられなかった場合の予備日としてあるが、1日じゃ個人売買のクルマ2台も見れば終わっちゃうだろう。
徐々に焦る2人・・・・・・。ここはさっきも通ったっけ?
そこへ、パーツ、オモチャを見て歩いてる奥様からオイラのケータイに電話が。
最近の日本のケイタイは、契約しとけばアメリカでも使えるのねん。
“なんか良く分からないけど、こんなのが欲しいんじゃないかな~ってクルマがこっちで売ってる・・・・・”
パーツの方は、もっと後で見ようと思ってたけど、奥様のところへ直行!!
しばし、奥様を探し・・・・・・
あ、いた!!
近づいていくと、“FOR SALE”サインの貼られたグレーのピックアップの荷台をガシッとつかみ、離すもんか状態の奥様が・・・・・。が、がんばっている。
オーナーさんは不在のようだが、奥様は、
“何人かに、あなたのクルマか?とか売り物か?って聞かれたから、ウチの主人のです、とか、今買ったとこです、とか答えといた。”
そ、そうですか。ツバつけとく攻撃ですね。
当のMさんも、
“いいなぁ~、コレ
”
って、昔のヤマハ・タウニーのCMみたいになってるので、オーナーさんが戻るのを待つことに。
その間にも、だいぶ多くの人たちが興味深く見てるので、買われちゃうんじゃないかと気が気じゃない。
やっと、オーナーさんが戻ってきて話を聞くも、予想どうり他にも何人かオーナーさんに群がり真剣に質問したり話をしている。
しばし、考えたMさん、
“これ、買お!!
”
・・・・・・というわけで、売買成立。
結果的に、奥様、大手柄でございますよ!!
手付金を渡し、同日の午後4時にロバートというオーナーさん宅にてクルマと書類を引き取り、残金を支払うことにきまり、スッキリした気分で、後はグッズなどをのんびり物色。
ポモナを離れ、郊外のオーナーさん宅に向かうが、こりゃ、結構遠い。
間単に書いてもらった地図を頼りに、程近くまで来ると、もう家など建っておらず、道とはいえないような道を進み、子供らがオフロードバイクでブンブン遊んでるような荒野に、ポツンと建つロバート宅に到着。
ガレージ前にクルマは用意されており、ガレージの中にはもう1台、同年式のパネルバンが。
奥の方には、でかいヘビがいたりして、少々ビビる。もとい、怖くて近づけん。
書類を確認、支払いも済ませ、少々世間話やクルマ談義をし、アスファルトの道に出るまで、ロバートが一緒に行ってくれるというので、まずは男3人が購入したピックアップと乗ってきたレンタカーで出発。しばらくしてロバートの奥さんが、Mさんの奥様を乗せてくるという。
奥様は、なにやら家の裏庭を見せてもらったりとかしてたらしい。鳥がいっぱい、飼われていたとか、なにやらすごかったらしい。
無事、奥様と合流しロバート夫妻とお別れし、帰路につく。自走して帰るのだ。
新しいクルマたちに混じって、注目を浴びながら走る、1951年式。
こうして長い1日が終わり、Mさんは、1951年式 シボレー ピックアップのオーナーとなった。
そして、お待たせしました、コレがMさんのシボレー!!。
前後フェンダーが、ビミョーにボディーより濃いツートン仕上げだが、明るさによっては一色に見える。
5ウインドウ、車高は低く、カッコ良い。
乾いた排気音のストレート6に4速マニュアル。シブイ・・・・・。
荷台の端には銃で撃たれた穴が!! 内装はこんな感じ。
・・・実は、スッテカーなのです。
Mさん夫妻が帰国してからのメールのやり取りで、いつの間にか“シェビー君”と言う呼び名が定着した。男なのね。
シェビー君は、我が家のガレージに保管、ウインカーの取り付けやマイナーな手直し、後でMさんが通販で購入したオートバイのパーツ類が揃うのを待ち、先日、55年間住みなれたアメリカを離れ、日本へ向けて旅立った。
こちらの都合などもあり、Mさんにはお待たせしてしまったけど、今は船の上、もうすぐ日本に着くはず。
優しいMさんは、自分だけでなくちゃんと奥様にも乗り物を1台プレゼント。
ほら、荷台には奥様のための、シュインの古いビーチクルーザーが。
コレは楽しみながら仕上げていく様子。
アメリカ人はこの手の車が好き。シェビー君も人気者だった。
ガレージを開けてたりすると、近所の人や、通行人が話しかけて来てシェビー君を見て行くし。
日本に送るのだというと、驚くけど、日本にもこういうクルマが好きな人たちがいるって事に関しては、うれしそう。こういう暖かいウケ方、いいなぁ。
シェビー君、日本でも人気者になって、愛されるといいな。




