カッコイイじいちゃん ドン | もぎたて!アメリカ暮らし。 

カッコイイじいちゃん ドン

ドンは、カリフォルニア生まれのじーちゃんである。

名前だけ聞くと犬みたいだけど。

今、70歳半ばくらいだ。


1951年以来、メルセデス・ベンツしか乗り継いでいないという、相当なMBZマニアである。

日頃のアシは、W126、560SECである。走行距離は、キロで言うと40万キロは超えている。これがドンいわく最後のメルセデスらしい。これ以降の車は“プラスチックカー”といって乗ろうとしない。

560に水をバシャバシャぶっかけて、路地の一番奥までユルユルとバックしていき、いきなりホイールスピンさせてフル加速、戻ってくると、

“いやー、乾いた、乾いた”

といって洗車を終えるドンは実はすごくコンディションの良いクラッシック・メルセデスを何台か所有している。

220カブリオレ、300SCサンルーフ、300SLガルウイング、それからタテ目のクーペやセダンなんかはジャンクを含め多数・・・・・・。


300SCは、1975年のぺブルビーチ・コンコースのウィナーである。タキシードなんか着ちゃって誇らしげな若いドンが写ってる写真を見せてもらったことがある。ちなみに、普段はきたないTーシャツにズッコケそうなGパンである。


ガルウイングは、数年前のカナダでのガルウイングミーティングに参加してきた。

てっきり陸送して自分は飛行機で飛んだのかと思いきや、

“走ってった。女房も乗せて。暑いからベリーパンは外しってったけど。”

へぇ~!驚いていると、

”走るんだから乗ってきゃいいことだろ?遠かったけどな、んでもってやっぱり暑かった。ははは。”

はははっていってもねえ。


ドンのガルウイングくらいのコンディションだと今のアメリカでの相場は40万ドルを越すよ。フリーウェイで石はね受けながら、虫へばりつけながら何日も走ったのね。

それよりも、70歳過ぎでカナダまで自走するとは、普通のクルマでもしんどいよ。

かっこいいぞ、ドン。

dongull

↑ドンのガルウイング



こんなドンじーちゃんが所有していたクルマのうち、何台かは現在日本に生息している。タテ目のクーペ、カブリオレ、280SLなど。


日本からクルマ探しに来たお客さんが、ポモナのスワップミートやその他、見てまわり、気に入ったものがなく、じゃ、面白いじーさんがいるから見に行きましょう、ということで訪問すると、なぜだかベンツなど予定していなかった人でも、すっかり気に入って買ってしまうのだ。


しかし、納車まで時間がかかる・・・・。

ドンはクルマは趣味なのでこだわる。

現状で十分すばらしい車なのに、

“はるばる日本から来てくれたのだから、恥ずかしいクルマは送れん!!”

“この、シートの小キズが気になる・・・・・・”

などとぼやいていた数日後、クルマを見に行くと、あらステキ、インテリアがなんにもありませーん、からっぽ。おまけにボディーのクロームトリムもないし。

“気になったから、シートは全部染め直して、クロームもやろうかと。エンジンまわりも・・・・・。

と、このように気が済むまでやってしまうので、納車に時間がかかるわけ。もちろん、追加料金はない。ドンがすべて面倒見てくれた、自分で納得するためだからと。


カブリオレにいたっては、ドンの奥様が大事に大事に過剰なほど大事に、21年間乗っていたクルマで、程度、雰囲気ともにすごく良かった。

これも一発で気に入っちゃったお客さんが譲ってもらうことになり、気に入ってもらえたことに満足げなドンと気持ちの良い商談成立。


その数日後・・・・ドンから電話が。

“あれは、ホントに女房がかわいがっていた車なんだ、21年も”

“知ってる、いい車ありがとう。きっと日本でも大切にしてくれるよ”


”・・・・・うんうん、そうなんだけど、実は、

売っちゃったなんて、こわくてとてもじゃないが女房に言えんのだ!!”。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。



奥様の許可なく売っちゃったのかぁ!!!


“笑顔でお客さんと握手してたじゃん~、どうする?”

“うんうん、わかってる、ちゃんと話すから。ちょっと聞いてもらいたかっただけ。”


その後、一週間ほどかけて、ドン、必死に奥様説得。

“お前も年だし、そろそろ新しいクルマに・・・・・”

”最新のメルセデスは、いいぞー”

(??プラスチックカーといって馬鹿にしていなかったかヽ(*'0'*)ツ)


という説得に、ついに奥様も応じたようで、ドンは明るく、

“いやー、女房が新車のコンバーチブル、気に入ってくれて良かった!また20年乗ってもらおう。しかし、とんだ出費になっちゃった・・・・。


何やってるんですか、ドンさん・・・・・。


そして、気持ちも晴れやかになったドンは、

“日本に送るんだから、ホロは新品にしてあげよう、そーだ、あれも、これも。がはははは。”

やっぱりまた、はじまっちゃったんである、病気が。


とは言うものの、このドンじーさんと、クラッシック・メルセデスの組み合わせは、とても素敵に見える。

何か、クルマだけでない不思議な魅力があって、日本のお客さんも欲しくなっちゃうんだろうな。


先日、ドンにあったら、ちょっと歩くと、息が苦しくてしんどいんだ、と言ってた。

おいおい、たのむよ、元気に長生きしてくれよ!!


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