戦車の分類(戦車工学~理論と設計の基礎~) | 軍曹!時間だ!…

戦車の分類(戦車工学~理論と設計の基礎~)

1・1・2 分 類

 今日まで、軍部内部においてもなお厳格な面も一般に認められている様な戦車の分類法は定まっていない。今日の戦車の分類は戦術上の特徴か、あるいは技術上の特徴により分類されている。あるいは最も多く採用されている方法ではこれら2つの特徴を混ぜてその中のいずれかを主におき、他を従とした様な分類をしている。戦車の戦術的分類には戦闘上の用途により偵察用、駆逐用、突撃用―突破戦車、随伴戦車、機動用または長距離用等がある。現在の戦車工学におけるこのような区分は技術上の特徴が明らかにされないばかりでなく、その戦車の様式に対する観念は更に得られないことは明らかである。

 現代の戦車は、その重量が1.5t~25tの範囲内にあるものは、何よりもまず第1に快速戦車であり、時にこれ以上の重量のものでもこの性質を持っている。この範囲の中でも軽量戦車は装軌状態で最高速度が平均45~50㎞/hで、重量戦車は最高速度が35~40㎞/hである。この事は地形によっては両者の運動中の平均速度は略同一(ほぼ同じ)であり、はなはだしい不整地を運動する場合には重い戦車の方がむしろ早くなるという事である。

 したがって現代の戦車は型式的用途は何であっても、その速度によって偵察用、駆逐用、近距離ならびに遠距離用の随伴戦車または突撃援護用戦車としてあらゆる戦闘状態に利用できるのである。

 戦車の重量は戦車の特性を表すものである。

 もし戦車の全重量が7tあるとすると、その戦車は大体において次のような戦術的-技術的特性を有する事を容易に想像することが出来る。すなわち最大速度は40~50km/h、装甲板の厚さ6ないし12mm(全面は最大15mm)武装は機関銃のみ2門か、あるいは機関銃1門と20mm以下の大口径自動銃1門、及び乗員2名で、さらにこのような戦車の発動機の馬力は120~150㏋、もしくはそれ以上でなくてはならない。

 重量による分類は次の様に区分できる。すなわち

 1) 小型戦車(豆戦車) 1.5t~3t

 2) 軽 戦 車      5~10t

 3) 中 戦 車      15~25t

 4) 重 戦 車     30~100t

5)   超重戦車(超強力戦車) 100t以上

6) 上記分類には夫々(それぞれ)次のような特殊戦車がある。―工兵用、連絡用、化学戦用、砲兵用、輜重用(補給部隊用)、衛生用等。

 水陸両用戦車、装輪装軌戦車等はそれぞれ別々の分類に入れずに、ただ基本型に対する独特な記載するにとどめ、例えば軽、装輪装軌、水陸両用戦車のごとく呼ばれる。