欧州最強戦車競技会(SETC2018)競技内容
さて、SETCではどのような競技を行うのだろう。
具体的に、これだ!!というものは確認できなかった。
画像の出所は不明なのだが、2017年の得点表(生点)を見ると12項目あるようだ。
今年のSETCを報じたウクライナ軍のホームページでも12項目としているし、内容もほぼ同様のようだ。
つまり以下のようになる
① OFFENSIVE OPS:攻撃戦闘行動(500点)
② DEFFENSIVE OPS:防御戦闘行動(500点)
③ CBRN/RECOVERY:特殊武器防護/回収(50点)
④ MEDEVAC/BDRA:医療搬送/応急修理(50点)
⑤ PRECISION DRIVING:精密操縦(時間点)
⑥ CALL FOR FIRE:射撃要求(700点)
⑦ VEHICLE ID:目標識別(50点)
⑧ RANGE DETERMINATION:距離の判定(50点)
⑨ PISTOL:拳銃射撃(命中・時間点)
⑩ REPORTING:敵状報告(50点)
⑪ OBSTACLE COURES:障害路走(時間点)
⑫ TANKER OLYMPICS:戦車乗員オリンピック(時間点)
1500点満点という事だが、点数だけで1950点ある。
生点表だから点数補正がかかるのかもしれないが細部は不明だ。
ちなみにSETC第1回目の時は攻撃行動(350点)と、防御行動(350点)に各50点の得点を持つ6個競技(合計300点)を加えた1000点満点だったようだ。
【OFFENSIVE OPS:攻撃戦闘行動】
本競技会のメインイベントといえる。
戦車小隊が横隊で攻撃を行う。
ウクライナ軍のSETCを報じたホームページでは各車10目標で10発のように書かれていた(自動翻訳)
小隊4両で40目標になるのでちょっと多すぎる。小隊で10目標、40発なのだろうか?
攻撃戦闘において行進間射撃を行うアメリカ戦車(M1A2SEPv.2)
【 DEFFENSIVE OPS:防御戦闘行動】
防御戦闘行動については情報が少なく良く分からない。
防御戦闘において稜線射撃を行うアメリカ戦車(M1A2SEPv.2)
【CBRN/RECOVERY:特殊武器防護/回収】
敵の化学剤(毒ガス)攻撃を受け走行不能になった戦車を回収
化学剤(黄色発煙で現示)のなかで回収作業を行うフランス兵
【MEDEVAC/BDRA:医療搬送/応急修理】
IED(簡易爆弾)により乗員が負傷、履帯が損傷
負傷した乗員をメディバックによる後送を図るとともに損傷履帯を修理する。
履帯を修理するポーランド小隊のレオパルト2A5
後方上空にはメディバックのヘリコプターが飛ぶ
紫の発煙はヘリに対する位置確認用だと思われる。
【PRECISION DRIVING:精密操縦】
指定されたコースを前進及び後退で進むようだ。
乗用車を高速で踏み潰すドイツ小隊のレオパルト2A6
なぜ、潰すパフォーマンスなのか不明
【CALL FOR FIRE:射撃要求】
「CALL FOR FIRE:コール・フォー・ファイア」は軍事用語で「射撃要求」のことだ。
通常は砲兵部隊に対する「射撃支援要求」なのだが、700点という点数もさることながら内容が良く分からない。
動画や写真等も、どれが「CALL FOR FIRE」に当たるものか確認できなかった。
【VEHICLE ID:目標識別】
調べた限りでは25種類の車両及び航空機を判別するようだ。
「VEHICLE」は「車両」と訳されることが多いが、この場合は「乗り物」のことで、陸海空全ての乗り物のことだ。
「ID」は「Identified」のことで「確認」とか「識別」。
【RANGE DETERMINATION:距離の判定】
レーザ測遠機が故障した際の射距離判定だ
目標は20秒間現出し、その間に距離を判定する。
【PISTOL:拳銃射撃】
3つの基本的な射撃姿勢と戦車上からの拳銃(短機関銃)の射撃だ。
各射撃位置には全速力で走って行かなくてはならない。
第1射撃位置に拳銃片手でダッシュするスウェーデン兵
【REPORTING:敵状報告】
いわゆる敵状偵察のことのようだ。
小隊長への各車の偵察結果報告がどれだけ正確か判定される。
【OBSTACLE COURES:障害路走】
戦車の障害走ではなく戦車乗員の障害路走である。
「戦車兵の俺たちが何故!!」という声が聞こえそうなハードなコースである。
障害には一人では越えられないようなものもあり、兵士相互の協力が不可欠だ。
【TANKER OLYMPICS:戦車乗員オリンピック】
戦車の部品をバトン代わりとしたリレーである。
①戦車砲弾+機関銃弾弾薬箱
②履板2枚
③転輪(一枚)
④けん引ロープ
どれも40㎏前後の品物である
スウェーデン小隊の女性乗員もけん引ロープを引きずって激走
この様にSETCは、戦車の性能と乗員の体力知力が伴わないと上位は狙えないのである。
「最強の戦車とは最強の戦車兵が乗る戦車である」