戦車のサスペンション(その8)ボギーの謎(語源) | 軍曹!時間だ!…

戦車のサスペンション(その8)ボギーの謎(語源)

沢山の書籍、マニュアル及びびweb情報で「ボギー」=「サスペンション」という一つの答えが導き出された。

これとは別に「何故ボギーと呼ぶようになったのか?」ということで語源に迫ってもみた。

ウィキペディア(日本語)では以下の通りだ(2017年7月6日)

 

ボギー

(Boggy, Boggie [bɒgi], Bogey, Bogie, Bogy [boʊgi, bʊgi] など)

  • ボギー (妖精) - 妖精の一種。
  • ゴルフ用語の一つ。規定の打数(パー)より1打多くホールインした場合の成績をさす
  • アメリカ空軍、アメリカ海軍における敵機の伝統的隠語。映画『トップガン』(アメリカ海軍)で敵機2機をトゥー・ボギー(ス)などと呼称した
  • 鉄道車両のボギー車、ボギー台車 (bogie)
  • ハンフリー・ボガートの愛称
戦車等の装軌車両に関連するものは「鉄道車両のボギー車、ボギー台車 (bogie)」ぐらいであろうか。
 

 

英語の意味は?

bogie

  1. 〔自動車〕 ボギー車.
  2. 2〔鉄道〕 (英国の)ボギー台車:台車中央の軸で機関車や客車に取り付けられ,車体に対して軸を中心に旋回する.
  3. 3((主に英))
  4. (1)(石材の運搬などに用いる)低い丈夫な四輪荷車.
  5. (2)トロッコ(truck). (また bogey,bogy)
「トロッコ」って「Truck」なんだ・・・・・
 
あれ?
 
 
>どこから「Tracks」が出てくるのか全くの謎である。
スペルが違ったよ。
履帯「Track」じゃなくて「Truck」だったよ。
カタカナで書けばどちらも「トラック」だからな。
「トラック(貨物自動車)」=「トロッコ」という事だな
 
混乱していたのは自分だったという・・・(T▽T;)
1942年発行のM3 中戦車のマニュアルにも・・
「trucks or suspensions.」
×「Tracks」
〇「Trucks」
 
詰まる所
「bogie」=「truck」=「suspension」
となるのか?
 
もういい加減にしてくれええええである。
 
さて、気になるのはwikiの最初の項目「妖精の一種」
 
ボギー「Bogey, Bogie」の語源
どうやら、妖精(幽霊、化け物)の「bog」のようだ。
アイルランドの妖精のようだが、ヨーロッパ各国に同様の存在がある。
不定形状もしくは形状不明の妖(あやかし)といえる存在のようである。
日本的には「幽霊」が近いのだろうか?
スラングで「酔っぱらい」の意味もあると言われる。
おそらく、「正体不明のフラフラする者」と言う意味であろう。
 
航空軍用語の「ボギー(Bogey)」

英語版wikipediaでは「目視もしくはレーダーに映る彼我不明機を表す隠語」とされている。
まさに、「正体不明のフラフラするモノ」
 
彼我不明機(U.F.O)は宇宙から来た以外は基本的に敵機だから
「ボギー=敵機」となろう。
第一次大戦中にイギリス空軍が敵機を表す隠語と言う説もある。
幽霊のようにフラフラする、又は正体不明の恐ろしい存在と言う意味と考えれば納得の命名と言える。
ただし日本語版wikiの「アメリカ海軍における敵機の伝統的隠語」は?だ。
 
ゴルフのボギー(Bogey)
 
最初、ボギーは基準打数のパーよりも一打多いことであることに注目た。
基準よりも打数が多いとホールをより多くフラフラ歩くから、酔っぱらいのような風体をブリティッシュジョークで「ボギー(酔っ払い)のようだ!」になったに違いない!!!
と思ったのだが、全く違った(/TДT)/
 
実は、もともとボギーは規定打数で回ることが出来る架空の対戦相手と言う設定であり、その打数で回れる架空の者を「ボギー(妖し)」と名付けたという。
当時は規定打数で回ることが非常に難しく、達成できたものに対して「Bogeyman(ブギーマン)」という称号を与えたという事だ。
日本語でも達成が不可能と思われることを成し遂げた者に対し、畏怖と称賛の意味で「化け物」「怪物」というのと同じだな。
 
まあ、今風だと「ネ申」
 
でも「BOGEY」の話で「BOGIE」じゃないじゃん。
「TRACK」と「TRUCK」も意味が違うぜよ!
 
Bogeyman (usually spelled boogeyman in the US; also spelled bogieman or boogie man 。)
スペルは違えど同語の様で
1944年発行の「日本軍ハンドブック」の戦車の項目の写真には
赤枠で囲ったようにBOGEY WHEEL」と記述してある。
もっとも本文では全て「BOGIE」だから誤植とも言える。
それよりも、青枠で囲った部分、「揺臂」だが、通常「ボギー」とされてるが
「TRANSVERSE EVEN LEVER」
と記載されている。「平均棒もしくは平均桿」でいいのかな?
消えたボギーである。
不定形なボギーである所以であろうか。
 
鉄道車両の「ボギー(Bogie)」
さて、鉄道車両用の台車の「ボギー(Bogie)」だが、このボギーの用法が一番古い様だ。
「ボギー」で通常「台車」を表すが、「転向台車」という体を良く表す用語もある。
サスペンション付きの車軸を囲む装置を「台車」とし、その上に車箱が乗る。
ボギーはその車箱(ボディ)に対し回転できるようにしたものである。
鉄道模型をいじってみれば一目瞭然だ。
ボディをつまんで振ってみれば台車がユラユラ動く。
実際にボギーを使用した列車の動きはちょっとユラユラした動きをするのでその動きから「ユラユラ、フラフラ」動く様から「ボギーの様だ」となったに違いない。
 
私はイギリス人だから分かります。
 
次回、ボギーの謎(最終章)