戦車のサスペンション(その5)ボギーの謎(アメリカ編)
いよいよ「ボギーの謎」も佳境である。
今回はサスペンションンの中でも今一つはっきりしなかった「ボギーとは?」の答えが分かるきっかけとなった米陸軍の教範を紹介する。
そもそもの疑問は「戦車のサスペンション(その4)ボギーの謎」で説明したボギーとM4中戦車やドイツの4号戦車のボギーって構造が違うけど何故ボギーと言うのだろうという疑問が沸いたためだ。
そこで、最も手に入るであろう米陸軍マニュアルに答えを求めたわけだ。
一般的に知られる米陸軍のマニュアルには「FM」と「TM」がある。
「FM」は「Feld Manual(フィールドマニュアル):野外教範」
「TM」は「Tecnical Manual(テクニカルマニュアル):技術教範」
わが国でFMに相当するものは各種「教範」であり、TMに相当するものは「MO:整備実施規定」になるだろう。
最初に手に入れたのは1943年1月発行
TM 9-731B MEDIUM TANK M4A2
「TM 9-731」の番号の後に「B」が付くので武器隊用教範であろう。
写真説明は
Frontispiece- 口絵
Medium Tank M4A2, with Rubber Tracks and First Type Suspensions
【訳】M4A2中戦車、ゴム履帯、初期型懸架装置付き
Figre2- 図2
Medium Tank M4A2, with Steel Tracks and second Type Suspensions
【訳】M4A2中戦車、鉄履帯、後継型懸架装置付き
ちなみに和訳だが、
Rubber Tracks(ラバートラック):ゴム履帯
Steel Tracks(スチールトラック):鉄履帯
※「Steel」の和訳は「鋼(こう)」なのだが、慣例により「鉄」と訳した。
First Type (ファーストタイプ)を「初期型」と訳したので
Second Type(セカンドタイプ)は「後継型」と訳した。
しかし、サスペンション(Suspensions)とは記述してあるが、ボギー(Bogie)の記述が無い。ボギーは何処に行った?
とりあえず、目次をチェック
赤枠内には
XX: Suspentions and Tracks
第20章:履帯懸架装置
ここだなp(^-^)q
第20章を開くと
ついに「Bogies」の文字が!!
そして参照ページの図を見てみたのだが・・・・
赤枠で囲ったところに
Figure113-Detail of Bogie Wheel
(図113-ボギー転輪の詳細)
と書かれてるだけで、どの図を見ても「BOGIE」の文字が無いのだ。
悶々してもう一度、履帯懸架装置の目次を見る。
!?(T▽T;)
答えが書いてあった。
黄枠に答えが書いてある。
a. Description and oparation.
「a. 説明と操作」
Six suspentions, or bogies,
「6個のサスペンション又はボギー」
ヾ(@°▽°@)ノ
サスペンション=ボギー
ところが、さらに調べていくと当時の米陸軍の混乱が分かってくるのである。
次回、ボギーの謎(混乱編)