戦車のサスペンション(その3)ボギーあんたの時代は良かった
ボギーがサスペンションの別名であるという事は良く分かってもらえたかと思う。
あ?
分からないって?
戦車黎明期において「ボギーはサスペンションの別名」として使用されていた。
という事なんだな。
根拠は米陸軍の各種教範だ。
1943年11月に発行された米陸軍野外教範(FM:Field Manual)である。
「識別画像集、装甲車両編」と訳せばよいだろうか。
「11.TRACTION」として足回りの識別方法が図解されているのだ。
「TRACTION」を和訳すると「駆動力」とか「静止摩擦力」とかの自動車関係の訳になるのだが、この場合は「接地する物」と言うような意味合いの様であり、タイヤなのか履帯、転輪数などの外見の事のようである。
したがって「TRACTION:走行装置」と訳すことにする。
この図を見て車種が分かる貴君はかなりの戦車通だ。
【解説】
米国製M3/5軽戦車系の走行装置
「BOGIE」
ドイツ製Sdkfz250系の走行装置と思われる。
ドイツ製ハーフトラックの走行装置
注目はサスペンションの説明だ
「OVERLAPPING BOGIE WHEELS」
「重複ボギー輪」と訳せばよいものだろうか?
「千鳥」とか「挟み込み式」と呼ばれる転輪配置
これ等のドイツ特有の足回りも「ボギー」なのだ。
当然、ティーガーもパンターも「ボギー」になる。
ドイツ製III号戦車の走行装置
詳しい方は概ねのタイプも判断できるだろう。
トーションバーサスペンションで有名なこの戦車も
「BOGIE WHEEL:ボギーホイール」
一瞬、「89式中戦車」と思ってしまった。
ソ連製T28中戦車と判断できた君は「変態」
ドイツ製I号戦車B型
アメリカ製ハーフトラックの走行装置
ソ連製BT快速戦車系走行装置
イギリス製巡航戦車も類似だが機動輪形状が異なる
ご存知クリスティー式だが
「LARGE BOGIE WHEEL」
という訳で
みんな「ボギー」だったりするのだ。
次回「ボギーの謎」