〇一(壬)式防空戦車は皇国陸軍が運用する防空戦車(自走対空砲)。37mm自動砲と高性能な照準器を搭載し、主に攻撃機から戦車部隊を護る役割を持つ。

 

 

↑海岸の丘を上がる車両。サスペンションが作動している。

 


〇前史
 皇国陸軍の防空戦車(は主に五〇式防空戦車、五一式防空戦車(自走歩兵砲改造)、五二式防空戦車の三種類があった。これらは全て母体となった戦車が異なり、搭載している機関砲についても口径や弾種がまちまちであったため運用上とても都合が悪かった。
 また、列国がより高速・重装甲な軍用飛行機を次々に実戦投入している時代において、これら既存の対空戦車では新型の飛行機に対処するのはほぼ不可能になっていた。
 そこで陸軍上層は、雑多な防空戦車を統合し、十分な火力・機動力を持つ新型を配備することを決定した。


 
〇開発

 造兵廠にはいろいろな要求がもたらされた。縦置き二連装、57mm機関砲、電波探知機搭載、四連装、八連装………。結局、2019年当時の最新鋭主力戦車・五二式中戦車の車体に、自動高射砲を搭載する方向で開発が進んだ。完成した車両は、2019年(元年)の八月(壬申の月)に採用されたので「〇一(壬)式防空戦車」と名付けられた。

 
〇構造・性能
イ)車体

 前述の通り車体は五二式中戦車の流用である。ただし、展開装甲板の関係で排気口の位置が変更された。ほかにも操縦席が左側に移動しているなどの微妙な差異がある。基本的な走行性能は五二式に準じる。

 
ロ)戦闘区画・対空射撃

 五二式37mm自動高射砲の砲身を延長し、空冷式としたもの(乙型)を搭載している。従来の防空戦車も37mm砲を搭載していたが、この自動砲は精度に勝るとされている。
 地上からの攻撃を防ぐために3.5ポッチの高さを持つ装甲板が砲の全周に隙間なく設置されている。移動時はこれを起立させ、乗員を防護する。対空射撃をする時は全て地面に平行に展開して足場とした上で発砲する。砲の前部には約80°の傾斜のついた防盾がある。装甲板を展開すると、射撃時は基本的にこの防盾の他には乗員を護るものが無くなる。ある意味お守りのようなものである。

 

ロ-補)対地射撃

 せっかく機関砲を載せているので対地射撃をすることがある。直接照準で水平、あるいは俯角をとった状態で発砲する。側面の装甲板を起立させた状態で打つと乗員が防護される。もっとも、本車両は対地戦闘を考慮した設計ではないため、やむを得ないときや相手が軽武装であるときにしか発砲はされない。

 

〇配備
 ・独立戦車団

 

 独立戦車団は、国の北方に駐屯している。管轄範囲には皇国鉄道の山奥線・北国線が通っており、本車を含めた各装備は鉄道で輸送されることが多い。

 


〇実戦

 異邦での治安戦に投入されたが特に活躍しなかった。しかし、仰角をとれるので、高所への射撃には有用であった。

 

 

■あとがき

 箱型が特徴的な対空戦車です。メーベルワーゲン(独)を参考としました。

 

 最大の特徴は、ピッタリはまる装甲板です。グリルタイルと1x2レールプレートを組み合わせ、開けたときも、閉めたときも、隙間ができないようにしています。これが上手くいったので満足な作品です。

 また、フィグが砲の左右に乗ります。車体内部にも操縦手が一人乗りますので、合計で3人乗りです。そのへんもちゃんと作れてよかったです。

 後継の車両は作る予定が無いので、当分は主力の防空装備として手元に残す予定です。

 

おわり