横綱・白鵬がとうとう54連勝を達成しました!
54連勝といえば、あの昭和の小さな大横綱・千代の富士の53連勝を抜き史上2位の記録、伝説の大横綱・双葉山が昭和11~14年にかけて達成した69連勝に次ぐ大記録です![]()
正直、この54連勝を他の二人の記録と単純に比較することはできません(勿論、どの記録もそうなんですが)。
まず、双葉山の69連勝。
当時は今の年間6場所に対し年間わずか2場所で、1場所11日間か13日間という時代、すなわち3年間負けていなかったということです![]()
その上、戦時中とあり国民は皆栄養失調、日常生活すらままならなりませんでした。
また、双葉山個人に限っては、5歳のときに右目に吹き矢が当たって失明に近い状態にあり、右手小指も怪我で不自由というそのハンデを考えれば、奇跡に近い大記録であると思われます。
一方、千代の富士の53連勝。
昭和63年夏場所から同年九州場所にかけて達成された記録ですが、当時は群雄割拠の時代、勿論、千代の富士がNo.1には間違いなかったのですが、強豪が揃っていました。
大乃国(現・スイーツ親方)、旭冨士(津軽なまこ)、北天祐(北海の白熊)、朝潮(現・朝青龍の親方)、小錦(現・KONISHIKI)、霧島(角界のアラン・ドロン)、琴ヶ梅(花のサンパチ)、逆鉾(寺尾の兄)、安芸乃島(最多金星記録保持者)…いずれも当時の角界を彩った名力士達です。
今のような「白鵬一人勝ち」というような時代では決してありませんでした。
千代の富士自身、脱臼癖があり、力士の巨大化が進行していたなか、127kgという体重はかなりのハンデであったに違いありません。
さて、上記の背景を察するに、今回の白鵬の54連勝、少し差っ引いて見ざるを得ません。
恵まれた体格に圧倒的な安定感…本当に大横綱の風格が漂ってきましたが、取組を見ていると、正直勝負のドキドキ感がありません、逆に言えば、彼のあとを追っかける力士が全然いないのです。
薬物汚染や賭博問題で全体的に力士の士気が下がっているようにも見えますし。
これまで角界の屋台骨を背負ってきた魁皇はもう38歳、他の大関陣(日馬冨士、琴欧洲、把瑠都)も冴えません。
稀勢の里や豪栄道、琴奨菊など日本人若手力士も一時期に比べると、完全に大人しくなって伸び悩んでしまっている印象を受けます。
一人ぐんぐん実力を伸ばす白鵬が勝ち進むには、絶好の環境と言わざるを得ません。
とは言え、こんな状況でも54連勝なんてのは誰でも簡単にはできるものではありません![]()
彼の日々の弛まぬ努力と相撲に対する真摯な姿勢が生み出した紛れもない大記録であります。
今後はこのような比較論評にさらされることがないよう、どんどん記録を伸ばし、70連勝、80連勝と圧倒的な連勝記録を打ち立ててくれることを願います![]()