懲役2年 執行猶予5年
Amebaでブログを始めよう!

心境2

正直筆が進まない。
日常に埋もれているが故かもしれないが。
時間は留まることを知らずただ流れていく。
限られた寿命の中でやれることには限りがあることを
皆知っているのだろう。
良いことも悪いことも皆忘れていく。
自分のことで精一杯でもあるということでもあろう。

最近、
柏原崇
安倍なつみ
なども叩かれていた。
反省の弁を述べ
自粛をし
にもかかわらず
いまだに許されていない。
一体なんなんだろうかと思う。

心境

よくわかる。
紳助の心境。

時間の問題なのかとも思うけれども、
僕は確かに90日間拘束され、紳助なんかより
自粛せざるを得ない環境におり、そして
そこから出てきた。
罰金なんかよりも重い実刑判決も受けた。
それでもなお反省を求める友人や元恋人には
正直憤慨を覚えることもある。

早く出てきて生活をしたいと思っていたけれども、
今は本当に出てきた意味はないんじゃないか?って
思うことがある。
恋人には逃げられ仕事はなくなり心には重石がついている。

実際僕も刑事事件としてはひと段落したが、
民事で訴えると息巻く、たちの悪い被害者もいる。

「人と会うのが怖い」「自信がない」という気持ちも
切実に解かる。
事件を知っている人に会うのは本当に怖い。
何を言われるのか、誰にそのことを言われるのか。
本当はもうまったく関係を絶って暮らしていきたい。
けれどもそれは許されないことなのだろうから。
毎日毎日不安におびえている。
立ち直れる自信や、一人でやっていく自信や、
誰かを愛したときにこのことを知っても愛される自信
こういったものがあまりない。
精神的にも錯乱したままの状態は続いているから
時に行動がコントロールできなくなる。

まだまだ許されないのだろう。

取調べ1日目

名前も”19番”とつけられ収監された。
2号室だ。
「はじめまして、よろしくお願いします。」
そこにはインド人と中国人がいた。


初めて入る代用監獄留置場は想像していたものと違った。
コンクリートの打ちっぱなしのようなものを想像していたが、
そんなに無機質なものではなく淡いベージュのような色の
ペンキで塗りたくられたものだった。
檻といったものではあったが、床にはカーペットが敷かれ、
トイレも仕切られた状態でついていた。
小奇麗にまとまっている感じでもある。


インド人はハルジンダル・シン
中国人は陳亮
という名前らしい。
いろいろなことを丁寧に説明してくれた。
ここでの生活の流れ、そしてこれからの捜査のこと。
悪い人ではないなというのが、第一印象だった。
時間を置かずにすぐ取り調べに呼ばれた。


最近の警察は取り調べの際の調書をすべてパソコンで入力している。
そのせいで取調べが遅くなっているという気がするのは、
僕だけではないと思う。
本当に遅い。
キー入力が。
僕が警察の官僚なら即刻クビにするような警察官
が本当に多い。
頭が悪いしスキルもない。
長年の勘というものも大して役にはたたない。
ま、それはさておき取調べが始まった。
最初は動機の部分と事実確認。
生い立ちを調書に書かれ、今回の件の被害届の内容
そして2004年3月から始まったという捜査資料を見せられた。
捕まって被害届を出された以上事実は認めるしかない。
これは最初から一貫している僕のスタンスだ。
事実は認めるが意思は認めない。
意思はない。
これはこれで僕の魂をかけて一生主張し続ける。
恋人も友人もこの点には絶対に触れてこない。
弁護士と刑事くらいだ。
弁護士と刑事はここを聞いてきて、
僕の考えをきちんと理解してくれていた。
しかし外の人たちは捕まったら終わりだと思っている。
そうじゃない。
冤罪のようなものだと僕自身は今でも思っている。
少なくとも僕のことを一方的に非難できるような、
聖人君子のような生き方をしているとは、
友人や恋人に対して思えない。

ともかく、最初から僕は否認をしていたわけだ。
これが戦略的にはミスだった。
僕のプライドは守ったが、人生は狂った。
最初からすべてを警察が望むとおりに気持ちを売り渡し、
やってもいないことをやったと供述していれば、
恐らく20日でパイであったろう。
僕は僕なりに
「嘘はつかず、正直に生きていきなさい」
という教えを守ったことになる。
それが仇になり90日もここにいることになろうとは、
このときの僕はまったく思ってもいなかった。

手続き

やっぱり警察署へ入ってきて最初に思ったのが、カツ丼。
朝から何も食べていない僕は取調べの最中に何か出されるんだろうと
思っていたが、実際はそうは甘くはなかった。

警察署に入ってきてまずやることは留置場への入場の手続きである。
普通はそうではないらしいのだが僕みたいにガサやら逮捕状が出てる
場合は100%留置されるからその手続きをしてから取調べが始まるらしい。

留置所に入る手続きは、まず身体検査と持ち物検査から始まる。
警察というところは極めてシステマティックに事を行おうと
するところですべて書面に残す。
もちろん僕の持ち物もすべて書面に残された。
指印も多用する。
パンツ一枚にさせられ、不要な持ち物を持ち込まないように
身体検査も厳重に行われる。

あとで聞いた話だが、
代用監獄としての警察署にある留置場と
法務省管轄の拘置所および刑務所は雰囲気がまったく違うらしい。
留置場は最も環境が悪く、昔から弁護士会と警察庁が
対立している原因ともなっている。

身体検査後に番号をつけられた。
”19番”
これがココでの僕の名前だ。

80日の始まり

車に乗せられた僕はどこへ向かっているのかわからなかった。
近くの警察署だと勝手におもっていたのだけれど、
高速に乗った時点でそうじゃないことがわかった。

もう一件仕事の依頼を断る必要があったことに気づいたので、
刑事にもう一度仕事の電話をしていいか聞いた。
「ああ、いいよ」
”意外に楽勝?”
と思った。

やがて目指していた警察署につき、
そこで僕は下ろされた。
不思議と気持ちは落ち着いていた。

ガサ

部屋に戻ると刑事から"家宅捜査令状"を見せられて、家の捜査が始まった。
「チケットの出品に使ったPCはこれか?」
と刑事に聞かれた。
「はい。全部この中にあります。」
と僕は答えた。

今思えばこれが80日間の悪夢の始まりだった。
実際そのときはすべてを正直に吐くことが、
最も最善策で最短で済む方法だと思っていたのだが、
これが大きな間違いだったことに後で気付くことになる。

そのまま、パソコンの電源を入れられ、
同時に部屋中の書類や本を漁られた。
領収書やパソコン関係の書籍、手帳やメモ、銀行口座なども
つぶさに見られ押収され、逐一その内容に関して聞かれた。
明らかに捜査関連とは関係のない内容に関しても聞かれた。

パソコンが起動しその内容に関して質問された。
「どこにあるんだ?」
「OutlookExpressの中にあります。」
「見せてみろ。」
「はい。」
と答えながらOEを起動してユーザーを変更し、
目的の情報のあるところを表示させた。
「こちらです。」
「係長これどうしましょうか?プリントアウトしてもって行きますか?」
「パソコンごとでいいんじゃないか?」
「でも重いですよ?データだけでいいんじゃないですか?」
「そうだな。プリンターはあるのか?」
「CDに焼いて持っていってもいいんじゃないですか?」
「やっぱり全部持っていこう。」
「全部ですか?」
「ああ、全部。」
もうどうにでもなれと僕はこのとき思っていた。
と同時にそろそろ十時を過ぎるので、仕事の連絡を会社へ
しなくてはと思い、刑事に聞いた。
「今日の仕事の件で会社の同僚へ連絡してもいいですか?」
「ああ、いいよ。」

同僚に電話した。
「お疲れ様です。今日体調悪いので訪問先へは一人で行ってもらえますか?」
「わかりました。体調大丈夫ですか?」
「はい、今日は様子を見て寝ています。」
「お大事に。」
とりあえず今日は大丈夫だ。
たぶん数日で終わるだろうからなんとかなる。と思っていた。

証拠品が押収されていく中で部屋の様子や証拠品などすべてが
写真に撮られていっていた。
挙句の果てにはPCの前でPCに対して指を差した僕の写真まで撮られた。

部屋をめちゃくちゃにされ、ようやく手錠をかけられ逮捕された。
11時過ぎだっただろうか。
それから一旦手錠をはずされ車に乗せられて
再び手錠をされて警察署へと80日間の旅が始まった。

いつもと変わりない朝

9月7日

昨夜は彼女の家で夕飯をご馳走になる約束をしていた。
だけど、仕事が遅くなり、同僚との付き合いで会社の1F
にあるカフェでビールを二杯くらい引っ掛けていた。
仕事もプライベートも充実しているからとてもうまいビールだと思った。
同僚たちははやし立てるように早く行けといってくれたが、
正直僕はあまり乗り気ではなかった。
彼女のお母さんに会うのが少し怖かったのかもしれない。

彼女から催促のメールが来て、仕方なく彼女の自宅近くの駅に急いだ。
駅で、僕が来るのが遅かったことでちょっとふくれっ面の彼女と落ち合い家に向かった。
彼女の家では餃子がこれでもかというくらいに並べられていて、
後ろではドラマを見ながら彼女のお母さんが興味深げに
でもたまーにこっちを見ていた。
緊張していたが、うれしかった。
お母さんと合わせてもらえるってことは信頼されているってことだから。

正直おなかもすいてなかったので早々と食事を切り上げて彼女の部屋へ行った。
体が重かったのでしばらく話しながら横になり、
終電の時間が来るまでゆっくりしていた。
何事もないかのように、この幸せが永遠に続くと信じていた。

そろそろ帰ろうかと思い、家を出て彼女の自転車で駅まで向かった。
たくさんの餃子をお土産にもらい帰宅したが、
体調も思わしくなくその日はそのまま寝てしまった。

翌朝、妹が仕事に出かけるときに
「昨日餃子もらったから冷凍庫に入れておいて」
といったのを覚えている。たしか六時ごろだろうか。
それから二度寝して八時半ごろ起きて、
今日は営業先へ出向くことになっていたから
久しぶりにスーツの準備をして家を出た。

いつもと変わりない朝のはずだった。

マンションの廊下を歩いていると下に車が止まっていて
人がいるのが見えた。
なんだろうな?とは思ったけど
さほど気にもしなかった。
いつもどおりエレベーターに乗り込み
1Fのボタンを押してエレベーターが動き始めた。
1Fに降りると人がいた。

六人の男性に囲まれ、
「○○だな。何で来たかわかるな?」
と聞かれた。
僕は、緊張しながら
「はい」
とだけ応えた。
「じゃあ、家まで戻ろうか」
と言われ
そのまま今出たばかりの部屋へと戻った。
もう終わりだと思った。
六人の刑事とひとりの被疑者がそこにいた。