君の笑顔はレインボー!
第3話「夏祭り」

佐倉一重(さくらひとえ)
緑川青葉
緑川わかな
クッフー


今回から、セリフの前に名前つけます。


その1
 佐倉一重です。
今日は夏祭り。僕も夏祭りに行きたかったけど、家が喫茶店なのでそんなの関係なしです…。
 タコがどこに入ってるのかわからないたこ焼き…、やけにパサパサしている焼きそば…
わたあめにリンゴ飴、カキ氷にフラッペ…て、そりゃ同じか…。
きっと、クッフーなんかは、適当にナンパしながら楽しくまわってるんだろうな…。
はあ…。
でも今日ほど稼ぎ時もない気もするし…。う~む…。

<カランコロ~ン>

 あ、お客さんだ…。
一重「いらっしゃいませ~」
 営業スマイルでそう言った僕だったけど…相手は…。
クッフー「ヘイ、一重~。がんばってんね~」
 …クッフーだった。
一重「…なんだ…。何しに来たんさ?」
クッフー「ご挨拶だネ~。1人じゃないじゃないんだよ。先生、緑川さん、どうぞ」
 なんと、クッフーの背後から、先生と緑川さんがやってくるではないか!
青葉先生「こんばんわ~。家の手伝い、がんばってるわね~」
わかな「こ…、こんばんわです…。あ、あの…」
一重「先生…、緑川さん…こんばんわ…。なんで?」
先生「そこで彼に会ってね~。一人で寂しそうだったし、のど渇いたから」
 先生のとなりで苦笑するクッフー…。
一重「はあ…。あ、こっちへどうぞ」
 僕は3人を席に案内したが、今は手伝いが忙しくてあんまり相手できないや…。
 先生と緑川さんは浴衣だ…。
 先生は綺麗だし、緑川さんはなんだかかわいいな。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
客「すいませ~ん、アイスコーヒー」
一重「は~い」
 ボクは素早くアイスコーヒーをお客さんに出す。
客2「イカ墨パスタまだ~?」
一重「はい、今作っている途中です」
客3「お冷、おかわり」
一重「はいはい!」
 お客さんのオーダーに、あわただしく応える。
 まったく休む暇がない…。
客4「会計、おねがいします」
 そうこうしてると親子連れがレジに…。
一重「はい。…あ、今日は夏祭りだから、お嬢ちゃんにはキャンディあげるね。ハイ」
 と、お店のペロペロキャンディをサービスした。
子供「ありがとう!」
客4「ありがとうございます。よかったわね」
子供「うん」
 といいながら親子連れは帰って行った。
父親「イカ墨パスタ、できあがり!」
一重「はい、かしこまり!」
 ボクはいそいでイカ墨パスタをお客さんに運ぶ。
先生「がんばってるわね~、佐倉くん」
クッフー「…ここ、普段はこんなに忙しくないんですケ~ドネ~」
 と、クッフーが好き勝手いってる。
わかな「夏祭りだからですか…?」
先生「そうかもね~。商店街の中のお店だもんね」
わかな「…た、大変ですね…」
 そんな中、あわただしく働くボク。
 なんとなく、緑川さんがこっちをみているような気がする。
  ・
  ・
  ・
 そんなこんなで30分後、やっと一息ついて、僕はクッフーたちの席に着く。
一重「つ、疲れる…」
 ボクはテーブルに突っ伏す。
先生「お疲れ様」
わかな「…大変ですね…」
一重「まあね…。今日は夏祭りだから、特にね…」
 僕の目の前に緑川さんの浴衣姿が…。
一重「…そういえば緑川さん、今日は浴衣だね…」
わかな「え?ええ…せっかくだから…」
一重「かわいいじゃん」
わかな「え?…ええ?そ、そんな、か、かわいいなんて…」
 僕の言葉に、真っ赤になってうろたえてる。
一重「そんなにうろたえなくても…。そうだ、楽しかった?夏祭り」
わかな「は…はい…」
一重「そうか…。ゆかったね(良かったと浴衣をかけたダジャレ)」
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  ・
  ・
クッフー「…一重、疲れて壊れちゃったか?」
一重「ほっとけ」
先生「…でも、がんばってるわね」
一重「え?」
先生「家の手伝い。文句ひとつ言わずに」
一重「僕、この家を継ぎたいんですよ、だからこれも修行かなって」
先生「…そっか」

<カランコロ~ン>

一重「あ、は~い、いらっしゃいませ!」
クッフー「あ、じゃあ、ミーたちも帰りますか」
先生「そうね。それじゃ、佐倉くん、がんばってね」
一重「あ、はい。…ちょっと待ってて」
 僕は客を席に案内したあとレジに向かう。
一重「合計で180万円で~す」
先生「うわ~。商店街の魚屋のおっちゃんみたいなギャグ~」
一重「本当は1,280円で~す」
先生「これでいい?」
 そう言って先生は二千円札を出してきた。
一重「うわっ!二千円札だ!…はじめて見た…」
先生「……マジ?」
 僕たちは二千円札をまじまじと見る。
わかな「…実は…私も、本物を見るのは初めてです…」
先生「うそ!?」
クッフー「ミーもミーも」
先生「…結局、普及しなかったわね、二千円札…」
 苦笑する青葉先生。
先生「…ちなみに…透かしにも沖縄の守礼門が入っているのよ?」
一重「え?本当に?」
クッフー「…でも、守礼門と紫式部、何の関係がアルんだろうネ?」
先生「そ、それは…。このデザインを決めた人に聞いて頂戴…(汗)」
 先生におつりをかえしたのは、この10分後でした…。


その2(先生視点)
 私とわかなは、クッフーくんと途中でわかれて帰り道。
わかな「お姉ちゃん、佐倉さんて、すごいね…」
先生「なにが?」
わかな「ちゃんと、自分のやりたいことがあって、文句言わずにがんばっていて…子供にも優しいし…」
先生「…そうね~。…でも二千円札見てるときは、まるっきり子供だったけどね」
 私は、さっきのやりとりを思い出して笑ってしまった。
わかな「…いいなあ…。すごいなあ…」
先生「さっきから佐倉くんの話ばっかりね?」
わかな「え?」
先生「…そういえば彼も、あんたにはかわいいって言ったけど…。私も浴衣なのにねえ」
わかな「そ…それは…」
 わかなの顔が真っ赤になった。
 これって、本当に、佐倉くんに…?
わかな「…お姉ちゃん…私……あのね…?」
 わかなが真っ赤になりながらなにかをいいたそうだった。
先生「まあ、佐倉くんなら、いいんじゃない?」
わかな「…え?」
先生「ついにうちの妹にも、好きな人ができたか…。
 嬉しいような、寂しいような…複雑だわ…。
 って言うか、私にもまだ恋人いないのに……ねえ~」
 といいつつも私はうれしくって、若葉をだきしめたのでした…。
わかな「お、おねえちゃん…?」
先生「がんばりなさいよ!?」
わかな「・・・うん^^」
先生「あ、でも」
わかな「うん…?」
先生「つきあいたてのころからHとかはダメだからね!?」
 というとわかなは瞬間湯沸し機のように顔を真っ赤にして
わかな「そ、そんなことしないもん!おねえちゃんのえっちーー!><」
 うん、わかっていた以上の反応だった。
わかな「おねえちゃんなんて、しらない!」
先生「ごめんごめん、でも大事な妹だからさー」
 そんなことをいいあいながら、ふたりで帰るのでした…。

つづく