今回は、芸能プロダクションを始める・タレントを所属させるにあたって、厚生労働省等のお役所に何らかの届け出をしなければならないのかどうかというご相談についてです。

 

 

芸能プロダクション業に限らず、何らかの事業を始めるには、開業届やら青色申告承認申請やらといった基本的なものはありますが、そうした様々な業種全般に共通する届け出ではなく、芸能プロダクション特有の届け出が何かしら必要なのかどうかというお話しです。

 

 

今回のお話しは、会社として芸能プロダクションを始める場合・個人として芸能プロダクションを始める場合のいずれにも共通する話しですが、どちらであっても結論は変わらないです。

 

 

 


 

 

【芸能プロダクションを始めるにあたって、厚生労働省等に届け出は必要でしょうか】

 

 

結論から申し上げますと特に届け出は必要ありません。芸能プロダクション業は何らかの許可制・届出制・登録制にはなっておりませんので、役所等に届け出る必要はありません。

 

 

ではなぜ本件記事タイトルのようなご相談が発生するのかというと、おそらく有料職業紹介の話しと混同されてそのような話が出てくるのではと考えます。芸能プロダクションの中には、有料職業紹介事業の許認可を受けているところがあります。その有料職業紹介事業の所轄官庁が厚生労働省ですので、それで芸能プロダクション業を始めるにあたって厚生労働省に何らかの届け出が必要なのかというお話しが出てきているのかなと考えます。

 

 

有料職業紹介とは、求職者を正社員又は契約社員として企業に紹介するもののうち、その紹介に関して手数料を受領する形態をいいます。他企業に人材を紹介してその紹介手数料をもらうことができるというもので、これを事業として行うには厚生労働省の許認可が必要となります。

 

 

この有料職業紹介事業の許認可を取得している芸能プロダクションが実際に存在しています。特に昔からある芸能プロダクションにそういう傾向があるように見受けられます。

 

 

有料職業紹介事業は、いわゆる正社員や契約社員等とするための「雇用」を発生させるものについての問題です。雇用の発生しないものについては、有料職業紹介事業は基本的には問題にならないです。

 

 

そこで芸能プロダクションについてですが、所属タレントを出演させたりすることは、どこかの企業にタレントを雇用させるわけではありません。どちらかといえば、案件ごとに出演業務委託契約(クライアントがプロダクションに対して対象タレントの出演業務を委託する)が発生するといった類のものなので、少なくとも雇用が発生するという類のものではないです。

 

 

よって、一般的な芸能プロダクションにおいては、有料職業紹介事業の許認可を受ける必要はないという話しになります。この有料職業紹介事業の話しが混同して、芸能プロダクションを始めるにあたって厚生労働省に届け出が必要という話しが出てくると考えますが、基本的には有料職業紹介事業の許認可を受ける必要もなければ、厚生労働省等の役所に届け出をする必要もないということになります。

 

 

 

これは、会社として芸能プロダクションを始める場合、個人として芸能プロダクションを始める場合のいずれであっても同じです。

 

 

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