今回も専属マネジメント契約の相談例について。

 

 

今回は、スポーツ選手と芸能プロダクションが専属マネジメント契約を取り交わす場合のポイントについてですね。これも割とご相談のあるものですね。

 

 

野球、サッカー、バスケットボール、バレーボール、ゴルフ、ハンドボール、テニス、陸上のスポーツ選手(プロレスラーも含まれる)が、現役の選手として活動する傍ら、芸能的な活動も行うという場合がありますが、そういった場合、どこかしらの芸能プロダクションに所属する場合が多いです。

 

 

そうしたスポーツ選手が芸能プロダクションに所属する際も、一般的なタレント等が芸能プロダクションに所属する場合と同様に専属マネジメント契約書というものを芸能プロダクションと取り交わします。但し、その専属マネジメント契約書の内容が、通常のタレント等の場合とはやや異なることが多いです。タレント等は、芸能活動を中心に活動することができますが、スポーツ選手は選手としての活動が中心になるわけで、芸能活動に対するスタンスが異なります。よって、今回の記事タイトルのようなご相談が生じるわけです。

 

 


 

 

【スポーツ選手と専属マネジメント契約を締結する場合のポイントを教えてください】

 

 

 

いくつかのポイントがありますが、ざっと列挙すると次のような感じです。

 

 

①エージェントや選手の所属団体との関係上、マネジメント対象外となる活動や地域があるかどうか

②芸能プロダクションの事前承諾が必要な活動とそうでない活動との区別の基準(選手自身で決定してよい活動の範囲)

③専属マネジメント契約を締結する時点において、既にその選手についているスポンサーやクライアント等をマネジメントの対象範囲に含めるかどうか

④既にその選手に関して制作・販売されている著作物や商品グッズ類等もマネジメントの対象範囲に含めるかどうか

⑤選手の芸能活動のみならず、スポーツ選手としての活動について芸能プロダクションが関与する領域はあるのかどうか

 

 

 

ここら辺が通常のタレント等とは異なる契約のポイントになろうかと思います。これらを一つづつ解説していくと結構骨の折れる作業になりますので、①についてだけ簡単に説明致します。

 

 

 

①についてですが、スポーツ選手によってはエージェント(代理人)がついている場合があります。その場合、その選手とエージェント(代理人)との間で何らかの契約を取り交わしていることが多いですが、その契約に抵触する内容の専属マネジメント契約を取り交わすことはできないということです。要は、既に契約でエージェント(代理人)の取り扱い範囲となっているものについては、芸能プロダクションは取り扱えないということです。

 

 

具体的にどういった活動が芸能プロダクションで取り扱えない活動なのかは、そのエージェント(代理人)とスポーツ選手との契約を確認しなければわからないので、事前にスポーツ選手には契約内容を確認してもらう必要があります。

 

 

また地域的な制限がある場合もあります。ある地域においてはエージェント(代理人)が色々と権限を持っている場合もあり、ある地域の芸能プロダクションに所属するにしてもエージェント(代理人)の承諾が必要な場合ということもありますので、これもやはり契約内容を確認してもらうほかないです。

 

 

 

①は、他にそのスポーツ選手の所属団体との関係という問題もあります。スポーツ選手がどういったスポーツの選手かにもよりますが、所属する団体やチームとの間で何らかの契約を締結している場合があります。そういう場合、そうした所属団体やチームとの間で既に交わしている契約の内容と抵触するような内容を専属マネジメント契約には盛り込めないです。

 

 

 

これもその所属団体やチームとの契約内容次第ですので、スポーツ選手にはどういった契約内容であるのかを確認してもらう必要があります。

 

 

 

よって、芸能プロダクションにこれから所属しようとするスポーツ選手が、既に何らかのエージェント(代理人)や所属団体・チームと契約を取り交わしている場合は、それらの契約内容を事前に確認してもらう必要があります。その上で、それらの契約内容と抵触しないように専属マネジメント契約書を構成しなければなりませんし、場合によってはエージェント(代理人)や所属団体・チームから何らかの承諾を得なければならなかったりします。

 

 

こういったところが、一般的なタレント等とは異なる処理となるわけです。その他のポイントについては、また別の機会に少し書かせて頂くかもしれません。

 

 

専属マネジメント契約書の作成、チェック、修正、ひな形提供その他のご相談については、当事務所(藤枝法務事務所)ウェブサイトの専属マネジメント契約書のページをご覧頂ければと思います。