今回も専属マネジメント契約書の相談例です。

 

 

今回は割とご相談の多い内容なのですが、プロダクションと所属タレント間で取り交わす専属マネジメント契約書(タレント所属契約書、登録契約書、専属契約書等名称は様々ですがどれも内容は同じですので、ここでは専属マネジメント契約書で統一します)に収入印紙が必要かどうかというお話しです。

 

 

このブログでもこれまで何回か専属マネジメント契約について取り上げてきましたが、この専属マネジメント契約というのは、要はタレントがプロダクションに所属する際にそのタレントとプロダクションが取り交わす契約です。この契約を取り交わすことで客観的にプロダクションに所属するという形になりますので、重要な契約です。この契約があるからこそ、プロダクションはタレントをマネジメントすることができるわけなのです。ですので、タレントがプロダクションを離れる際はこの契約も解除・終了させるわけです。

 

 

この専属マネジメント契約には、タレントの芸能活動に関するタレント・プロダクション双方の取り決めや決まり事を書きます。タレントによる芸能活動によって生じた金銭的利益をタレントとプロダクションでどう分配するのかといったことも書きます。よって重要な契約なわけです。

 

 

この契約書に収入印紙が必要なのかというのが今回のご相談内容です。契約書というものには、収入印紙が必要な契約書とそうでない契約書があります。それは印紙税法という法律で定められております。印紙税法において収入印紙が必要と定められている契約書には収入印紙を貼る必要があります。

 

 

 

 


 

 

【専属マネジメント契約書に収入印紙は必要でしょうか】

 

 

 

結論から申し上げますと不要です。

 

 

収入印紙が必要な契約書というものは、上記にも書きましたが印紙税法で定められているものです。印紙税法では、収入印紙が必要な契約書を類型化しており、このうち、専属マネジメント契約書が該当しそうな契約類型は、いわゆる2号文書と呼ばれる請負契約と、7号文書と呼ばれる継続的取引の基本となる契約です。

 

 

まず2号文書と呼ばれる請負契約に専属マネジメント契約が該当するかどうかですが、結論から申し上げますと該当しないと考えます。請負とは、いわゆる何らかの成果を発生させることが義務付けられており、その成果に対して報酬が支払われるわけです。

 

 

典型的なものですと、ソフトウェアやシステム等の開発業務委託契約がそれです。ソフトウェアやシステムという成果物の完成が義務であり、その成果物に対して報酬が支払われます。後は、ノルマのある契約もこの請負契約に該当する可能性があります。そのノルマという成果が義務付けられており、その成果に対して報酬が発生するのであれば、請負契約に成り得ますね。

 

 

そこで専属マネジメント契約ですが、タレントにもプロダクションにもある特定の成果物を完成させる義務はありませんし、また何らかのノルマが課せられるわけではありません。CDを何枚発売しなければならないとか、プロダクションが案件をこれだけ獲得しなければならないといったノルマが専属マネジメント契約書で課せられることは通常ありません。よって、専属マネジメント契約は成果物の完成義務がないことから、請負に該当しないわけです。

 

 

 

そこでもう一つの7号文書と呼ばれる継続的取引の基本となる契約書です。この名称だけを見ると専属マネジメント契約が該当しそうに見えますが、結論から申しますと該当しないです。

 

 

この7号文書と呼ばれる継続的取引の基本となる契約書とは、より具体的に言いますと、「売買、売買の委託、運送、運送取扱又は請負に関する継続的な基本契約」になります。専属マネジメント契約は、売買や運送の契約でないことは明らかですし、請負に該当しないことは上記のとおり述べました。

 

 

よって、専属マネジメント契約は7号文書と呼ばれる継続的取引の基本となる契約にも該当しないわけです。

 

 

そうなると印紙税法上、該当する契約書がないことから、専属マネジメント契約書は収入印紙が必要ないという結論になるわけです。

 

 

 

専属マネジメント契約書の作成、チェック、修正、ひな形提供その他のご相談については、当事務所(藤枝法務事務所)ウェブサイトの専属マネジメント契約書のページをご覧頂ければと思います。