今日から、何回かに分けて、専属マネジメント契約書(タレント等の所属契約書)に関して、私が業務上お受けしたご相談の一部を、守秘義務に触れない範囲で書きたいと思います。

 

 

今回はややマニアックなお題になりますが、SHOWROOM配信を所属タレント等が行う際のプロダクションとタレント間での分配率についてです。SHOWROOMとはなんぞやを詳しくここでは説明しませんが、タレント等(アイドル系が多いかと思いますが)が配信する動画等を無料で視聴できるサービスです。ただ無料といっても課金が発生するものはありますので、そういった部分でタレントサイドに何らかの売上のようなものが発生するわけです。

 

 

そうしたタレントサイドに発生した売上は、SHOWROOM運営会社からプロダクションに手数料を差し引いて支払われ(SHOWROOM運営会社手数料)、プロダクションがそれをタレントと分配するわけです。

 

 

実際に、どのぐらいの分配率が一般的でしょうかといったご相談をお受けすることがあります。あくまで私が知っている範囲で回答させて頂いておりますが、全ての事例を知っているわけではありませんので、本当に一般的な分配率というものは分からないですし、そうした分配率のガイドラインのようなものがあるわけでもありません。

 

 

 

またSHOWROOM配信という形態自体、比較的新しいものではありますので、まだプロダクションとタレント間での一般的な分配率というものが定着していないようには思います。それ故に上記のようなご相談が発生するのかもしれませんが。

 

 

 


 

 

【私が知っている範囲での分配率】

 

 

SHOWROOM側の手数料を差し引いて実際にプロダクションに支払われた金額の60%~70%をタレント、30%~40%をプロダクションの取り分という形で分配するというのが、私が知る限りではよく見受けられる分配率ではあります。

 

 

SHOWROOM配信は、基本的にはそのタレントが自ら動画撮影等をして配信するわけで、プロダクションが関与する度合いは低く、タレントが自主的に撮影して配信等するという形態が割と多いため、比較的タレント側の方が分配率が高めになる傾向にあると考えます。

 
 
但し、動画の撮影や配信に対するプロダクションの関与の度合いがある程度あるならば、上記の分配率はまた変わってくるでしょう。なので、プロダクションの関与の度合いによって分配率は違ってきます、というのは一つのポイントかと思います。あまり関与しないならば、上記の分配率が割とよく見受けられます、という回答になりますね。
 
 
そうやって決めた分配率を、プロダクションとタレント間で締結する専属マネジメント契約書や、SHOWROOM配信に関する覚書等といった書面に定めると望ましいでしょう。
 
 
上記のような分配率の考え方は、SHOWROOMに限らず、タレントが動画配信を行う場合の報酬の分配率全般に共通してくる部分もあろうかと思います。例えばyoutube配信等もそうでしょうか。こうしたタレントが自ら自主的にコンテンツを配信して売上が発生するというのは、従来のプロダクション主導の芸能活動とは異なってきますので、プロダクションとタレント間の分配率というのも従来の数字とは異なってくるのが自然なところだと考えます。
 
 
 
このような新しい形の芸能活動に関するプロダクションとタレント間の分配率というのも、今後、タレントの表現の場が広がってくればまた色々と考えていかなければならないでしょう。いずれにせよ、プロダクションとタレントの双方が納得のできる適切な数字が一般化してくれば望ましいことなんだろうと考えます。
 
 
専属マネジメント契約書の作成、チェック、修正、ひな形提供その他のご相談については、当事務所(藤枝法務事務所)ウェブサイトの専属マネジメント契約書のページをご覧頂ければと思います。