一瞬だけ、ちょっと嫌な気分になった。

 

偶然、前の職場の人と久しぶりに会って、本当に些細なことなのだけれど、その人がほんのちょっと気遣いに欠ける行動を取った。


「あぁ、この人って、やっぱりこういう人だったよな…」と、

サッと一瞬で体温が下がるような、心に冷たい風が吹きこんだ。

 

 

でも、それに気づいたのは、きっと、今の私の近しい関係の彼女や彼らが、そういう些細な気遣いをごく当たり前にしてくれているからなのだ。

彼らは何事もなかったかのように、とてもナチュラルに私の心を温めてくれる。

 

 

彼らは時に、大雑把で大胆だし、細かすぎることに文句を言うこともある。

でも、彼らの愛情は私のハートのポイントをずれることがない。

 

これはもう、本当に不思議だ。

彼らがプンスカしている時でさえ、信頼がある。

 

 

私はこの歳まで、家族以外での「愛」というものがよく分からなかった。

ちょっと風が吹けば揺らいでしまったり、途切れてしまうものばかり。

孤独にもずいぶん泣かされてきたけれど、でも、奴らは直球で愛を投げつけてきた。

 

 

そこまでどうして尽くしてくれるんだろうとか、なぜ私に?とか、自己肯定感が低い私は戸惑うことも多かったけれど、慣れるのは意外と早くて、彼らの揺るぎない愛に絶対的な安心感と信頼を置いている。

 

こんなことは初めてだ。

私は奴らのペースに飲まれている…!

 

 

バレンタインデーの話題になった時、

「愛には色んな形があるの。」とキリッと決めた表情で彼女が言った。

私は笑ったけれど、彼女が言うなら、きっとそう。

私はこれから彼女の多彩な愛の形を見ることができる。楽しみだ。

 

 

彼の愛は国境も軽く越えてくる。

愛には距離も言葉もあまり関係ないらしい。

むしろ、距離も言語の違いも、それこそがおもしろポイントって思っているようだ。

 

「コロナが落ち着いたら、あの国とあの国と、あの国と…連れて行ってあげるよ!」
いや、まだ計画しなくていいよ…!って私は言うけれど、彼の博学からやってくる突拍子もない話に、私の知識の渇きは癒やされている。

 

 

「もう、ご飯食べた?」
「今日は何してたの?」
「も~、ウチに来なさいよ。」
彼はいちいち聞いてくる。まるでオカン…。


なぜそこまで気遣ってくれるのか一番謎でもあるけれど、彼の愛は見た目に反して家庭的だ。

まるでサザエさんの世界線だ。

彼の愛は温泉みたいに温かくて、私はどっぷり浸かってしまう。

 

 

 

愛について、こんな風に考える日が来るなんて思わなかった。

嫌な気分になっていたはずなのだけれど、愛について考えていたら、もうすっかり心はポカポカだ。

 

 

今日はバレンタインデーですね。
チョコレートはありませんが、私の心からの幸せを差し上げます。


どうぞこれからも、よろしく。