「あの人と別れようと思うんよ…」
彼女って、こういうことをいつもさらっと言う。
その割に、彼女のダメージは大きいようだ。



よりによって、なんでこんな人と付き合うんだろう…って人ばかり彼女は選ぶ。
私が知っている限り、いつも彼女の方から告白して、
別れも、彼女の方から切り出すことがほとんどだ。

 

 

今回だって、私は彼に会ったことはないけれど、
彼女がもっと自分に自信を持っていたら、選ばない相手だったと思うよ。

 

 

ただ残念なことに、私たちって似てる。
彼女は恋愛関係で、私は職場関係で。
彼女のと、私の会社を入れ替えても、話が成立するくらい。



彼女は、長く築いていける人間関係を願っていて、
私は、積み上げていけるような仕事を願っている。

 

 

それなのに、私たちはそれができなくて苦しんでいる。
だから「彼女ってだめな人だなぁ。」と思うと同時に、
「私みたい。」とも思うのだ。

 

 

彼女は、今住んでいる所を引っ越して、新しく住む場所を決めて、
この歳で、しかもクソ寒いこの時期に再出発するって相当きついわ…
と苦笑いした。

 

 

彼女の言葉が、自分の気持ちのように聞こえる。
めちゃくちゃ分かるよ。

 

 

私たちは、自分に自信がない。
だから、変に妥協してしまう。
妥協して選んだ所で上手くいかないし、そこでのダメージって、
腹をくくっていないから、ものすごくズタボロになる。

 

 

結局、こんな真面目な話になったことに気づき、お互いに笑った。
「腹をくくる」って、なんか武士みたいね。

 

 

「今夜は寝られそうやわ。寝て、明日から頑張る。」
彼女はそう言って、電話を切った。

私も、そうすることにしよう。