河合隼雄先生から聞いた話
河合先生は養護施設にボランティアに行ったそうです。
そこには訳あって親から離れた子どもたちが暮らしています。
みんなが遊んでいるのをよそに、ひとりだけぼーとしている子がいました。
気になった河合先生は、お菓子を持って「これ食べる?」と声をかけました。
すると、その子は河合先生の顔を見て、
強盗かなにかに遭遇したかのような、恐怖におののいた顔をしたのでした。
河合先生は始め、「お菓子あげようとしたくらいで何を大げさな」と思ったそうです。
ですが、よくよく考えてみると、いきなり近づいてきてお菓子をあげるなんて、恐いことだなと気づいたそうです。
それもそのはず。
だって、その子にとってみれば、
知らない人がお菓子をくれる。
なら、どうしてお父さんは・・・
どうしてお母さんは・・・
迎えに来ないの・・・
ぼくを捨てたの・・・
これは、怪我している人に、「痛いでしょう?」といって傷口を触っているようなものだと河合先生はおっしゃりました。
なんでもいいからボランティアだ!人助けだ!とすると、
ただ相手を傷つけるだけにもなりかねません。
もちろん、何もしないよりはいいと思います。
でも、大義を振りかざすだけでなく、ただ”ひとり”に一生懸命に接すること。
そうしていくうちに、相手の笑顔がある。
そして、その先に心からの自分の笑顔もあるのではないでしょうか。