花組トップコンビ 柚香光さん、星風まどかさん退団公演「アルカンシェル」、雨上がりの虹のような明るい希望に満ちた作品でした。
レビューの香り高く
「アルカンシェル」は、作・演出 小池修一郎氏。
柚香さんのダンスと星風さんの歌唱、トップコンビの特徴を捉えて見ごたえがありました。
開幕はレビュー劇場「アルカンシェル」の舞台で始まり、男役は黒燕尾、娘役は羽根扇を持ってクラシカルです。フィナーレが黒燕尾ではなかったので、退団公演で王道レビューが観れて良かったです。
中央に階段があるので、今までの大劇場作品を思い浮かべてしまいます。寂しい気持ちがしますね。
現代のイブ聖乃あすかさんが、自身の曽祖父ぺぺ(一樹千尋)と祖父イブ(湖春ひめ花)が働く「アルカンシェル」のドイツがパリを占領した1940年を語ります。
一樹千尋さんがボロを着たコメディアン ぺぺで歩き方から上手いです。
チャップリンを思わせます。ピエロに扮した柚香さんが、踊り子(美羽愛)に恋して、踊り子は青年将校(希波らいと)を好きになって去っていくのは、チャップリン「ライムライト」に着想を得られたのでしょう。
湖春さんイブが発声が良くカワイイです。イブの弾くアコーディオンがパリの雰囲気を表し、２幕では湖春さんイブに泣かされます。
柚香さんのダンス・星風さんの歌唱
柚香さんがクラシック、ジャズ、ラテンと様々なダンスシーンを披露。
柚香さんセンターでの群舞は、スタイリッシュで今の花組を記憶に留めたいと思いました。
一方、星風さんカトリーヌはドイツ歌曲、シャンソンと甘い歌声で魅了します。
星風さんカトリーヌが、ドイツ軍兵士を前線に慰問するシーンは、朝鮮戦争時に、マリリン・モンローがアメリカ軍兵士を前線に電撃訪問して歌ったことを思い出しました。
星風さんは「Enchantment」で、マリリンに扮していらしたのとリンクします。
星風さんカトリーヌが歌うのは、有名な曲「待ちましょう」。
戦地に赴いた恋人、郷里に残した恋人を待ちましょうなのですね。
柚香・永久輝・綺城 心の在り方の物語
柚香さんマルセル、永久輝さんフリードリッヒと並んで、綺城ひか理さんが演じるジョルジュが対比されています。
柚香さんマルセルは、フランスと「アルカンシェル」そしてカトリーヌを守ることはゆるがない信念の人。
永久輝さんフリードリッヒは、ドイツ軍文化検閲官でありながら、ドイツ政府の方針より自分の心に従うので紆余曲折があります。
綺城さんジョルジュは、体制に流されてしまうフランス人。
人の弱さを現していて、演じ甲斐がある役です。
永久輝さん、軍服だけでなく私服のスーツ姿もさわやかに着こなしています。
永久輝さんが私服として着ているスーツは、雪組「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」で、望海風斗さんヌードルスが刑務所から出所するときに着ていたスーツ(仲間が新調してくれた)と同じ物だそうです。見たことあると思いました。
永久輝さんのプレお披露目が、「ドン・ジュアン」で望海さんと縁がありますね。
１幕「アルカンシェル」の楽屋に飾られた華やかなダルマ衣装。２幕はああそうなるのね。
柚香さんと星風さんのしっくり感と、永久輝さんと星空さんの初々しさ。
平和な時代を求める人々の心の在り方を考える物語でした。
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