2月3日、月組 彩海せら主演「Golden Dead Shiele」をライブ配信で観ました。



彩海せらさん、白河りりさん、そして夢奈瑠音さんの歌唱が素晴らしかったです。


作・演出は熊倉飛鳥氏、画家シリーズ第二弾。

ウィーンの画家エゴン・シーレの苦悩と愛の物語。展開が早く惹き込まれました。

 

 

彩海さんの歌唱と物語


バウホール公演としては楽曲が多く、セリフでも成り立つところを歌っています。


曲数が多いと歌える曲と歌えていない曲がでるものですが、彩海さんはどの歌も自分のものにしていていました。かなり難しい曲も音程がしっかり。

バウ初主演でこの歌唱は素晴らしいです。


特に彩海さんとクリムト役の夢奈さんとのデュエットはハモっていましたね。

夢奈さんは歌だけではなく、老年の男の雰囲気を息の吐き方、歩き方、座り方で表していて驚きました。


エゴンの挫折と死、遅すぎた栄光が描かれています。ただ、エゴンとヴァリの愛に涙する物語になっているかどうか?

感情が揺さぶられるということはなかったのです。

熊倉氏がこの作品で訴えたかったものは何か?

エゴンの絵にかける情熱、ヴァリとの愛、埋められない階級意識、突然の死という不条理、どれか1つでも心にダイレクトに響いていれば、この作品に心が震えたと思います。


ただ、エゴンの死のイメージを彩音星凪さんが演じて、1幕の始めにエゴンの悲劇が示される場面展開など上手く構成されていると思いました。

 

 

白河さんのヒロイン感

 

白河さんが演じたヴァリは、貧民階級から絵のモデルになった女性。優しく、エゴンを第一に考えていて健気です。


エゴンとヴァリが愛し合っているのに別れてしまうところが、どうして別れるのかよくわかりませんでした。

ヴァリがエゴンとの階級の違いを感じるエピソードとして、エゴンの母から冷たくされることだけでは、ヴァリが身を引こうとする動機として足りないように感じました。

嫁姑問題は永遠のテーマでエリザベートのシシィとゾフィーのように共感されやすいエピソードです。もっと膨らませても良かったと思いました。


コメントからヴァリがエゴンとの生活の中で二人の階級の違いに悩んでいたと教えていただきました。

確かにヴァリがエゴンに「あなたは私と結婚しなかったわね」と言いました。

女性にこんな事言わせたらあかんやろ。


絵を愛したエゴン、ヴァリの深い愛に気づかなかったエゴン。共感しにくかった。実在の人物を扱う難しさです。


 白河さんはのびやかな歌声が美しく、ヒロインとしての存在感は十分です。

花妃舞音さんの令嬢エディットとは違いがありながら、白河さんは可愛らしさを保っていました。


ただ、2幕のエゴンとヴァリのデュエットは、白河さんの声量があるゆえに、彩海さんの歌と戦っている感がありました。男役の歌を引き立てる娘役の歌が宝塚歌劇らしい。

まあ、歌上手同士なので起こる問題とも言えます。


月組次期トップ娘役戦線がにぎやかになってきていますね。

個人的には、見ごたえのあるお芝居と男役を立てるヒロイン感で、やっばり、彩みちるさんになって欲しいと思っています。


 

彩海さんにかける期待

 

楽曲が多くコストがかかっていること、脇に芸達者なスターを揃えていることから、月組が彩海さんにかける期待感が半端ないと感じました。


夢奈さんのお芝居と歌、英かおとさんのビジュアル、彩音星凪さんのダンスなど、若手だけで固めたバウとは一味違います。


若手では、瑠皇りあさん、七城雅さん、月乃だい亜さんが、彩海さんの友人役でカッコよかったです。


次世代の若手を注目させながら、しっかり彩海さんの武器である歌唱を目立たせた作品となっています。

 

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