劇団会見は、劇団と生徒を守るという意識が強く、Aさんのご遺族に寄り添う姿勢が感じられなかったです。
過重労働は見直すがパワハラはなかったという見解について各所から意見というか非難が出ています。
村上新理事長の本音が、デイリー新潮に掲載されました。
また、パワハラといじめ、そして指導の違いを考えてみます。
雪組は上手くいっている
11月16日（雪組公演再開の発表前日）、雪組生、村上新理事長、各組プロデューサーの話し合いの中で、
彩風咲奈さん「このままではお客様の前に立てません」
朝美絢さんもこれに呼応し、他の生徒たちも「（Aさんの）ご遺族に誠意を示して欲しい」
彩風さんは、劇団の会見内容に異議を唱えられた。
朝美さんと他の生徒たちが言われたことは、会見で劇団が最優先しなければいけなかったことです。ご遺族に寄り添った提案が用意されるべきでした。
具体的にはAさんのLINEで認められる生徒のご遺族への謝罪です。それによって劇団が保身に終始したイメージはなくなったはずです。
彩風さん、朝美さん、組子からこういった発言があったことから、雪組は上手くいっているという印象を受けました。
彩風さんは何と言っても、中学で生徒会長でしたよね。さすがのリーダーシップ力です。
雪組に学ぶことはできそうです。
新理事長の本音
村上新理事長ら幹部「法的にはパワハラに該当しませんが、いじめはあったのでしょう。一昨日の会見では言いませんでしたけど」
会見ではいじめもパワハラもなかったと言われたはずです。
「職場のハラスメント研究所」（東京都文京区）所長の金子雅臣さん「いじめとハラスメントを同等に論じるのは不適切。ハラスメントの場合、故意か悪意があったかは関係なく、加害者側が無自覚でしたことも当てはまる」
いじめとパワハラには境界線があるということですね。
パワハラは職場での優位性を背景に6つの要件があるそうです。
1. 身体的攻撃（暴行・傷害）
2. 精神的な攻撃（脅迫・暴言等）
3. 人間関係からの切り離し（隔離・仲間外し・無視）
4. 過大な要求（業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害）
5. 過小な要求（業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと）
6. 個の侵害（私的なことに過度に立ち入ること）
Aさんの場合、2月文春「ヘアアイロン事件」報道後に宙組で行われた「話合い」で孤立してしまったという記事がありました。「3. 人間関係からの切り離し」にあてはまるように思います。多くの生徒がいる中で、孤立することの絶望感を思うと辛いです。ただ、それを証明することが難しいということでしょうか。
また、長の期がAさんを含め二人になった時点で、新人公演の遂行と下級生をまとめることが結果的に「4. 過大な要求」になってしまった。
指導とパワハラの違い
パワハラの法的な基準として「平均的な心理的耐性を持った人が肉体的・精神的に苦痛を感じるかどうか」が判断基準になるそうです。
Aさんが過重労働で心理耐性を失っていたとしたら、通常の指導であっても過酷なものと受け取ったと、法的には主張できそうです。
村上新理事長「皆さんは歌劇団にいる限り、誰もが被害者であり、また加害者にもなり得る。今回の件を認めれば、これまで起きていた全てを認めることになる。宙組の上級生だけでなく、生徒全員を守るための判断だった」
この発言は、村上新理事長の会見時「宝塚歌劇団は109年続いてきました」という言葉に繋がると思います。歴史ある宝塚歌劇の灯を今消すわけにはいかない。
村上新理事長は、2019年に阪急電鉄から宝塚歌劇団に関わる部署に移られています。まだ5年とは言え宝塚愛がある方なのかなという印象を受けました。
少なくとも会見で、村上新理事長には劇団のイジメ構造を認め、これから生徒の認識を変えていくということを明言して欲しかった。
パワハラ音声など確固とした証拠がなかったので、パワハラは否定するという方針になったと想像します。
そもそもパワハラと指導を明確に分けることができるのでしょうか？
上級生が同じ言葉を発しても、下級生AさんとBさんでは感じ方が違ったり、上級生との人間関係も関係すると思います。尊敬する上級生から受ける指導と嫌いな上級生から受ける指導は違うでしょう。
ただ、社会はパワハラにとても敏感になっています。本来は厳しい世界であるスポーツ、芸能の世界にあってもパワハラは許されなくなりました。時代が変わったのです。
今回のことで、上級生は下級生との人間関係、また下級生がどんな状態にあるのかを見て、指導しないといけないことを学んだと思います。
朝美さん「ご遺族に誠意を示して欲しい」これが全てだと思います。
会見でご遺族への誠意を示していれば、現在の全方位から非難される状況は避けることができたはずです。
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