トピック11 「イデ」とは人類の生みの親 | TOMINO CODE

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ガンダムといえば老若男女を問わず多くの人がその名を知っている有名なロボットアニメの一つである。しかし、そのアニメのストーリーや登場メカがユダヤ教・キリスト教・イスラム教の聖典である聖書の記述と関係があると言ったら驚かないだろうか?

トピック11 

「イデ」とは人類の生みの親

 『アニメック』で「イデとは何か?」と聞かれた富野由悠季は「マジンガーZのジャパニウムと同じ、一口に言えば《知的生物の認識力の集中した場》と思ってください」と答えた。
 劇中前半の“イデ”はイデオナイトのシステムから作られたエネルギーと提示されていた。しかし物語後半では、数億の第六文明人の意志(認識力)の集積して作り出された1個の意志集合体であり、“イデ”本体はシステムのラチ外に存在しながら精神エネルギーシステムを超えた知的生命体の最終進化の一つの可能性たる概念、純粋精神体とも称される。フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

イデ / 無限力


 バッフ・クランで伝説として語られている、無限のエネルギー。その調査にソロ星(ロゴ・ダウ)を訪れ地球人と接触した。なお、地球側には無限エネルギーの伝説はなかった。これは絶対帝政によって単一の文化が持続したバッフ・クランに対し、地球側では多くの政治形態や文化・宗教の興亡によって正確に伝承されず、各地の神話や伝承にその名残を留めるのみになってしまったものと考えられる。
 シェリルの調べた結果やギジェの発言からすると、イデオンやソロ・シップに備わっているイデの力は第6文明人の数十億の意識を集めたものと推測される。
 富野によれば、「イデは第6文明人の精神の一部をエネルギー利用する実験の失敗により誕生したものであり、その際に第6文明人はすべての精神を吸い取られて滅亡した」とされている。フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

発現


 「発現」とは、パイパー・ルウやユウキ・コスモ達の「純粋な自己防衛本能」と連動して、“イデ”が自らの有する力の一部を出す事を指す。発現はその時々の「純粋な自己防衛本能」の強弱に応じて放出されるエネルギー量が異なり、「発現」時にはイデオン、ソロシップに設置された“イデ”のゲージを見ることでエネルギー量を判断する事が可能となっている。防衛本能との連動は、“イデ”本体を脅かすものに対抗する、“守り”も含まれている。

純粋な自己防衛本能


 ソロシップ内のパイパー・ルウを始めとした子ども達が持つ「純粋な自己防衛本能」。「純粋な自己防衛本能」というものには打算が含まれておらず、それは“イデ”が判断する善き心に近い存在なのだった。「純粋な自己防衛本能」とは、何もパイパー・ルウやユウキ・コスモなどの子どもに限られたものではない。第32話で絶命直前のファトム・モエラや第34話のドウモウの赤ん坊、そして、第38話のギジェ・ザラルの意志にも連動が行われており、“イデ”はかなり範囲を広げた生命体との連動が可能なようである。フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 『イデオン』は企画改訂稿の段階では『スペースランナウェイ ガンドロワ』というタイトルであり、80年1月30日に『宇宙脱出 イデオン』に変更されている。(中島紳介・斎藤良一・永島收「イデオンという伝説」太田出版 P246)

 「宇宙脱出 イデオン」が更に変更され「伝説巨神 イデオン」となった。

 --企画段階ではバッフ・クランの根拠地である『ガンドロワ』という、ある意味で父性的なものを象徴するようなタイトルだったのが、最終的に『イデオン』という母性的なものに変更されていますよね。それは何か理由があったんですか?

 <富野> 理由はないです。その当時の認識、自分の中での認識とか言葉の感性で、やっぱりイデを目指しているんだから『イデオン』しかないし、イデを乗せてるものかもしれないから『イデオン』しかないと。その言葉が女性的な感性を持った言葉かどうかという皮膚感までには、あの年齢のときには僕は達していませんでした。今、そのお話は僕にはとてもよく分かる話で、そうなんだよって答えられます。恐らく、ギリシア語でいわれているイデという発音もそうだし、英語でいわれているイデという発音もそうなんだろうけれども、それはひどく母性的に聞こえてくる音の組合せなんでしょうね。それにイデオロギーの、ロゴスが加わったときに、人というのは狂った。(中島紳介・斎藤良一・永島收「イデオンという伝説」太田出版 P246)

 実験の失敗によりイデが誕生したという設定。ここに意図的に何らかの目的をもって実験を失敗(人間から見たら失敗と判断。これは人間の考え)に導いた存在が考えられる。それこそ正真正銘の全知全能の神ではないかとの考察を可能にする設定である。
 イデとは人類の創造主である。そのイデは、子供や赤ん坊の純粋な自己防衛本能に感応してエネルギーを放出する。もともとイデオンのロボットのパーツが遺跡としてソロ星の地中から発見された際、大人の研究者らが、知恵を絞って起動させようとしたができなかった。それを彼らの子供や赤ん坊が乗り込み、銃撃戦のアクシデントによって子供たちが恐怖心・自己防衛本能を示した時、それを察知したイデがイデオンのパーツを起動させた。イデが子供らの「純粋な自己防衛本能」を感じ取ることができたのは、イデに「母性本能」のような、「母親が子供を思いやる心」のような部分があったからではないか。イデとは、数十億年もの過去の宇宙に存在した人類の「意思の集合体」である。そのイデに純粋な母性本能があるというのだ。そのイデが新たな人類を創造したのである。
 人々を愛する母性愛と言えばやはり聖母マリアではなかろうか。実はそれが暗に示されている。映画「THE IDEON」のパンフレットの表紙の絵を見て頂きたい(お手数ですがネット等にて)。人類を導く存在として主人公コスモにメシアと名付けられた赤ん坊と、その母親のカララ。その父親のベスは下の方に小さく描かれている。これは新約聖書にあるイエスと母マリア、そして夫のヨセフのコントラストと一致している。聖母子像を思わせる。以前、或いは最近でも世界各地の聖母マリア像から涙が流れ出るという神秘現象がニュースになっていた。
 何を隠そう、イデオンの物語では、大半の登場人物たちが特に後篇(発動篇)「Be INVOKED」※では「涙を流す」のだ。それだけではない。母性本能のかたまりであるイデが宿ったイデオンも、なんと「涙を流す」のである。いや、涙を流しているように見えるのである。次の絵は、1982年イデオンの映画用ポスター(超新星とガンドロワの前でイデオンが小さく見える)。
 このポスターは、当時映画館の階段の壁に張ってあったのだが、「なぜイデオンの頭頂部から光の筋が天上へと伸びているのか?」と怪訝(けげん)に感じたのを今も覚えている。すぐに近寄って目を凝らしてみると、それは頭頂部から出る光ではなくて、イデオンの目から出る光だったのだ。イデオンは前を見ているのではなく、天上を見上げていたのだ。天上を見上げる目から光が筋となって放出されていたのだ。人類を滅ぼす最終兵器を背後にしてイデオンの目から流れ出る光。まさにそれは「イデの涙」を感じされるに十分だ。映画の中では最終兵器の最期の照射によってイデオンの機体が粉砕される際、イデオンの目から青白い光が放出された。イデオンの最期に目から発せられる光。それはイデオンの、否、イデの涙そして魂だったのだ。イデの母性愛が発動(invoke)した瞬間だった。神の加護・救いを祈願し、霊を呼ぶ瞬間である。
 イデオンとは「泣くアニメ」だ。登場人物は勿論、登場するメカ、神のような母性愛を持つイデ自身が人類の大きな節目に直面して「泣く」。それがイデオンというアニメだったのである。確かに「皆殺しのアニメ」であるがそこに「涙」があるのである。これが重要なのだ。

 そういえば、イデの誕生秘話、イデオンの前日譚を映画にできないだろいうか。「閃光のハサウェイ」のような映像美で。ダースベイダー、シャア、バッドマン、鬼太郎の誕生秘話があるのだから是非やってもらいたい。

※「invoke」
1〈神・霊などの助け・加護を〉祈願する;〈神・詩神などに〉祈る;〈霊などを〉(呪文じゅもん・まじないで)呼び出す
2〈気分・イメージなどを〉引き起こす,呼び覚ます
3〈救い・援助などを〉請う
4〈法律の条項・権利・権威などを〉発動する,行使する,…に訴える;〈権威・理論・名言などを〉引き合いに出す
5《コンピュ》〈プログラム・機能などを〉呼び出す,起動させる
語源
[原義は「呼びかける」→「祈願する」]


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