さあ、いよいよ「別れの手紙」です。

 

フィデルが最初「別れの手紙」を読むシーンから始まります。
何でフィデルに別れを告げたのかは手紙の内容から推測するだけです。
映画では詳しくは語られてません。
(実際ではこの手紙を公表されたことが後々ゲバラにとって痛手となったのですが。
キューバに戻りたくても戻れない。ーこれはまた別の話)


 

でも、何でゲバラがボリビアでの革命に失敗したかが、少しは見えてくるようでした。

 

ゲバラのイメージは、反骨精神旺盛で理想主義。空想家とも呼ばれていたそうですね。

 

故郷アルゼンチンにいたら、インテリの研究熱心で、患者さん想いのいいお医者さんでいたのに・・。
でも、彼の中の血がたぎるような熱い想いはそこに留まることでは満足できなかったのでしょうね。

 

違う映画ですが、「モーターサイクル・ダイアリーズ」の時、
地べたにはいつくばるように身を粉にして働く労働者たちを見て、変わったあの旅がありました。

 

自分の力で南米大陸を帝国主義者たちから救いだし、貧困を無くし、病院、学校の建設をすすめ、理想となる国家建設を夢見る、
そんな湧き出る想いに突き動かされて行動するタイプ。
熱い男です。
キューバではフィデロとラウルのもとに革命は成功しました。

 

では、何でボリビアでは失敗したのかー。

 

思うに、理想と現実のギャップ。。

 

自分が良かれと思った行動が、現地の人に受け入れられない。

 

自分の考えがそのまま他人の考えになるんじゃないかっていう“考え違い。”

 

夢に描いた理想が、現実の前に敗れ去ったのですね。


 

市場調査不足。
まずは、現地に溶け込んでから、(時間をかけて)行動すべきだったのかも・・。
それと、強力な指導者フィデルがいない。
ゲバラは強力な指導者ではなかったということかもしれませんね。

 

現地で空まわりしているゲバラの姿が画面から見えてきます。
現地の住人ともそうだけど、味方同士でも、やはりうまく噛み合わないところがある。

 

“喘息の薬を用意しなかったら失敗だ。これは自分に与えられた試練なのだ。
ここから学ぶことはある”
とあくまで、ゲバラの上昇志向に対して、
「この年で学ぶことなどいらない。坂道を転げ落ちるだけ」と
いったことを交わすシーンがあります。
食べる物も決定的に不足。
現地でお金を払って調達しようにも、現地の人たちの理解が得られない。

 

そんな様子が、ゲバラの日記風に綴られた映画となってました。

 

でも、前作とは違った緊迫感があります。
それはゲバラの死まであと何日というカウントダウンがあるから。

 

観客はみんな知っているから、だんだんにツラクなってきます。

 

冷めた監督の目線。

 

これは前作と同じなのですが、今度はゲバラ目線があったように思えます。

 

それが如実に現れたのが処刑シーン。
ゲバラ目線で捉えられたカメラアングル。
その前にボリビア兵と交わした会話に
「自分が信じているのは人間」との言葉があります。
あくまでも、理想主義者ゲバラです。

 

最後の場面。
グランマ号でキューバに向かう若々しいゲバラの姿。
あそこはジーンときました。

 

失敗しても人間の魅力に溢れたチェ・ゲバラという男。
彼はきっと自分の小説を完成させるのにどこか夢中になっていた面もあったのかもしれません。
それがフィデロへ贈った「別れの手紙」でもあったのかもしれません。

 

劇中のギターの音色はゲバラのイメージににぴったりでした。
でもエンドロールに音楽はありませんでした。
監督の意図は何だったのでしょう。
“冷めた目”
決して、ゲバラを英雄視しない1歩引いた監督の意思がエンドロールまで表れていたようです。


 

ゲバラ日記を読んでみたくなります。

 

上映時間 133分
製作国 フランス/スペイン

 

監督: スティーヴン・ソダーバーグ
製作: ローラ・ビックフォード
ベニチオ・デル・トロ
製作総指揮: アルバロ・アウグスティン
脚本: ピーター・バックマン
音楽: アルベルト・イグレシアス