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1950年、アメリカで「赤狩り」のマッカーシー旋風が巻き起こります。

 

この映画にはもちろん出てはこないのですが、
その年チャップリン「ライムライト」を完成させ、冷たくされていたアメリカから出国する際に
移民局から質問を受けた際の会話が当時を良く表していると思い、少しチャップリン自伝(新潮社)から引用します。

 

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「かつて一度も共産党員になったことがないとおっしゃてますね?」
「その通りです。いかなる政治組織に所属したこともありません」
「いつか演説の中で”同士諸君”という言葉をお使いになったことがありますねーどういう意味だったんです、これは?」
「文字通りの同士ですよ。なんだったら辞書を引いてごらんなさい。なにもこれは共産主義者だけの専売特許じゃないはずです」

 

 友人たちから、なぜそれほどまでアメリカの反感を買うようになったのか。よく質問されるのだが、なんといっても最大の要因は、昔も今もそうだが、わたしがノンコンフォーミストだったということだろう。わたしは共産主義者ではないが、別に共産主義者を憎む路線には加わらなかった。このことが全米在郷軍人会をはじめ多くの怒りを買ったのである。
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映画は、まさにアメリカからチャップリンが冷たくされていた時代のお話なのです。

 

1953年密告が相次ぎ、共産主義者とみなされたものは職を失い、言われもない不当な差別を受けます。

 

そんな風潮に疑問を抱いた大手テレビ局CBS人気キャスター、エド・マローとプロデューサー。
議員マッカーシーの虚偽を番組で報じることに踏み切ります。

 

それは、待ち受ける物がいかに大きくて大変なものかは、前述の偉大なるチャップリンがアメリカから受けた仕打ちにも分かることでしょう。

 

映画は実在したニュースキャスターエド・マローに焦点を当て、緊迫する現場の様子を伝えます。
モノクロな映像が、50年代当時のスタイリッシュな品の良き時代のTV局の様子が良く伝わってきて良かったです。
斜めに構えて、煙草を手にしながらズバリと社会に切り込んでくるマロー。

 

正当なこととして、マッカシー批判をするエド・マローですが、途中ふと疑問詞を投げかける場面もあります。

 

「自分のしていることは本当に正しいのか?」と。

 

一方を非難すると、それが「正しい」こととなってしまうTVの世界。

 

ジャーナリズムの世界もなかなか、迷いも多いことでしょう。

 

でもエド・マローたちは突き進んでいきます。

 

ちなみに追われるようにアメリカから出国したチャップリンのその後ですが

 

『71年になってアメリカでもようやくチャップリン復権の動きが出て、「ライムライト」が改めて正式にアメリカで公開された。翌72年にはアカデミー音楽賞特別賞贈呈のためニューヨークとハリウッドに招かれ、アメリカとの和解が実現した』(allcinema ONLINEより)

 

そうです。

 

今では想像もできないようなアメリカの時代があったのですね。
それを救ったのがTVのニュースキャスターエド・マローだったのです。

 

仕事に情熱を注ぐ彼らのまっすぐな、美しさがこの映画にありました。
ジャズがまたすごく雰囲気がいい。

 

「グッドナイト、&グッドラック」このセリフでTV番組は終わるのでした。

 

製作年度 2005年
上映時間 93分
監督 ジョージ・クルーニー
出演 デヴィッド・ストラザーン 、ジョージ・クルーニー 、ロバート・ダウニー・Jr 、パトリシア・クラークソン 、レイ・ワイズ 、フランク・ランジェラ