半分に切ったりんごがごろんと入れてあるお弁当や、
ハンナの無表情な顔、淡々と作業をこなす彼女の姿は、
ただ毎日を過ごしている風にしか見えません。日々の楽しさなど感じられませんでした。
寒々と荒涼とした海にぽつんと浮かぶ基地に出向くハンナ。
そこで働いているちょっと風変わりな住人たちが、
他人と関わりたくないハンナの心をだんだんに解きほぐしていくようでした。
世界各国のお料理を作るサイモン。彼の作るお料理はチーズもたっぷり使いハンナに食べる意欲を与えてくれるよう。
毎日掘削所に打ち付ける波の数を数え貝を集める マーティン。
孤独な彼の仕事だけど、環境の事も真剣に考える彼の姿にハンナは心を打たれる表情を見せます。
責任者のディミトリは一人でいることが好きで、優しくハンナに対してそっとそばに居てくれます。
いろんな過去も知らない住人たちの姿はとても見てる私にもなんだかどこか癒されました。
そして、あれやこれやと話しかけるやけどを負ったジョゼフ。
やけどで一時目が見えない彼の楽しみは食事と、ハンナとの会話。
最初はそっけないハンナも彼のジョークに少しずつ笑みを取り戻していくかのようでした。
ジョゼフも重い秘密を引きずっていて、ハンナにも同じような秘密の匂いをかぎつけています。
お互いに相手の秘密を知りたければ、自分の秘密を一つ教えるという取引を始める二人。
そこで明かされたハンナの秘密とは・・・。
秘密の事は触れられませんが、
ただ、その内容の衝撃は映画を見終わってもずっといつまでも、頭から離れません。
人と関わりたくないというハンナの気持ちが、告白の内容からよく解ります。
誰にも言えなかった秘密を言える相手が見つかったことは、なんてハンナにとって幸せなことだったでしょう。
それを受け止めることが出来たジョゼフは、彼自身ツライ経験があってのこと。
この二人の魂の交流に泣けてきました。
ジョゼフは思ったことでしょう。自分の悩みなんてハンナのそれに比べると取るに足りないということを。(彼にとっては重いことなのですが)
ハンナに対する慈しみに溢れた気持ちがジョゼフの表情から分かります。
私もハンナの告白を耳にした時から、変わった気がします。日常がなんとなく違って見えてくるのです。
どれだけ、自分は何事もなく、幸せな人生を送ってきたことだろうか、と。
心が疲れてどうしようもなくなった時、この映画を観て涙を流し、
また明日からがんばろうという気持ちが湧いてくるかもしれません。
ジョゼフを演じたティム・ロビンスの存在がとてもいいです。
ハンナに彼が現れて本当に良かったと思わせるような演技を見せてくれました。
東宝シネマズでの上映だったのですが、このような地味だけどいい映画も引き続き上映して行って欲しいです。上映館が少ないのが残念です。
上映期間も短いようです。
