「旅のお手伝い」実は「旅立ちのお手伝い」だった!

 

以前、美容院で「私が死んだらお葬式もいらないし、お墓もいらない。
遺灰はどこか海とか撒いて欲しい。」とのようなことを会話の中でしゃべったら、
美容師さんはじめ、そこにいたお客さんたち何人かに一斉に反撃されたことがあります。
それでは遺された家族の気持ちはどうなるのかって。
それを言われたら、何も言えなくなりました。

 

納棺、お葬式は故人とのお別れの儀式。

 

この映画は納棺師という仕事を職業とした主人公を通して、
日本のしきたり、永遠のテーマである身近な人の死というものを、
涙と、笑いも混ぜながら見せてくれました。

 

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オーケストラが解散になり、妻を連れ故郷に帰った主人公大悟(本木雅弘)。
そこで見つけた仕事が納棺師という職業。
お給料は片手と言われ、なんとなく就いた仕事。
でも生易しいものではなかったのです。
社長の佐々木(山崎努)に連れられてアシスタントとしてあちこちの家へ行きます。
時には、2週間もの間発見されず、放っておかれた一人暮らしのおばあさんのところへも。
ハエがぶんぶん飛んでいて散乱された食べ物をぐちゃりと踏みつぶしたりも。
遺体を目にした大悟が思わず吐いてしまう。
バスの中では女子高生たちにあの人なんか臭うとまでささやかれ、
同級生からは、何でそんな仕事をしているんだと蔑められる始末。
もう辞めたい・・。
悩みながらも、社長の仕事に対する姿勢や遺族から受ける感謝の気持ちに接していくうち、
この仕事というのは決して恥ずかしくはない、それどころか立派な仕事ではないと思い始めるようになる。
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山形の庄内地方を舞台というところが良かったです。
藤沢周平の舞台にもなるところ。
日本の四季の移り変わりが美しい。
山があり川が流れ、冬には白鳥がやってくる。
土手で大悟が奏でるチェロのメロディーが、美しく響いてきました。

 

カルテット四重奏。

 

役者さんたちが奏でるメロディー。そんな風にも感じられました。

 

この四人の織りなすメロディー。


 

妻の広末涼子がすっぴんでかわいい妻を演じてました。
「私いままで何もあなたに言わなかったじゃない。好きだからずっとついてきたのよ。
でもこの仕事は辞めて!」
必死に頼む彼女。
それが、大悟の仕事に直に接してみて自分の考えが間違っていたことに気づきます。
彼女、以前に「秘密」を見た時上手いなーとすごく感心したことがあるのです。
そういえば、監督も同じ滝田洋二郎監督でした。
今回も自然な演技、特に泣き顔、笑いながら涙を流すシーン。彼女の存在が重要でした。

 

山崎努。
もうもう、円熟してます!渋い。何も言えません。

 

余貴美子
ワケありな女性なのですが、こちらもほぼすっぴん。
それが若い印象。かわいかったです。

 

主人公 本木雅弘
実は私、いままであまり好きではなかったのですよね。
何か冷たい印象があって。

 

でも納棺師の厳粛な雰囲気にぴったりでしたよ。
遺族の前でご遺体を拭き清め、仏衣に手早く着せ替え、口の中も清め、お化粧を施す。
まるで茶道の美しい流れを見るかのようなこの一連の動作が美しかったです。

 

もっくん、見直しました。(笑)
この映画の発案も彼からだったそうですね。
チェロを弾くところも様になっててかっこ良かったし。


 

それと脇をしめる役者さんたちもすばらしい。
吉行和子、笹野高史。

 

シンフォニーです。

 

音楽は久石譲

 

永遠のテーマ、身近な人の死。
誰もが胸の奥にある想いにきっと泣けます。

 

いい映画でした。

 

監督は滝田洋二郎
以前観た『壬生義士伝』こちらも大好きな映画です。