最初は母親の子供殺し事件の物語かと思いました。
ところが、実は物語の中心はその隣の家に住む夫婦の話でした。
一見仲睦まじい二人の過去には驚く事件があった。
俊介の方は大学の野球部の時、集団レイプ事件を起こしていました。
(実際にあった事件を思い出させます)
妻かなこは、実は被害者。
その二人がなぜ、一緒に暮らしているのか。
渡辺という雑誌記者が、二人の間にある闇の世界をさぐり当てようとするように事件を追いかけていきます。
私、この本、映画的だなって読んでました。
そうしたら、解説に柳町光男監督がちゃんと書いてました。
この解説がたくさんの映画の題名が出てきて、面白いです。
ちょっとだけ列挙しますと、『サイコ』『隣の女』『裏窓』『非情の罠』『グラン・トリノ』『ミスティック・リバー』そして成瀬巳喜男の『乱れ雲』など。(それらは本の中には出てきません)
さすが、列挙している映画が、この本にどこかシンクロしてきます。
吉田氏は、実際に意識して書かれたのかは分かりませんが。
かなりの映画好きなのは確かなようです。、
作中に実際に出てくるのが、『ピアノレッスン』。
暗いけど、官能的で情熱的な映画でした。
暗いけど、官能的で情熱的な映画でした。
あるシーンの描写が、かなこの気持ちを表しているかのようにも思えました。
『罪と罰』
レイプされるということは女性にとってはその後の人生に深く傷を残す事件。
ところが、加害者たちは普通に生活を送っている。
そこにはまだまだ「男尊女卑」というものが残っているのでしょうか。
罪を償いたい男。
ミステリー小説ですが、罪を償いたい男を登場させたことによって、
罪を犯したとはいえ、良心的なものが感じられ、切ない気持ちにもなりました。
許そうとしても、許しきれない女。
人間の業の深さ、罪を犯すということの重大さ、それを背負っていかなければならない二人。
最後、ひと筋の光が見えたことが救いでした。
次は「パレード」を読んでみたくなりました。
