序章 始まりの日
「・・・皆さんはサンタクロースって信じますか?」
先生は僕らの前でそう投げかけた。
先生の問いかけに当時の僕らは「はい!!」と返事をした。
「サンタクロースってどんな恰好をしていると思いますか?」
クラスでお調子者の子は身を乗り出して想像するサンタを答えた。
小学五年生の僕らにとって、想像するサンタは偏っている。
白ひげにメタボで赤服のおじさん・・・
どこかの昔話でよく描かれるサンタクロースそのものだ。
ただ、一人だけサンタの存在を否定していた子がいた。
この市の市長の息子だった。
「・・・浮かれちゃって馬鹿なんじゃない?」
彼は皮肉そうにそう呟いた。
それがクラスの一人に聞こえたらしい。全員がその子を罵倒し始める。
その中に僕がいたかは定かではないけれど・・・
「・・・だってパパが言ってたもん。サンタなんて想像のものだって・・・」
泣きじゃくりながら彼は自分の主張を通した。
「はいはい、そこまで。実は先生も言いたいことがあるんです」
先生は言い争う僕たちを静めて、落ち着いた声で言った。
「実は先生は、そのサンタクロースの孫なんです」
先生は口をニッと歪ませてそう言った。
そしてそれから・・・
それから・・・?
僕はゆっくりと目を開ける。
「なんて懐かしい夢を見たんだろ・・・」
僕はゆっくり体を起こし、窓の外を見た。
地面には少しばかり雪が積もっているようだ。
「ホワイトクリスマス・・・か」
あの日、あの時。僕らに起こったことは、高校二年になった今でもまだ続いている。
今日はクリスマスイブ。今日からまた、あの冬の続きが始まる。