忙しい日々。

時々業務に追われるだけで、いっぱいいっぱいの自分。

この日もそうだった。


私の病院の看護方式は、プライマリーナーシングで、一人の患者の入院から退院までの看護を

一人の看護師が一貫して行う方式を行ってるんです。

1年目の冬くらいから入院を受けだして、プライマリーを受け持ってきたんです。

今までのプライマリーで受け持った患者さんは、数人転院した方もいらっしゃいますが、

手術して元気になって退院した方がほとんどです。


今年5月にたまたま私が準夜勤務の時に救急車で運ばれてきた90代のおばあちゃん。

呼吸状態がよろしくなくて、入院したその晩が山で、いつなくなってもおかしくなかった。

そんな小柄で髪の毛を毎日ピンで留めてる可愛らしいおばあちゃんを私がプライマリーとして

受け持つことになったんです。

プライマリーを先輩から頼まれたときは、2ヶ月もこのおばあちゃんと一緒にいるなんて考えてなかった。

おばあちゃんの生命力は見た目じゃ考えられないようなくらい強く、

なんと数日の間に呼吸状態も持ち直しなんとか安定してきたんです。


プライマリーの患者さんを中心に毎日の受け持ちが付けられていくため、

ほとんど日勤のときはこのおばあちゃんを受け持ってたんです。

毎回始まりは耳元で、「おはようございます。今日担当のチャロです。よろしくおねがいしますね。」と

声を掛けることから始まります。

聞こえているのか、聞こえていないのか・・・

調子のいいときは「おはよう。」と返事してくれるときもありました。たまに笑顔もみせてくれたり。

私の手技が上手くないのか、おばあちゃんが器用に舌で邪魔するのか、

吸引するときなかなかチューブが気管に入らず苦戦する日々。



胸水が溜まり、浮腫もあったものの著変なく経過してて、後数日で療養型の病院に転院も決まってたのに。



でも、最近CVCからの感染のせいなのか、熱が急に上がりだし、活気がなくなりました。

声を掛けても反応なくて。肩をたたきながら話しかけても反応がなくて。

小さな目だったけど、その目も閉じたままのことが多くなって。


夜勤とか、休みが続いて久しぶりにおばあちゃんを受け持ったとき、今まで酸素0.5L送気だったのに

急に前日のお昼から酸素が3LにUPしてました。

SpO2【動脈血酸素飽和度】も不安定で、健康な人なら95%あるものなんだけど、

おばあちゃんは自分で痰を出せないので、溜まるといきなり60~80%代に落ちてしまうことがありました。


この日も、お昼休憩から帰ってきて次に休憩に行く人と入れ替わったとき食後の配薬に回らなくちゃと

薬を準備してたら、ナースステーションにあるモニターから警告音が「ピピピピッ」って鳴り出しました。

先輩が、「おばあちゃんのSpO2が60代になっとるで!!」と叫んで教えてくれたのですぐに吸引しなくちゃ!

と思って走っておばあちゃんの病室へ。


でもなんかいつもとなんか違う気がしたんだよね。

何が違ったのかはよくわからなかったけど、いつもと様子が違うの。

でも、吸引しなくちゃ!痰をとってあげなくちゃ!って必死で用意して始めたんだけど・・・

気管に入ってるのに痰が引けない。。。

手元にあるモニター見たらどんどんSpO2が下がっていく。。。

吸引も頑張るけど何かに引っかかって引けない感じで。

ナースステーションのSpO2の表示が30%になり先輩も駆けつけてきて。

急いで主治医呼んで、先輩に吸引代わってもらって・・・

私は肩をたたきながら耳元でおばあちゃんの名前を呼んでるだけ。

その時おばあちゃんは息をしてなくて。


でもね、そのあと主治医が来てアンビューしたり、心電図がフラットになりかけたら心臓マッサージしたり。

とりあえず家族が来るまで頑張ってって声かけ続けて、なんとか家族来るまでがんばったんだよ。

家族には「はやく上に逝きたい」って言っていたらしく、家族が来てからアンビューも心臓マッサージもやめて、

自然になるがままに・・・ということで亡くなるまで家族はおばあちゃんにいろいろ感謝の気持ちを伝えてました。

きっとおばあちゃんも聞こえてたはず。

家族が「いままでありがとね」って伝えるたびに弱くなっていく呼吸と心拍数が一瞬元気になるんだよ。




おばあちゃんは家族が来た30分後くらいに天使になりました。



何回人の死に立ち会っても慣れません。というか慣れるもんじゃない。

先輩たちは悲しくないわけじゃないけど、しっかりその後家族に声かけて次の段階の用意をするんだけど、

私は一緒に泣きそうになりこらえるので精一杯なんです。

しかも今回は初めてプライマリーの死に立ち会ったので悲しさ2倍です。

やっぱり、プライマリーは思い入れが違いますから。受け持つ回数が多く、身近に感じる。

しかも、このおばあちゃんは不思議なことに、業務に追われて目が回りそうなときも、

おばあちゃんの顔をみるとなんだか癒されるんです。落ち着けるんです。

特別な存在でした。


おばあちゃん頑張ったね。家族ともお別れする時間があってよかったね。

私、おばあちゃんのこと絶対忘れないからね。

吸引も誰よりも上手くなって、短時間で終われるようにするからね。

頑張って成長するから!!


ご冥福を祈ります。