「最低でも46兆円確保されたな。最低でもというのは他にも財源はいくらでもあるだろうという意味だ。これで食料品のマイナスXパーセントと、最低限のセーフティネットが確保されるはずだ。後はやれるかやれないかではなく、やるかやらないかだ」

ノンアルのカシスオレンジで口を潤すとさらに続ける。


「たとえば暗殺が全然なかったら、政治家はどんなに不真面目になるか、殺される心配がなかったら、いくらでも嘘がつける。三島由紀夫がかつて言っていた言葉でこの言葉については乱暴なように見えて、当たっている部分もあると思う」

「乱暴にも程があるわよ。暗殺なんて怖いこと言わないでよ」

お嬢様はさすがに暗殺という言葉に嫌悪感を示した。


「そ、そうよ暗殺が横行するようになったら民主主義の根底が覆されます」

高市もフォレストスモークチーズを取り落としそうになっていた。

「暗殺の概要と目的。暗殺は、単なる私怨や偶発的な殺人とは異なり、ターゲットの排除による社会的な混乱や、国家の政策変更、特定の組織の弱体化などを狙って行われます。テロリズムの一形態として分類されることもあります。Google AIでございますのであしからず」


女性陣は揃って非難を口にする。

「勘違いしないでほしい。俺も人を殺めるということは、人間がしてはならない最上位にある行為であると思っているよ。しかしながらそれほど政治というものは重いものなのだ。政治の方向性によっては驚くほど大勢の人の命に関わるのだ。その政治の世界で、さあ、今の政治家は真面目であると胸をはって言えるだろうか。それだけあんたたちのすることには責任と結果が伴うんだよ。三島の言葉は政治家に対して送った訓戒の言葉だと思う」


「もうっ!ねーーーー!」

珍しくお嬢様が大きく声を上げた。

全員がお嬢様に目を向けた。

「もっと面白い話してっ」


続くぞ! さあ声を上げる時だ 声を上げ続けたのならば 世界は必ず変わる ついしん面白い話してねはーと

路上や公園などで生活していることが確認されたホームレスの人は今年1月時点で2481人だった。

前年から110人減り、過去最少を更新した。厚生労働省が27日、発表した。都道府県別では大阪が803人で最も多く、東京507人、神奈川391人と続いた。東京23区政令指定都市で計2014人となり、全体の約8割を占めた。

厚労省は減少した理由を「自治体による生活支援事業の効果が出たため」と説明。


「話は変わるが2003年には全国25,000人を超えていた路上生活者が2,500人程度に減少したということだが…」

「これこそ行政の努力が身を結んだのではないかしら」

高市は少しホッとした様子でしばらく口をつけていなかったワイルドターキーに手を伸ばした。


「政治家が決して救う対象として挙げない路上生活者。まあ票にならないからと言うのは容易に想像がつくがな…」

「オフレコで申し上げますとおっしゃる通りですわ。しかし行政が彼らを見捨てない結果の現在の2,500人余りの数字ではないかしら。ワイルドターキーをロックでお代わり頂こうかしら」

JKウエィターは半分ほど溶けた透明な氷を足すと、ウィスキーを注いた。


「じゃあその2,500人を救おうぜ。それをやらないことは日本国憲法25条第一項、第二項に明確に抵触する。今更憲法違反を犯しまくってるあんたたちに言うのも白々しくなるがな。なに、そんなに金はかからないはずだ。一人頭年学140万程度。かける2,500で35億円。」

「あなたはそういうけれどホームレスの方にも、プライドがある方がいてなかなか救いの手を握り返してくれない方もいらっしゃるのよ」


「あんたらが自己責任論をマスコミを使って煽ったからだろうっ。彼らは努力しなかったから路上に追いやられた。彼らは我々が苦労して働いて払っている税金でパチンコを打ってる。彼らは自堕落だ。不正受給者が多数派を占めているかのように世論を傾けたマスコミの罪も重いぞ!いや、そもそも半国営化しているマスコミに言うのも白々しいな。そもそも生活保護を受給するのにプライドもなにもないんだよ」


「ホームレス状態の人が生活保護を受けない主な理由は、行政窓口での不当な拒否(水際作戦)への恐れや、受給時に強制される集団生活(無料低額宿泊所など)への懸念、および親族への扶養照会に対する心理的抵抗感です」

突然JKウェイターがスラスラと路上生活者が生活保護を受けない理由を説明した。


「お、そうなのか。と言うかすごいな」

「GOOGLE検索に標準装備されているAIの解答でございます」

さすがデジタルネイティブである。

「行政窓口の不当な拒否。論外。路上まで追い込まれるような人が、集団生活というのは精神的に酷な話かもしれない。ケチケチせず個室くらい用意しろ。空き家問題も解決されるはずだ。そして扶養照会というのがまたえげつないな。人には迷惑をかけるなと教えられ育った日本人の弱点を見事についている」


「私もそう思うわ。早くお家を出て自立して好きな人と結婚したいもの」

少し論点はずれているが、それも一人の女性の夢であり憲法13条幸福の追求権で保証されているはずであった。

「そもそもの話なんだが…路上で死にかけている人を見かけた場合、かける言葉は一つではないのか?大丈夫ですか?イエスORノー?イエスであるならば行政機関は速やかに彼らを路上から、温かい部屋とご飯のある場所へと救い上げる。これだけの簡単なことをなぜできないんだ。目視調査までして、こんな簡単な問いかけもしなかったのかよ」


続くぞ! この世界に少しでも疑問を持っている人 不条理を感じている人 難しいかも知れないが私利私欲を捨て 声を上げ続けたのならば あるいは世界が変わるかも知れません

さて消費税マイナス政策は46兆円あれば充分だろう。後は理数系の学生にでも計算させたら良いだけの話。政治家の出る幕ではないな。マイナス何パーセントになるか楽しみにしてるよ」


「あなた、勝手に決めないで下さい。そんなに政治に関わりたいなら選挙に出馬したらどうです」

「全くあんたは笑わせてくれるな。いや、これは笑えない。不愉快だ。俺みたいな思想を持った人間が選挙で当選しようとしたら、徹底的にネットでも何でも使って叩かれて落選するだろう。なぜなら俺みたいな人間の存在は権力者にとっては目の上のタンコブでしかないからだ。権力者の犬に成り下がったあなたには理解できるはずだ」


「まあ失礼な…」

「とは言わせないぞ。なああんた達は一体何のために生きているんだ」

フォレストスモークチーズをもう一切れ飲み下すと静かに言葉を続けた。

「純粋に教えてほしい。矜持も持たず、貧困や物価高に苦しむ国民達を尻目に嬉々として演説をし、親方権力者の権力と金で政治家になって、政治をし…」

フォレストスモークチーズをもう一切れ口に入れる。

「こんな庶民では一生食えないようなつまみ片手に、この濁り腐り切った側面を持つ世の中を眺めて酒を飲むあなた達は何を想うんだ。あなた達にもいずれ平等に死が訪れるだろう。その瞬間あなたは自らの人生を思い返して誇りを持って旅立てるのか」


「○○○の子達に貢いでるあなたは誇りを持って旅立てるのかしら?」

お嬢様はとって作ったようなおちょぼ口でコホンと咳をする。

「お、お嬢様あんたどっちの味方なんだよ…」

「どっちの味方も何もないの。私は好きな人と結婚して幸せに暮らしたいだけなの。だって私は女の子だもん。人と違う所といえば生まれた家と、可愛いと言うことだけなんだもん」

道理である。

しかしながら彼女が夢を叶えるのには、その麗しき容姿とは反比例した様々な障害による高き壁が存在しそうである。

「お、応援してるよ」

「もうあなたが責任取りなさいな」


続きますわよ! 私が幸せな結婚をするまで  

そしてこの世界が俺が許諾できるトゥルーエンドに書き換わるまで!

「三っ〜っつ目!対米投資5,500億ドル!」

「……」

「3年間半で80兆円。年間約23兆円」

「……」

「この件に対してはダンマリか…」

高市は俯き加減に、資料に目を落としている…振りをしているように見えた。


「日米首脳会談お見事だったぜ」

「あらご覧いただけたのね」

「ああ、笑わせていただいたよ、見事なホスト(トランプ)への貢ぎっぷりと、反吐が出るほどの媚びようだったな」

「あなたの○○バの子への貢ぎっぷりもお見事だけれどね」

「き、規模が違うから…い、いや、というか貢ぐのは結構だが自分で稼いだ金で貢げよ。あんたは何よりも大切な国民を救う金を使ったんだよ!」


「あーーーあなた認めちゃったわねっ!私というものがありながらなんて男なの!」

どうやらお嬢様はカマをかけていたらしい。

「…」

「この件に対してはダンマリなのね!」

日本国総理大臣の言葉に対するよりも、お嬢様の強烈なツッコミへの対応の方が遥かに困難であった。

これが可愛いは正義たる所以なのだろうか。


「なあ高市さん。ハルノートを突きつけられての開戦。そして信じられないほどの悲劇と犠牲者を生んだ挙句の敗戦。あの悲劇は決して冗談に使っていいものではない。なのにあんたは真珠湾を引き合いに出されて媚び笑い。そして平和をもたらすのはドナルドだけという賛辞。恥を知れ!」


カシスオレンジ(ノンアルコール)を一口口に含むと続ける。

「勘違いしてほしくないのは俺はただのナショナリストではないということ。喧嘩をして殴り合っても、事後はノーサイド。細かいことは気にしないカラッとした性格の民族性であるアメリカ人は大好きだ。しかし対国家としては別。かつてこれほど国家が国家に対して後塵を拝し続けてきた例があるだろうか」


「政治の世界では時には負けをとって勝ちをとる事も必要なのです」

「おいおい、冗談も休み休みに言えよ。1853年に黒船が来航しての日米修好通商条約以来、日本がアメリカと対等な関係になったことが一度でもあるか?」

高市のフォレストスモークチーズを一口口に含んでとろりと飲み下すとさらに続ける。


「個人的な話をさせていただくと、俺は日本の文豪たちが描いた日本の人々と空気感が好きだ。」

「あら、奇遇、私も司馬遼太郎の坂の上の雲が好きです」

「感じなかったか。多くの人が純朴で人情的であった時代の雰囲気を。それが今では…いや懐古主義はよそう。江戸から昭和が全て正しかった訳ではないしな」

フォレストスモークチーズをJKウェイターに追加注文し二口ほど入れるとワイン注文した。

「ノンアルコールですが、あしからず」


「話を戻そう。これで46兆円だ。そろそろマイナス40パーセントの消費税が現実身を帯びてきたんじゃないか。食料品だけで言うと既に実現可能な数値なんじゃないか。いや、マイナス40パーセントどころじゃ済まないかもな。

念のために言っておくが生産者や製造者の懐に入ってくる金は変わらないからな。当然のこと。負担者は国だからな」


続くぞ! さあ、この軽薄なポピュリスト達を信じるか 否かだ!

「防衛費については3兆円ほど削って問題ないだろう(※自衛隊員の給与は据え置き)。もしそれは難しいと言うのなら具体的にどうして無理なのか教えていただきたい。防衛費というのは戦争屋の商売の邪魔をすることになるから強力な横槍が入りそうだが邪魔しないでほしい。戦争屋垂涎ものの面白いアイディアを考えてあるので後ほど。次に入るがそれは…」


「あなた…」

高市の口を塞ぐように人差し指に加えて中指を立てると話を遮って続ける。

「老後2,000万円問題…」


※老後2,000万円問題:老後2000万円問題とは、2019年に金融庁の報告書が「夫65歳以上・妻60歳以上の無職夫婦」のモデルケースにおいて、公的年金だけでは毎月約5万5千円が不足し、30年間で約2000万円の取り崩しが必要になると試算したことで生じた社会的な不安と議論


「国会議員の年収は約2,200万円というのがなんとも皮肉な数字だな。一般庶民の老後の心配を一年で稼ぐとはいいご身分だな。本題に入ろうその前にカシスオレンジ」

「ノンアルでご用意致しますね」

「日本人の平均寿命は約84歳。天寿を全うできる確率が約67%。逆にいうと天寿を全うできず亡くなる確率が約33%。次に日本人の平均貯蓄額が1,500万円強。この数字を並べられて何か想像できないだろうか?」


高市は最高級のフォレストスモークチーズを口に入れると思案顔になった。

「何かしら?」

「年間の日本の死亡者数が約160万人。1500万円の貯蓄がある人間が年間160万人死ぬ。つまり死亡時に故人が残す金額が年間24兆円。さてこのお金はどうなる。そう、国庫へと帰属する。細かい計算方法は知らないが、そこまで大きくは間違ってない…はず…お嬢様計算できないか?」


「私の専攻は心理学だから分かんなーい。ていうか可愛いから計算なんて人生に必要ないの!難しいことはチャッピーに聞いて!」

どうやら可愛いと数学は対極にあるらしい。

「ちょっと待ちなさい。亡くなった人の財産は親族が相続しますし、一定の金額以上は相続税としていただいています」

フォレストスモークチーズを摘んだまま高市は言う。


「相続税の歳入に占める割合約3%。3.66兆円。多めに4兆円と計算しておこう。残りは20兆円だな。それを毎年プールしてるんだからさぞかし溜まってるんだろうな。因みにだが医療費に大部分消えるとか。死を前にして散財して目減りするとかは言わせないぞ。あくまでもそういう人も含めた平均貯蓄額が1,500万円なんだからな。孤独死する方も増えているし、相続人の亡くなる事も含めた数値なんだからな。消費税マイナス40%が近づいて来たんじゃないか」

「わーい。コンビニスイーツ食べ放題できるわ」

お嬢様のコンビニスイーツ係数はなかなかに高いらしい。


「老後2,000万円を推奨してるのは、平均貯蓄額1,500万円からさらに節約して500万円積み増しして死んで国家に金を残しなさいという裏の理由からだろうな。そこに物価高に苦しむ国民への労りなんてこれっぽっちもない。プラス平均で500万円なんてまともに貯めようと思ったら、国民の平均体重が確実に下がるぞ」


続くぞ! さあ権力者どもよ 汚ねえ事して国民から巻き上げて稼いだ金を吐き出す時が来たぞ!

「おい、今財源はどうするって言ったのか…」

「言いましたよ。消費税をマイナス40パーセントというなら歳出に対して見合った歳入、いわゆる財源が必要です」

ぷっ。俺は思わずオレンジジュースを吐き出しそうになった。

 「まじウケるんだが。大草原とはこういう発言を言うんだろうな。よしじゃあその財源を一つ一つ確保しようではないか」

ピンと人差し指を立てて、先を続ける。


「10兆円超えの防衛関連費。こんなに必要か?何に使うんだ。確かに自衛隊というものは災害時に多大な効果を発揮し日本にはもはやなくてはならない存在となっている。しかし災害対策に10兆円必要か?答えはノーだ!」

「台湾有事、他国からの侵略の可能性、日米同盟の更なる強化にはなくてはならない金額です」

プーーー。とうとうオレンジジュースを吐き出してしまった。


すかさずJK服のウェイターがおしぼりを差し出してくれた。

「お前あんまり笑わせるのは勘弁してくれ。このグローバル化が進みこれからさらに外国人の流入が予想され、何十年か前におそらく日本中の教科書に書かれていたアメリカは人種のるつぼです状態に進んでいくいく日本がどこと戦争するんだよ!」

慌てて持参したカバンから書類を用意し始めた高市をよそ目に続ける。


「ロシアか?中国か?北朝鮮か?それとも原爆投下から80年、臥薪嘗胆には長すぎる年月を経てワシントンにトラトラトラか?」

俺は力一杯テーブルに拳を叩きつけた。

その拳の衝撃はワイルドターキーをぶちまけるのには充分な強さだった。

テーブルに溢れたワイルドターキーは高市の衣装にも少しかかった。

すかさずJK服のウェイターがタオルを用意する。


「まあ、酷い。暴力は民主主義に対する卑劣な行為です」

今度はオレンジジュースを誤嚥することなく、小さく吐息を噴き出すだけで済んだ。

これが三度目の正直である。


「これが暴力?あんた達が国民に対して行っている愚劣な行為に比べたら蚊が刺すほどにもない可愛らしいものだ…あんたらが黙殺しまくっているデモほどの行為ですらない!それに国民の暴力は当然のこと、表現や言論の自由すら奪っていて何吹いてるんだよ」


続くぞ! 国会議員に必要なものは見た目でも人柄でもない 国民に真に尽くそうとする矜持だ そしてそれを持っている議員は皆無に等しい 政治家の行為の裏の意味を全国民に正しく周知できえたのならば 革命はもはや必然である!

ドンドン権力者の思い通りになっていく世の中止めるのに日和ってるやついる〜っ いねえよなあ!

「足元の現実的な問題の話もしようじゃないか。物価高対策はどうする。一般人の感覚だとスーパーで買い物する時に少なくとも5割近く値上がりを感じるんだが。米に至っては10割増し」

「そうそう高ーいっ。私もコンビニに行った時に高くなったわって感じるわよ」

「お、お嬢様もコンビニ行くのかよ…」

驚いて聞き返す。

「お忍びでねっ!コンビニスイーツだーーーーい好き!」

「いっそ皇居内にコンビニ作れよ…」


「物価高騰に対する支援や、中小企業等の賃上げ環境の整備をはじめ、生活者・事業者の方々に対する必要な支援を速やかにお届けできるよう、地方公……」

「真っ先に考えたのが最低賃金の引き上げ。全国一律で時給1,500円程度に引き上げるというのが非常に効果的だと思う。地方創生、東京一極集中を緩和し同時に物価高にも対処できる。他にも様々な恩恵や、正の効果が国民にもたらされると考えている。ちなみにもちろん国の金でな。しかし、最低時給の大幅な引き上げというのはどうシュミレートしても不公平感が生まれる可能性が高い。そこでやはり消費税なのだ。」

「しょ、消費税は食料品については期間限定で0%にするよう審議しています」

若干食い気味に高市は述べた。


「オレンジジュースお代わり!」

どうもこの国のトップと話しているとオレンジジュースが進むようだ。

「足元見過ぎなんだよ!消費税が0とか話にならん。消費税はマイナス60%だと言いたいところだが、現実的な数字としてマイナス40パーセントだな。大体時給1,500円のとある一般人がフルタイムで働いて、またごく普通に生活していてエンゲル係数が40パーセントを超えてしまっている。」

「○ル○係数は200パーセント超えてそうだけどね」

突然のお嬢様のツッコミにオレンジジュースを喉につまらせてしまった。


JK服のウエイターがトントンと背中を叩いてくれた。

「え、エンゲル係数がだな…」

「ガ○○係数は300超えてたりして、自重しなさいこの浮気者め」

「お嬢さまご、後日その話は話し合おう」

「仕方ないわね」


「トニかーーーーーーーく。エンゲル係数をほぼ0にして可処分所得を上げることが今政府がやるべき最優先事項なんだ。世界に恥ずべき最低時給も当然段階的に、迅速に上げていくべきだがいかがお考えか?」

「財源はどうするのかしら?」


続くぞ まずこの日本から弱者を一人残らず救い上げる そしてその流ればやがて世界へと波及する 

「セキュリティークリアランスそしてスパイ防止法。悪名高い治安維持法の再来だと言われているらしいが、太刀の悪いのは民間人を利用するということ。もし何かあった時政府は責任を取れるのか?取らないよな」


※治安維持法

背景‘1917年のロシア革命や、戦後の社会運動(労働運動、共産主義運動)の高揚に対し、支配層が危機感を抱いた。


「国家は正義として信奉されなければならない。この前提条件を守るため、国家による過ちが起きた時、どんな汚い手を使っても隠蔽し闇に葬り去る。ある意味では国家も法人のようなもので過ちが起きることは仕方がないかもしれない。だからこそ過ちが起きた時は過失を認めしっかりと補償をするべきなのだ」

「ふわっとした考えね。日本は法治国家です。国であっても法のもと裁判で負けたのならば補償等はしっかりします」

何も悪びれる様子もなくしれっと言い放つ。


「何もかも遅いんだよっ。直近では飯塚事件。第一次再審遺族により請求されたが、棄却。第二次再審新たな目撃証言や、当時のDNA型鑑定の信用性(警察の組織的な捏造疑惑)を理由に2021年に請求。2024年6月に福岡地裁が再審開始を認めない決定を出し、2026年2月16日、福岡高裁も即時抗告を棄却した。これに対し弁護団は最高裁に特別抗告を行っている。国は話し合いの場に立ちもしないじゃないか。袴田事件は言うまでもないだろう。他にも国家に明らかに過失があるにも関わらず頑なに非を認めない事例は数えきれない程あるが、その最たるものが優生保護法による強制不妊手術などだ」


「ちょっとそこのあなた。ワイルドターキー8年ものをロックでお願いできるかしら」

「かしこまりました」

JK服を着たウエイトレスは慣れた手付きで透明な氷をいかにも高価そうなグラスに入れ、トクトクとウィスキーを注いだ。

「優生保護法による悲劇は確かに国に非があり2024年に最高裁による違憲という判決を下されたわ」

カラリとグラスを鳴らすと物憂げな表情を作りワイルドターキーを口に含ませた。


「だから遅いと言っているんだよ。国家が非を認めるのをあえて引き伸ばす理由は一つだろ。払う金を少しでも減らせるため」

「どういうことかしら?」

「補償すべき人間が減るからだろ。万人に平等に流れる時というものは当然のことながら人々に死をもたらす。結果どうなるか?国が払うべき補償金を払うべき人間の母数が減るのだ」


「そんな事考えたこともなかったわ。あなた性格が悪いって言われないかしら」

「オレンジジュースお代わり!後タン塩2本」

注文を終えると大きく息を吸い込んだ。

「国家が蛇の如く残酷すぎるから、こちらも蛇になって対抗するしかないんだよ。国家というものは時に人の想いや夢、普通に生きたいというささやかな欲求さえ侵害し、ただ利己的になりうるのだ」


続くぞ こん中に思想の自由を侵害されかかってるのに国に日和ってるやついるぅ? いねえよなぁ〜

「なんでしょう」

ウエイトレスは静かな口調で、しかし聞く人の耳にはしっかりと届く声で答えた。

「先ずはあなたのその制服、JK服だけれども制服での業務はいかがなものかしら」

「これは制服で着用しておりますので問題ないかと思われます」

経営者の趣味の問題らしい。

「あなた完全に未成年よね。アルコールを提供する店で働くのはどう考えても問題ではないかしら」

この年代では高校生かどうかは見た目で判断するのが難しい年代ではあるが、確かに制服着用というのを差し引いても女子高生以下には見える。

「仰ることは一理ありますが、人手不足の問題もありますし。法律上もアルコール提供店で未成年が働くことは禁止されていません。コンセプトカフェというものもございます。一言で申し上げますと需要があるから供給もあるのです」

淀みなく答えが返ってきた。


若干頭を抱えながらもなおお嬢様は食い下がる。

「ではそのスカートはいかがなものかしら。一体膝上何センチの丈なのかしら」

「15センチでございます」

「ご自分でどう思うのです?」

「需要と供給でございます」

「…」


「コホン」

一つから咳をし、それはそうとセキュリティークリアランスだと言わんがため総理席に目をやるとなんと空席であった。

バタン

その時少し乱暴気味にドアから入ってきた者がいた。

その人物は躊躇なく総理席にどっかりと腰を下ろした。

「誰だ貴様は!」


「おっほっほ。石破ちゃんから聞いてた通りやわ。私は…」

総理席に腰を据えたのはショートカットの気の強そうな女性であった。

「自己紹介は結構。しかしよく首の変わる日本の総理だな。とはいえ憲政史上初の女性総理大臣おめでとう」

「名前を知っていらして光栄やわ〜。そう私が第104期内閣総理大臣高市早苗でございます」

背筋をピンと伸ばしまっすぐにこちらを見つめてくる様は自信の塊であった。

「男女平等の世の中。あなたが女性であっても忖度はしないからそのつもりで」

「まあ怖い。おばちゃん震えちゃうわ」

言葉とは裏腹に余裕を笑みは一切揺らぎがなかった。


「先ずあんた達の根本的本質が権力者の傀儡であることは何も変わらない。はっきり言って人民の政治だなんていうのは詭弁でしかない。」

「そんな根も歯もないことを言われてしまったらどうしようもないじゃない」

総理は呆れ返ったといういう風にため息をついた。

「そうだな。全国の小学生、中学生、高校生、大学生から『ランダム』に抽選された若者たちでディベート形式で政治したらどうだ。絶対に世の中変わるぞ。もちろんいい方向にな。ちなみにこのランダムというのがミソな。セキュリティークリアランスのように国や権力者の選定でないということが必須条条件だ。意味は言わなくてもわかるよな?」


「若者の可能性は信じるわ。しかし政治となると様々な経験。また世の中の情勢を知る必要があるわ。ちょっと無理ではないかしら」

「変わる!小学生の好奇心、中学生の冒険心、高校生の正義感、大学生の知識と清廉さ。これだけ揃えば世は変わる。」

「ランダムでないとJだけ選ぶ人出てきそうだしね」

こそっとお嬢様が横槍を入れてきたが無視しておいた。


続くぞ! 上位数%の権力者が自分達の都合の良いよう 世の中を掻き乱し操作する構造が変わらない限り

「ITだよIT。ITちょっと勉強したら馬鹿でも月収20万は稼げるから。勉強も調べることもしないでぐちぐち言ってるやつが悪い」

いつの間にか出現していたもう一つのモニターから四角い顔の男が一気に捲し立てた。


カチカチ

俺はイラつく感情を吐き出すようにボタンを追加で押した。

コツコツという靴音と共に一人の少女が現れた。

しかし、室内が暗いせいで年齢の程はよく判断できない。

「お呼びでしょうか」

落ち着いた声からも年齢を判断することは難しかった。


いずれにせよ傍に置いていた『メニュー表』を手に取るとオレンジジュースと、焼鳥盛り合わせをおーーダーした。

「お子ちゃまね」

久しぶりに口を開いたお嬢様の目はとろんとしていた。

お嬢様には先程からの長々としたやりとりは少々難しかったようだ。

「好きなの頼めよ、奢らないけどな」

「全て無料です」

間髪いれず『ウエィトレス』が口を挟む。


オレンジジュースをごくりとやると、タン塩と思われる串を一本平らげる。

口の中が空くと一つずつ野次とも質問とも取れる低俗な問い掛けに応えていく必要があった。

「感想ですが何か?データはないがそれがどうした。データには現れない起こりうる外れ値を、人間しか持ち合えない想像力で補って警鐘を鳴らしているつもりだが」


「そっちの四角い顔のやつへの答えはこうだ。確かにITの可能性は無限大だが誰でもITで稼げるというのはあまりに短絡的だ。年齢性別や環境によって稼げない人も往々にしている。努力で超えられない壁もあるんだ」

オレンジジュースで喉を潤すとついでのように言った。

「それから例の集団自決発言の連れに伝えてくれ。変なこというのはキッと壊れたメガネのせいだから直してから囀れとな…」


コホン

「3つほど良いかしら」

そういうとお嬢様はキッとウェイトレスへ心なしか厳しげな視線を向けた。

ウェイトレスはウェイトレスでお嬢様の真っ直ぐな視線を正面からしっかりと受け止めている。

バチバチとした視線が交錯している。


続くぞ! 国家があくまでも利己的である限りな