「これからキリストの復活の儀式をするんだよ」 

「は? なんだそれ」

「儀式には処女が必要だから処女になって はな姫、俺のマリアになってよ」

 

多分はな姫はその時すごくまぬけな顔をしてキリストを見つめた

じゃなくてTさんを見つめた

 

えーっと。。。

マリアってキリストのママだよね?

マリアはママのくせに処女なん?

 

私の頭の中になぜか 

教会の十字架の前でお祓い棒をふりまわすお坊さんの図が浮かんだ

 

「むりむりむりむり 処女なんて…」確かにうんちと別れてもう1年以上処女だがw

 

ゲラゲラ笑うマリア私に向かって大真面目な顔のTさんが

「むりじゃない」

「ええええええ目 てか、ほんとなにそれ?」

「だからこれから移動してさ」

「移動って どこへ?」

「ふたりきりになれるとこ」

「んあ”?」

 

ちょっとこのひと何言ってる?

真顔でおかしなことを言っているTさんに私はなんだか背中がうすら寒くなるのをおぼえた

 

「もーーー やだー むりー 疲れたから帰るわ!ごちそうさまでしたー」

 

私はくるっとまわってTさんに背を向けるとさっさと車に乗り込んでその場を走り去った

 

一体どういう冗談だ?

コ〇ナでおかしくなっちゃった?

それとも何かのテスト?私なんか試された?

 

Tさんとサークルで知り合って何年経つかな

軽口たたいて笑って でもそれ以上親しくなるわけでもなく

私は彼に女の顔を見せた覚えはない 一度もない

いやいや他の誰にだってないわ 

強いボールを打たれてふざけて「きゃああこわ~ぃ やめてよぉ」言うことはあるが。その後倍返しで打ち込んでとどめさしてやるし

 

 

こんなこと言いたくないがふたまたうんちヤロー以外はオトコじゃなかったから

うんちが消えてロジャオさんを意識するようになって今はロジャオさんだけにはせっせと乙女アピールをしているけど

 

結局Tさんはなんだったんだろう

OKってついていったら私はどこに連れていかれたのだろう…

そんなことを考えて運転してたけど家に着いてあれこれ家事をしていたらそんなことすっかり忘れていた…

 

サークルで気まずくなるのはいやだなぁ

望んだわけじゃないけど奢ってもらっちゃったのできっちりお返しはしよう

借りを作ったままなのはいやだわ

 

次のサークル日に私はあっけらかーんとTさんに

「先日はごちそーさまでした! これ晩酌のお供にどうぞ♪」

そう言って柿の種の大袋を渡した。

 

それ以来何度か顔を合わすことはあるけれど

復活祭やら処女やらマリアやらについて尋ねたことは一度もないし向こうもふれてこない

 

でもほんとにあれはなんだったんだろう

何かのお誘いではあると思う

まさかまさかのまさかだったのかしら…