当時の日活のオールスターキャストで、落語の「居残り左平次」をベースに他の幾つかの江戸落語を引用したストーリーです。
落語を元にしてあるのですが、全く落語を知らずに観ても充分楽しめました。群集劇のコメディーでそれぞれのキャラクターが生かされている。一幕劇ではありませんが舞台は全て遊郭の中で起きるし、今の日本の映画でいうと三谷幸喜の映画に近いかもしれません。
役者は適材適所だし、とにかく脚本がよく出来てます。原作があるものって、みんなあらすじ知ってるでしょっていう甘えがあるのか説明不足になってたり、原作を知らない人には理解できないセリフが入ってたりするんですけど、そういうのが無いし。でも、あとで落語を知ってから観るとすごくうまく引用しているんです。
役者では、とにかく主演のフランキー堺が素晴らしすぎます。声が良いし、芸達者だし、なんていうか身のこなしとか居住まいの軽みが観ているだけで気持ちいいです。それなのに陽気さだけじゃなくてクールさも持ち合わせている人物造形の深さもあるっていう・・・参りましたって感じです。若い岡田眞澄や梅野泰靖も、今の役者には無い居住まいのよさみたいなのがあります。
女郎役の南田洋子、左幸子、奉公人の芦川いづみが物凄いキレイです。この映画をカラーで観てみたい気もするのですが、モノクロ特有の女優のキレイさもいいです。昔のジャンヌ・モローとかオードリー・ヘップバーンとかね~人間離れした美しさがありますよね。
他にも、石原裕次郎、小林旭、二谷英明、金子信雄、殿山泰司、山岡久乃などスーパースターから名優と呼ばれる人までいろいろ出ていますが、わたしの年でぎりぎりわかるくらいの人たちなので若い人は知らないかもしれません。50年前の映画なのに菅井きんさんがもうお婆さん役なのは面白かったです。
本当に丁寧に撮ってあって、何度でも観れます。
お笑いが好きな方にはおすすめです。これを観て面白ければ志ん朝の落語を聴いて、そのあともう一回観ていただくと最高に楽しめると思います。