まずはじめに、すべてのブログ内容はあくまでも「個人的な見解」であることを明記しておく。

 

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さてさて、本日はいわゆるインキツボキーの開度を決める「インキングデータ」についてのお話です。

 

みなさんいつも何気なく使っているインキングデータ、どうやって作られているか理解していますでしょうか?

 

指定されたジョブのボタンをポチと押せばあら不思議!インキツボキーの開度が「自動的」に入力されます。

 

この「自動的」という部分を理解されていない方が多いなーというのが率直な感想です。

 

自分が知っている範囲のオペレーターさんに限って言えば、だいたいの人が「製版側が作るインキデータ」みたいな理解をしていて「大丈夫か?」と思う事が多々ありました。

 

そもそもこのデータ、製版側では印刷機の「インキデータ」というよりもインキキー毎の天地方向に対する「絵柄面積率データ」でしかありません。

 

例えば、天地方向の印刷範囲が600㎜で絵柄が天地方向に対して300㎜のベタだったとします。

 

すると、絵柄面積率データとしては一つのインキキー幅で50%ということになるわけです。

 

これはインキデータではなく、あくまでも「絵柄面積が50%ある」というだけのデータでしかありません。

 

ここから先は本来的に印刷機側での処理になるわけですが、この部分から理解不能になる人が多いのが実情です。

 

製版側から「〇〇番のインキキーの絵柄面積率は50%」というデータに対して、印刷機側では「絵柄面積率が50%の場合、インキキー開度は30」と新台搬入時のテスト印刷結果からメーカーによってあらかじめ設定されているにすぎません。

 

デジタルデータ(厳密に言えばデジタルとは言わないかも)である「絵柄面積率」をアナログデータである「インキキー開度」に変換しているわけで、この変換数値は印刷機側の「設定値」に依存するだけであり、印刷機上のインキングデータはすでにデジタルデータでは無くなっています。

 

なので、そもそもインキングデータをなにも触らずそのまま印刷する為には、このインキングデータを設定した条件(ゼロセットや湿し水、温湿度など)を「常に」維持していなければいけません。

 

「インキングデータ通り印刷すれば色調が合う」では無く「常に印刷機のインキツボゼロセットを含めた設定条件が同じであれば色調がほぼ合う」という理解をしてください(経年劣化する部分もありますので)。

 

例えば、インキキー開度が30の場合でインキ皮膜10μ、ベースとなるゼロセットがインキ皮膜8μと仮定してインキ元ローラー(フォンテンローラー)上のインキ皮膜は便宜上18μとします。(あくまでも仮定の数字)

 

この設定であれば呼び出し(ダクター)ローラーに転移していくインキ量は単純計算だと9μとなります。

 

この数字が9μであれば最終的に印刷結果が設定通りになるとした場合、このゼロセットが狂ってしまうと基準となるインキ量が狂ってしまう事になり、いつも通り印刷しても同じ色調にはならないわけです。

 

この理屈を理解していればゼロセットが15μとかに狂ってしまうと、そもそも基準の「9μ」が維持出来ないのは簡単に理解出来ますよね?

 

よく「インキングデータはぜんぜん使い物にならないからほとんどそのままでは使ってません、ある程度自分でいじっています」と聞きますが、これは先に述べた理屈が理解出来ていない証拠です。

 

これは新台搬入時の設定条件が維持出来ていないだけなのです。

 

(まあ、この設定をメーカー任せにするのもどうかとは思いますが)

 

製版からくる「インキングデータ」は「そのままで色調が合う」なんていう誤解をしているのは営業トークにうまくのせられて印刷機購入の判断をする経営陣だけにしてもらいたいものですねー、間違っても印刷オペレーターにはこんな理解をしてほしくありません。

 

蛇足ですが良く印刷機メーカーの営業マンが「誰でもすぐ印刷出来るようになります。色出しも数十枚で大丈夫です」みたいな営業トークをしますが、そのウラには声に出さない「ちゃんとした設定がされてれば」「ちゃんとメンテナンス等維持管理が出来ていれば」「ちゃんと環境が整っていれば」というたらればの大前提があるわけですので、嘘はついていませんが鵜呑みにはしてほしくないですね。

 

というわけで、今回は「インキングデータ」は「色調データ」ではありませんというお話でした。

 

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「ここ間違ってるよー」とか「こんなことも書いてー」ということがあればコメント欄にお願いします(o´・∀・`o)ニコッ♪