母の不倫の話です

翌日、仕事から帰ると母はお酒を飲んでいた


母『奥さん、来たよ…』

私『そうなんだ。何でバレたの?』

母『携帯にメールが残ってたんだって。携帯の履歴はその都度削除する約束だったのに。保存してあるメールが1つだけ残ってたんだって』

内容はわからないけど、彼にとってずっと残しておきたい母からのメールがあったのだろう

母は否定した


ただのお友達の1人です
メールは皆でふざけて送り合っていたうちの1通
何でそれだけ保存してあったのかは私にはわかりません


奥さんはもちろん納得はしていなかったようだが、他に証拠がある訳でもないので仕方なく帰っていった


母『何を言っても死人に口なしだからね』


【死人に口なし】


父が亡くなってからの母の口癖だった

母は父が亡くなってからどれだけ父に語りかけたんだろう
どんなに心の中で語りかけても何も答えてはくれない
どんなに求めても何も返ってこない
ただ写真を眺め想い出にひたるだけ


でもこの時は違う意味の言葉だった

自分が口を割らない限り不倫関係がバレることはない

結局、それ以来、奥さんが来ることも連絡してくることもなかった