母の不倫の話です

『お父さんが死んだ時とどっちが悲しい?』

思わず口走った後、まずいことを言ってしまったと思った

母は

『○○(私)の気持ちはわかるけど、そんなこと聞かないで』

と、泣いていた
聞いちゃいけないこと聞いてしまった

なんでこんなこと聞いちゃったのか今でもよくわからない

『もちろん、お父さんだよ』

という答えが欲しかったわけではないと思う


私はお父さん子だった
お父さんのことが大好きだった

父は病気になってしまい、闘病生活は1年で終わってしまったけど、母は献身的に看病していた
入院生活では泊まり込みだった
その間私達兄弟は平日は近所の親戚の家に泊まり、休日はいとこの家に泊まった

兄弟がいたので寂しくて泣いた記憶はない

親戚の家で寝ていたある日、夜中に起こされた

これから病院に行くよ

病院着くと母が

『お父さん、死んじゃった』

って、泣いていた

私達も泣いた
けど、私はまだ子供だったのでまた会えるって思ってた

葬式が終わってから

そうか、もう会えないのか

じゃ手紙を出そう
オリジナルの天国への郵便ポストを作ったり

手紙も届かないのか
じゃ心の中で話しかけよう

とか色々試したりして

歳を重ねるごとに【死】というのを理解していったと思う

父が居たら、母は不倫なんてしなかった
それは当たり前のことだ

じゃ彼が死んで
父と彼が同じ場所に行ってしまった今、母はどちらを選ぶんだろう

そんなことを無意識のうちに考えていたのかもしれない