母の不倫の話です
それから変わらず母は彼と会っていた
一つ変わったことは、私に彼のことを話すようになったこと
『別れようとしても、別れてくれない』
『しつこいから付き合うことにした』
『離婚するから一緒になろうって言われたけど、結婚は面倒くさいから断った』
そして、彼の奥さんの悪口を言うようになった
『奥さんは、宝塚歌劇団に夢中で家のこと何もしないんだって』
『もう夫婦とかそういうのじゃなくて、同居人のような関係みたいよ』
『夜遅くまで働いて帰ってもご飯もお風呂も用意されてないって…』
今、この歳になってみると、そんなの不倫男の常套文句だってわかる
でもこの頃の私は鵜呑みにしていた
(じゃ、浮気されても仕方ないのかな?)
(その人も可哀想なの?)
そんなふうに思うようになり、母は誰も傷付けていないんじゃないかと、自分を説得した
だけど、母にもいろんな葛藤があったと思う
ある日、家に帰ると母の二つ折りの携帯が真っ二つに折れていた
彼に別れ話をしているのに、何度もしつこく連絡してくるから壊した
そう話しているそばから、家電がなり私が出ると彼からだった
『○○だけど、お母さんいる?』
ぶっきらぼうに偉そうに言われたので
『居ません』
と言って電話を切った
母は笑っていた
これで母は新しい一歩を踏み出したと思い、今度ころは私達子供にもきちんと紹介できるような人と出会って欲しいと心から願った