アンダーグラウンド / 村上春樹 | ひかりこの読みログ

ひかりこの読みログ

活字中毒。読んだ本を忘れないために書いてます。ネタばれありなのでご注意ください。

アンダーグラウンド (講談社文庫)/村上 春樹

¥1,166
Amazon.co.jp

内容(「BOOK」データベースより)
1995年3月20日の朝、東京の地下でほんとうに何が起こったのか。同年1月の阪神大震災につづいて日本中を震撼させたオウム真理教団による地下鉄サリン事件。この事件を境に日本人はどこへ行こうとしているのか、62人の関係者にインタビューを重ね、村上春樹が真相に迫るノンフィクション書き下ろし。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

正直に言うと、ノンフィクションだと知らなかった。
絶賛村上春樹月間だった時に勢いあまって手に取った本。
普通の小説だと思ったし、内容もよく知らないまま...

なんか分厚いなぁ~、上下巻じゃないのかな?なんて...

もちろん、そんな軽い気持ちは見返りの説明や、開いた瞬間に消えたのだけど。

アンダーグラウンド、と言うタイトルが秀逸。
あとがきを読んだ後に、このタイトルが
ただの地下鉄を表す言葉と言うだけではないことを知ることになり、
その深い意味と作者の思いに胸が苦しくなる...

いまだかつてこんな本があっただろうか?
こんなにも詳細に、一人ひとりに真摯に向き合い、
彼らの事故当時だけではないそれ以前それ以降の人生を、
その思いや憎しみ怒り、またそれだけではない複雑さをも受け止め
しっかりと記録しそこから広がるものを感じさせ...

どんな事件でも、どんな事故でも、テレビやネットのニュースだけでは分からない、
「一人ひとりの顔」を感じさせてくれた。

1995年3月20日、朝。
ラッシュで沸く地下鉄。

そこに思いがけない悲劇が襲ったことを、もちろん私も知っている。
ただ、あくまでも「事実として」と言うだけ。

当時の私はまだ若く、日常的に地下鉄を使用する生活は送っていなかった。
幸い?身近な人たちも、JRの利用者がほとんどで...

恐ろしいことだと思った。
日本も末期だと思った。

でも当時、まだそこまでものを考える人格も出来上がっていなかった私は、
阪神淡路の震災と同様、「対岸の火事」としての見方しか出来ていなかった
(と思う、今となっては)。

その後のマスコミによるオウム狂想曲も、
裁判沙汰も全部ニュースとしては見たけれど、
こんな風に被害状況をリアルに描いたものは何一つなかった...

そしておそらく、当時の私が読んでも、その分厚さと繰り返される談話に、
途中で読むのをやめていたかも知れない。

あれから20年。
私も相当に大人になった(と、思う←こればっかり/苦笑)。

今だから、読んでよかったと思う。
あの頃には読みとれないこともきっとあったと思うから。

被害にあって亡くなられた皆様、そのご家族、
職務を全うしたが故に命を落とした職員の皆様に、
改めて追悼の意を。

そして被害にあいながらも一生懸命に毎日を送っている
皆様にも改めて心から頑張ってと伝えたい...

こんな詳細なルポを書いてくれた作者に感謝。
きっと根気のいる作業だっただろうと思う。

続編もあるそうなので、可能な限り読んでみたい。