
¥802
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内容(「BOOK」データベースより)
連続する幼女誘拐事件の捜査は行きづまり、捜査一課長は世論と警察内部の批判をうけて懊悩する。異例の昇進をした若手キャリアの課長をめぐり、警察内に不協和音が漂う一方、マスコミは彼の私生活に関心をよせる。こうした緊張下で事態は新しい方向へ!幼女殺人や怪しげな宗教の生態、現代の家族を題材に、人間の内奥の痛切な叫びを、鮮やかな構成と筆力で描破した本格長編。
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これ、「オチでびっくりする小説」にあげられておりまして。
そう言うの大好物なもので手に取ってみました。
でも、「オチでびっくりするぞ...」と自分に言い聞かせすぎたせいか、
中盤あたりで薄々気付き始めてしまって...
そしてオチと言うか犯人逮捕!の章で、「あ~、やっぱり」ってなりました。
この叙述トリックは気付く人多いだろうね、多分。
違和感を感じる部分があるんですよね、確かに。
「究極のフーダニット」
なるほどそうかもしれない。
でも結局全部の謎は解決していなくて...
最後で判明する犯人の慟哭は、そう言う意味ではきっとまだ終わらない...
そこがちょっと切なくなると言うか
ちょっと消化不良と言うか...
にしても、捜査一課長である佐伯の態度は私から見てもちょっと傲慢かな?
(ちなみに私の中では勝手に遠藤憲一さんで再生されてました/笑)
家庭の事情はともかく自業自得なのに不倫を記者会見で突っ込まれて
「この件とは関係ない」とか開き直っちゃって、
確かにそれを見る家族の気持ちがないがしろすぎるよねぇ...
だからこそ余計に、義理の父である警視総監(だったかな)のセリフが後になって感慨深い。
「警察官は冷静でなくてはならないが、
同時に家族を失わせた者への怒りを忘れてはいけない」
うろ覚えですけど...
ともあれ、義理の父がそう感じるほど、記者会見で開き直るほど、
「家族への愛情」を感じることのなかった佐伯課長。
そっか、だから違和感だったんだな...
犯人側の目線からは、詳細は語られないながらも
過去につらい思いをして引きこもり、宗教に走っていく男の姿が描かれます。
なんでか妙にお金を持っててねぇ。
どんどん新興宗教に散財(財施、と言うらしい)するんですよ。
なんで?どんな職業の人なの?
今はニートっぽいけどどこからお金入ってくるの?
って言う違和感もあり。
まぁでも、新興宗教を小説で書くにしてはかなり綺麗な表現だったと思う。
黒魔術的な、催眠的な話は出てくるけれど、それによって
人生をダメにした人は出てこないし
脱退するのに苦労したりする話もないし。
性的な表現もほとんどない。
小説では新興宗教って悪く書かれがちだけど、
もしかしたら作者はそれほど悪い気持を持っていないのかもしれないですね。
(営利法人、と言いきってたりはするけど、
だからこそ怪しいことはしない!って断定してたし)
でも、この本が出た翌年に、例のサリン事件があるんですよね...
この事件のあとだったら、こんな綺麗な書き方は
世間が許さなかったかも知れないですね。
事実、この作品は幼女連続誘拐事件(多分宮崎勤)を題材にしているようだけど、
そっちの犯人はほとんどオタクと決めつけてる節もあるし。
小説であっても、世間や過去の事象とは無縁じゃないんだなぁ、と思ったり。
それにしても...殺人はやっぱり殺人を生むことになる恐ろしいことだよね...
この犯人だって、つらい過去があったが故の殺人だけど、
それを言い訳にしてたら幼女たちの親みんながまた
他の幼女たちを手にかけてもよいってなるし
そうなったら世間から4-6歳の幼女がいなくなるわ!
(そしてネタばれだわ!)
そんなことにならないように、本当の犯人もちゃんと見つけてくださいヽ(´Д`ヽ)
お願いします、貫井さんヽ(´Д`ヽ)