ホテル・ニューハンプシャー / ジョン・アーヴィング | ひかりこの読みログ

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活字中毒。読んだ本を忘れないために書いてます。ネタばれありなのでご注意ください。

ホテル・ニューハンプシャー〈上〉 (新潮文庫)/ジョン・アーヴィング

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ホテル・ニューハンプシャー〈下〉 (新潮文庫)/ジョン・アーヴィング

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内容(「BOOK」データベースより)
1939年夏の魔法の一日、ウィン・ベリーは海辺のホテルでメアリー・ベイツと出会い、芸人のフロイトから一頭の熊を買う。こうして、ベリー家の歴史が始まった。ホモのフランク、小人症のリリー、難聴のエッグ、たがいに愛し合うフラニーとジョン、老犬のソロー。それぞれに傷を負った家族は、父親の夢をかなえるため、ホテル・ニューハンプシャーを開業する―現代アメリカ文学の金字塔。

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現代小説からちょっと離れて文学探索をしてみました。

なんだか不思議な感じもする作品ですね...
「文学」と書いたけれど、まぁそういうほど重たい作品ではなく。
作者としてはきっと気軽な読み物として扱ってほしそうな。

小人症の妹やゲイの兄や難聴の弟。
レイプ。近親相姦。
革命家。

限りなく重たいテーマや人物を扱いながらも、
そこに固執せず違う読み方をしてもらいたがっていると言うか...

私はこの方の作品をあまり読んだことがないのですが、
他にもたくさんの名作を書かれているんですね!
そう言えば「サイダーハウス・ルールも積ん読になってるな~、自分(汗)。

そしてこの作品で大きな影響を与えているのが...

熊。

熊ですよ。熊さん。
この辺がアメリカ的ですよねぇ。
日本ではまず考えられない。

サーカスの熊さんがペットなんです。
そしてこの熊さんが、父と母を結びつけ、
家族を結びつけ、誤射で死んでしまうんですが
その後も家族に影響を与え続けます。
(違う熊も出てきます)

そして「ソロー(悲しみ)」と言う名前の犬。
これも年老いて安楽死させられるのですが、
(ホテルの経営に影響もあって)
ゲイの兄によってはく製として蘇ります。

でもこの悲しみの犬は、彼らの悲しみを
時に代弁するかのように常に物語に顔を出し、
登場人物の心(特に主人公である二男)に存在し、
物語の根底を緩やかに漂い続けます。

夢見がちな父親の行動に家族が振り回される...みたいな
ストーリーは割とありがちかな、とも思うのですが
ただ振り回されるだけでないユニークな家族たちが
この不思議な世界を彩ってます。

下ネタやいわゆるフォーレターワードが多いのも
アメリカ文学っぽい気もする(・∀・)

そう言う言葉である意味自分を飾ってるんですよね。
村上春樹が性交を(と言う言葉を)書きたがるみたいに?(違

ま、ともかくホテルは意外な方向へ行き、
ウィーンへも展開されていきます!

ウィーンは良かったなぁ。
うらぶれたウィーンがあるってだけでもなんかちょっと安心した(笑

で、ホテルや熊や犬やいろんな要素はありながらも、
基本的にこの小説は主人公とその姉を中心にした青春物語だと私は思ってます。

家族が団結して、姉の心を救おうとするシーンなんかいいですよね。
コンプレックスを持った人も、うまく生きていけないと悩む人も、
絶対に必要とされる場面があるって言う。

重いシーンもあるけれど、
最後には救いがある。

読み返すにはちょっとつらいけど
お気に入りのシーンたちは
またいつか再会したいと思える作品でした。