【満月皇】ペリフェラルルーラー第一章第二節③
第一章 新世界への代償
第二節 レニアス・グリント
③
「ねぇねぇミーナちゃん。今日、レニアス先生って来てる?」
「うん」
教室に到着したミーナが同級生に話しかけられた。同級生はスケッチブックを抱えており、ずいぶんとソワソワしている。
「それ、この間の魔法陣?」
「そうそう! レニアス先生に見てもらうの!」
彼女は自信満々にスケッチブックを広げた。
それは妖精と契約する為の召喚用魔法陣。海と幸福の象徴を書き込んだ魔法陣で、スケッチブックの隅にはレニアスの物と思われるサインがいくつか描いてあった。きっと、この魔法陣を描くのに何日も何週間も努力したのだろう。
「それ、この間言ってた、漁のお手伝いをしてくれる妖精だよね?」
「うん。お父さん漁師だから、ちょっとでも助けになるかなって」
「お姉ちゃんも、ブラウニーとか召喚すれば楽になるのに」
「ミーナが手伝ってくれたら、その必要もないんだけどねぇ?」
いつの間にか現れたレニアスに、ミーナは苦笑い。同級生の女の子は「待ってました」とレニアスにスケッチブックを見せる。
「うん。あとは別の紙に綺麗に書き直すだけだね」
「ホント!? やったぁ! ふぅ……ついに、夜遅くまで頑張った成果が……」
本当に嬉しそうに、女の子はスケッチブックを抱きしめる。
「それじゃあ席に着いてね。今日の授業終わって、明日の終業式の後は夏休みなんだから気合い入れてね。特にそこ、寝ないように」
チョークで指摘された男の子三人衆はミーナのように苦笑い。怒らせると怖い事でレニアスは有名だった。
そして授業が開始される。レニアスの専門はシンボルマジック方式の召喚術と理科。昨日採ってきた薬草などを使った簡単な実験が開始される。
そんな中、学年主任の教師が教室へ入ってきた。
「レニアス先生。来てもらっていいですか?」
「え? あぁ~代わりお願いできますか?」
「引き受けます」
レニアスは授業を交代して職員室へ。
職員室では一部の教師が授業を抜けて集まっていた。
「クロエも?」
先に職員室に待機していた同僚は体育の時間だったらしい。ジャージ姿のままお茶を飲んでいた。
「まぁこのメンバーなら、どういう事態かは説明いらないっしょ?」
レニアスは職員室を見渡す。そこに集められている教師は、いずれも戦闘要員。田舎の村なので他の市街に比べて盗賊などの集団に襲われる事はまずないが、魔物の危険に晒される事は数々ある。そんな時の為にこの村は、何人かの戦闘用チームを結成している。ここに集まっているのは、学校組と呼ばれるチームだ。
「ウィル先生が見当たりませんね」
魔法学の教師が、メガネの位置を直しながら唯一来ていない男を捜す。
そこへ、学校長が杖で体を支えながら書類を持ってきた。
「ウィル先生は本日遅刻だそうですよ。さて、みなさん授業中にすみません」
学校長に渡された書類を見て、一同は同様した。
重ねて説明するが、この村は田舎な上に小さい。港がある為に多少の物流システムは整っているが、街と呼べる立派さはなく、ここの住民の生活水準は王都の住民と比にならない。故に、授業を放棄してまで教師陣が集められるのは、ほとんどが急な魔物の強襲への対応である。
だが今日は違った。
王都から来た伝達兵が村の近くで変死、傷口は魔物の物ではなく人工の刃物。伝達兵が持って来たと思わしき書類には、山賊に関するレポートが含まれていたらしい。
「おそらく山賊に襲われたのでしょう。その山賊は現在行方不明ですが、村の近くに来ている事は確かのようです。事が起きる前に、事態を収拾していただきたい」
つまり村周辺の調査と山賊討伐。完全に安全が保証されるまでの任務である。
何度も説明するが、この村は小さくて貧しい。山賊に襲われれば、誰にも知られないまま地図から名前が消えるような村である。
ただ一人、レニアス・グリントという人物を除いてではあるが。
「子供たちはどうしますか? 家に帰します?」
とレニアスが聞く。
「いえ、帰宅中に襲撃があるかもしれませんし、道草する子も居るでしょう」
と冷静に魔法学の教師が答えた。
それもそうかと苦笑しながら、教師陣はツーマンセルで行動を開始した。
同刻、村の出入口であるアーチ状の門の前に白いローブの集団が現れた。
「どなたですか?」
門番は気さくに話しかける。気持ち悪いけど和むと評判の笑顔で。
だが次の瞬間、門番の顔は、吐血した血で染まった。
腹に食い込んだ剣。細く軽く鋭い刃は門番を瞬間で絶命させた。
「ぴゅ~。これが噂に轟く円卓の剣技ですかぁ?」
門番を殺した少年は、静かに血を拭きとった。
「期待してますよ。可能なかぎり破壊してください」
「へいへい。んじゃ行くかね? 王都で轟く最強山賊部隊! エンカウントフェスティバル一行のお出ましだぁぁ!」
少年の後ろに控えていた白いローブの山賊たちが、一斉に村に流れこむ。数分で警報の鐘は響き、村には黒煙が立ち始める。
「さぁ、覚醒の時ですよガウェイン」
イラスト描いたんですがね、とてつもなく微妙だったんで消しました^^;
もうちょい厳密に言うと、描こうと思ってたの次か次の次ぐらいの場面だったというミスがありまして、今回無理矢理描いたけどまぁ・・・微妙でしたと・・・そんな感じです。ごめんなさいm(_)m
シンボルマジック方式
魔法陣や紋章等を媒体として魔法を使う方式です。
まぁ後々説明入りますけども。
第二節 レニアス・グリント
③
「ねぇねぇミーナちゃん。今日、レニアス先生って来てる?」
「うん」
教室に到着したミーナが同級生に話しかけられた。同級生はスケッチブックを抱えており、ずいぶんとソワソワしている。
「それ、この間の魔法陣?」
「そうそう! レニアス先生に見てもらうの!」
彼女は自信満々にスケッチブックを広げた。
それは妖精と契約する為の召喚用魔法陣。海と幸福の象徴を書き込んだ魔法陣で、スケッチブックの隅にはレニアスの物と思われるサインがいくつか描いてあった。きっと、この魔法陣を描くのに何日も何週間も努力したのだろう。
「それ、この間言ってた、漁のお手伝いをしてくれる妖精だよね?」
「うん。お父さん漁師だから、ちょっとでも助けになるかなって」
「お姉ちゃんも、ブラウニーとか召喚すれば楽になるのに」
「ミーナが手伝ってくれたら、その必要もないんだけどねぇ?」
いつの間にか現れたレニアスに、ミーナは苦笑い。同級生の女の子は「待ってました」とレニアスにスケッチブックを見せる。
「うん。あとは別の紙に綺麗に書き直すだけだね」
「ホント!? やったぁ! ふぅ……ついに、夜遅くまで頑張った成果が……」
本当に嬉しそうに、女の子はスケッチブックを抱きしめる。
「それじゃあ席に着いてね。今日の授業終わって、明日の終業式の後は夏休みなんだから気合い入れてね。特にそこ、寝ないように」
チョークで指摘された男の子三人衆はミーナのように苦笑い。怒らせると怖い事でレニアスは有名だった。
そして授業が開始される。レニアスの専門はシンボルマジック方式の召喚術と理科。昨日採ってきた薬草などを使った簡単な実験が開始される。
そんな中、学年主任の教師が教室へ入ってきた。
「レニアス先生。来てもらっていいですか?」
「え? あぁ~代わりお願いできますか?」
「引き受けます」
レニアスは授業を交代して職員室へ。
職員室では一部の教師が授業を抜けて集まっていた。
「クロエも?」
先に職員室に待機していた同僚は体育の時間だったらしい。ジャージ姿のままお茶を飲んでいた。
「まぁこのメンバーなら、どういう事態かは説明いらないっしょ?」
レニアスは職員室を見渡す。そこに集められている教師は、いずれも戦闘要員。田舎の村なので他の市街に比べて盗賊などの集団に襲われる事はまずないが、魔物の危険に晒される事は数々ある。そんな時の為にこの村は、何人かの戦闘用チームを結成している。ここに集まっているのは、学校組と呼ばれるチームだ。
「ウィル先生が見当たりませんね」
魔法学の教師が、メガネの位置を直しながら唯一来ていない男を捜す。
そこへ、学校長が杖で体を支えながら書類を持ってきた。
「ウィル先生は本日遅刻だそうですよ。さて、みなさん授業中にすみません」
学校長に渡された書類を見て、一同は同様した。
重ねて説明するが、この村は田舎な上に小さい。港がある為に多少の物流システムは整っているが、街と呼べる立派さはなく、ここの住民の生活水準は王都の住民と比にならない。故に、授業を放棄してまで教師陣が集められるのは、ほとんどが急な魔物の強襲への対応である。
だが今日は違った。
王都から来た伝達兵が村の近くで変死、傷口は魔物の物ではなく人工の刃物。伝達兵が持って来たと思わしき書類には、山賊に関するレポートが含まれていたらしい。
「おそらく山賊に襲われたのでしょう。その山賊は現在行方不明ですが、村の近くに来ている事は確かのようです。事が起きる前に、事態を収拾していただきたい」
つまり村周辺の調査と山賊討伐。完全に安全が保証されるまでの任務である。
何度も説明するが、この村は小さくて貧しい。山賊に襲われれば、誰にも知られないまま地図から名前が消えるような村である。
ただ一人、レニアス・グリントという人物を除いてではあるが。
「子供たちはどうしますか? 家に帰します?」
とレニアスが聞く。
「いえ、帰宅中に襲撃があるかもしれませんし、道草する子も居るでしょう」
と冷静に魔法学の教師が答えた。
それもそうかと苦笑しながら、教師陣はツーマンセルで行動を開始した。
同刻、村の出入口であるアーチ状の門の前に白いローブの集団が現れた。
「どなたですか?」
門番は気さくに話しかける。気持ち悪いけど和むと評判の笑顔で。
だが次の瞬間、門番の顔は、吐血した血で染まった。
腹に食い込んだ剣。細く軽く鋭い刃は門番を瞬間で絶命させた。
「ぴゅ~。これが噂に轟く円卓の剣技ですかぁ?」
門番を殺した少年は、静かに血を拭きとった。
「期待してますよ。可能なかぎり破壊してください」
「へいへい。んじゃ行くかね? 王都で轟く最強山賊部隊! エンカウントフェスティバル一行のお出ましだぁぁ!」
少年の後ろに控えていた白いローブの山賊たちが、一斉に村に流れこむ。数分で警報の鐘は響き、村には黒煙が立ち始める。
「さぁ、覚醒の時ですよガウェイン」
イラスト描いたんですがね、とてつもなく微妙だったんで消しました^^;
もうちょい厳密に言うと、描こうと思ってたの次か次の次ぐらいの場面だったというミスがありまして、今回無理矢理描いたけどまぁ・・・微妙でしたと・・・そんな感じです。ごめんなさいm(_)m
シンボルマジック方式
魔法陣や紋章等を媒体として魔法を使う方式です。
まぁ後々説明入りますけども。

