おっさん1
「俺も、高橋だから、高橋だなって言われたら、はいって答えちゃうよ。
逮捕されたらどうしよう。
ギャハハハハ」
おっさん2
「そんなことないですよ~」
――
このような会話を電車の中でおじさんが話していました。
これはもちろん本日のビッグニュース「オウム真理教高橋克也容疑者の逮捕」について話していたものでしょう。
ニュースが報じられた当初、
「お前、高橋だな」
というやり取りがあったと伝えられていたようです。
さて、上記のやり取り。これも昨日ブログに書いた「論点のすり替え」の一つです。
もちろん逮捕されたのは、高橋だからでなく、犯罪を犯したからです。
犯罪という論点を、苗字という論点にすり替えています。
本来、議論に役立つべき論点のすり替えは、このように一種の言葉遊びでもあります。
上手にできる人はユーモアのセンスがあると判断されるでしょう。
(このやり取りがユーモアのセンスがあるかは別にして)
そうそう、「論点のすり替え」という言葉は村上春樹の『海辺のカフカ』に出てきました。
四国の私設図書館で働く、一般的に性同一性障害といわれるのでしょうか、体は女性、心は男性の大島さんのセリフです。
不意にやってきたフェミニスト二人を議論を交わす場面です。
個人的にこのシーンは今まで読んだ小説の中でベストカッコイイ場面です。
大島さんも、論点のすり替えは言葉遊びとして古代ギリシャで盛んにおこなわれていたとか言っていた気がします。
話が少しずれましたが、今日の本題。
議論において、効果的な問いの仕方、その2
問いに自分の主張を入れよう!
a,「豪華な海外生活を送るために、あなたは会社のお金を不正使用した!」
b,「豪華な海外生活をするために、あなたは会社のお金を不正使用したのですか?」
ネタ探しにヤフーニュースを見ましたが……
これら二つはどちらが議論を有利に働かせることができるでしょうか?
議論ですので、これらのセリフを目の前の人に言う場面を想像してみてください。
議論は答えのはっきりしない問題に対して、異なる主張をする者同士が意見を戦わせる場面です。
明確な不正は確からしいのですが、明確な証拠は今のところ見つかっていないとします。
あなたは会社の内部監査役です。目の前に疑いをかけられたアナウンサーがいます。
この議論を聞いた、社長がアナウンサーの処分を決めるとします。
結論から言えば「b」の方がいいのです。
まずaとbの違いをあげるのならば、前者は「指摘・糾弾・告発」となり、後者は「疑問・質問」でしょう。
「主張」と「問い」という違いがあります。
この二つの差は、
「主張」には主張する側に立証責任が生れます。
「問い」には主張される側に返答義務が生まれます。
もし、あなたが主張してしまった場合、不正が確からしいとしても、証拠がまだ見つかっていないので立証をするとなればかなり難しいものになるでしょう。
証拠を探し、筋道を立てて相手の違反を明確に社長にに知らしめなくてはいけない。
問いならば何もしなくていいのです。
相手の返事を聞くだけ。
もう少し具体的に見てみます。
a,bの質問をした場合のアナウンサーの答えは大まかに分けて三つくらいでしょう。
それに対する内部監査の答えを書いてみます。
(イ)冷静に「そんなことはありません。何か証拠はあるのですか?」といわれる。
aの場合、主張したからには立証責任があるので何か返さなくてはいけません。
証拠を示すことができなければマイナスポイントです。
b,いえ、質問してみただけです、と言って、立証できないことを逃れることができます。
ポイントイーブン
(ロ)怒ったり、動転したりして「ななな、何を根拠に言っているのですか!?」と返す。
aは怪しい返答として、プラスポイント。
しかし、相手の出方によっては立証しなくてはいけなく、それができなければ逆に付け込まれるマイナスポイントです。
b、何を怒っている(動転している)のですか。図星なのですね。
これは見ている人の印象としては「不正をしているのでは」という強い印象を与えます。プラスポイント。
(ハ)「そうです。不正しました。ごめんなさい」
a,bともにプラスポイント。
このように、問いにしてしまえば、自分にとって不利に働くことがないのです。
単純に自分の意見を言うよりはずっとお得です。
思えば小学生の時、
「お前●●のこと好きなんだろ?」
「ふっざけんな、そんなわけないだろ。ば~か」
「なんで怒んだよ、図星だろ」
というのと同じです。
問いに主張を混ぜて相手の出方を見る。
これは議論における有効な手段といえるでしょう。
まさに、「百利あって一害なし」だ!
「はい」
「逮捕する」