勝海舟語録である。
勝が話すものを口述筆記したスタイルなので、
非常に読みやすく、また臨場感もある。
「政治とは何か」
「人間とはいかに生きるべきか」
この2点について書かれている。
幕末の人物評が多いが、
それも勝なりの正義に照らしてあれこれ語っている。
「日本のただいま不景気なのも、別に怪しむことはないのだ。
とにかく、経済のことは経済学者にはわからない。
それは理屈一方から見るゆえだ。
世の中はそう理屈どおりいくものではない。
人気というものがあって、何事も勢いだからね」
最近は日本の貯蓄率が高いことに目をつけて、
政治家も、いかに貯蓄を吐き出させて経済を良くしよう
と考えるものがいるが、
それはやはり問題があると思う。
つまりは、貯蓄率が高いのも、
将来に対する不安があるゆえなのである。
根本問題の、不安の解消をせずに
無理やり貯蓄を吐き出させると、
民衆の不安はより高まるだけだ。
景気というのは、人々の心理と深い関係にあるということを
忘れてはいけない。
勝もこの本で、貯蓄の重要性を語っている。
政治の根本は、民衆を幸せにすること。
安心して生活できる環境を作ること。
である。
全ての政策はこのことに照らして
考えてみる必要があるのだ。
「維新のころには、妻子までもおれに不平だったよ。
広い天下におれに賛成するものは一人も無かった
けれども、おれは常に世の中には道というものがあって、
楽しんでいた。
~
そんなことはいっさいかまわず、おれはただ行うべきことを
行おうと大決心して、
自分で自分をころすようなことさえしなければ
それでよいと確信していたのさ」
「上がった相場もいつか下がるときがあるし、
下がった相場もいつかは上がるときがあるものさ。
その上がり下がりの時間も、長くて10年はかからないよ。
それだから、自分の相場が下落したとみたら、
じっとかがんでおれば、しばらくすると
また上がってくるものだ」
「その上がり下がりの10年間の辛抱ができる人は
すなわち大豪傑だ」
「全体、改革ということは公平でなくてはいけない。
そして大きいものからはじめて、
小さいものを後にするがよいよ。
いいかえれば、改革者が一番に自分を改革するのさ」
10年の辛抱、気の長い話である。
多くの人はあれこれ理由をつけて挫折するものだろう。
あせらず昼寝でもして待つことがあってもいいだろう。
