AIに「老人と青年の会話形式で進む物語を10000文字以内に作って欲しい。森の中、夜、焚き火を囲みながら話が進む感じで。」
…と作らせた小説が面白くなさすぎたから8割くらい人力で書き直した物語だ。
老人、青年、語りの演じ分けが難しかったが、
朗読の方も聴いてくれたら嬉しい。
画像は昔描いた老人と少年が焚き火を囲みながら話をしている絵で
この物語とは関係ないが、
シチュエーションが似てるから採用した。
雰囲気が伝わればいい。
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🟢老人:風が心地よい夜だな。若者よ、名前は何だ?
🐦⬛焚き火を前に座った老人は青年に語りかけた。
🟦青年:ルカと言います。
🐦⬛何ヶ月か前から、時々森の中で、誰かが焚き火をしているのが目撃されていて、
そこにはボロボロの三角帽とローブを着た老人がいたと、町の噂で聞いた。
ルカはその老人に会いにきたのだ。
🟦ルカ:おじいさん、なんでこんな森の中にいるんですか?
🟢老人:ここは私にとって特別な場所でな。昔は人も住んでおったのだ。
この森には古い物語が詰まっている。聞いてもらえるか?
🐦⬛ルカはこの老人に敵意が無いのを知っていた。
そして老人も、ルカが悪漢ではないとすぐにわかった。
🟦ルカ:聞かせてください。
🐦⬛ルカは辺りを見回し、丁度良い大きさの丸太を拾ってきてそこに腰掛けた。
焚き火と温いそよ風の音しか聞こえない。
まるでこの森には獣も、虫もいないかのような 静かな場所だった。
🐦⬛老人は焚き火の中に枝を放り込み、
真っ直ぐに炎を見ながら語った。
🟢老人:昔、この地域に住む人々は、森の精霊たちと共存していた。
人々は悪しきものから森を守り、そして精霊達は人々に恵みを与えた。
そんな暮らしが何百年も続いたある日、
遥か北の大陸で魔王が誕生したのだ。
魔王は幾万の軍勢を率いて各地を支配していき、
遂には北の大陸全てを掌握してしまった。
森の民も他人事ではなかった。
今は被害はないが いずれこの森、
いや、世界の全てが魔王に支配されるだろう、
当時そんな未来を想像しなかった人間は1人もいなかった。
ある日、森の外から数人の冒険者が訪ねてきた。
そしてその中心にいる少年が「我々は遥か北の大陸を支配する魔王を討伐する為、
旅をしている者だ」と言った。
🟦ルカ:もしかして勇者アレンのことですか?
🐦⬛老人は目だけルカを見て「そうだ」と言った。
🟢老人:アレンがこの地に寄ったのは精霊達の力を借りたかったからだ。
森の民も精霊も、魔王の配下に対して頭を悩ませていた。
そんな時に現れた勇者一行を森の全てが歓迎した。
だが、勇者とはいえまだ子供だ。
力無きものに加護を与えたとしても、魔王にたどり着く前に返り討ちに合うだろう。
そこで精霊たちはアレンに試練を与え、その試練を乗り越えることで彼らの知恵を授けると言った。
アレンは辛い試練に立ち向かい、そして精霊たちから森の叡智と精霊の加護を手に入れたのだ。
🟦ルカ:勇者アレンの力は強大なものだったと聞きます。
その力の一端に、この森で得た加護が関係していたとは知らなかった。
🐦⬛老人は「知らないのも無理はない」と言った。
老人の声色は変わらなかったが、炎が映り込むその目には生気がないように見えた。
🟢老人:それはこの森が、魔王の配下によって滅ぼされたからだ。
魔王は勇者が手に入れた力を二度と誰の手にも渡らせぬように、
この森を焼き尽くしたのだ。
今 精霊がこの森にいないのはその為だ。
森と森の民と精霊は、その時1人残らず滅ぼされた。
🐦⬛老人は枝を強く握った。
ミシミシと音を立て、そして折れた。
老人の痩せた手には、古い傷がいくつもあった。
🟢老人:勇者は絶望した。
自分が立ち寄らなければこの森が消えることはなかったと。
魔王に狙われたのは自分のせいだと、深く自分を責めたのだ。
🐦⬛老人の肩が震えているのが見えた。
🟦ルカ:そうだったのですね。
🟢老人:アレンはせめてもの罪滅ぼしとして、
森の加護を使い、雨を降らせ、木を生やし、森を元の状態に戻した。
しかしもう当時の森は帰ってこなかった。
魔王を討伐した今でも、この森にかつての賑わいは戻らない。
この森でできた友人も、力を授けてくださった精霊達も、
この森にはもういない。
あるのは、強烈な虚しさだけだった。
🐦⬛老人は鼻をすすってから「湿っぽい話ですまないなルカ。これで終わりだ。」
とまた枝を焚き火に放り込んだ。
🟦ルカ:おじいさん、私は 勇者アレンは何も悪くないと思います。
そしてアレンは大きな勘違いをしてらっしゃる。
🐦⬛そう言って立ち上がったルカを、老人は見上げた。
そして、ルカがポケットから取り出したペンダントを見て、老人は驚いた。
それは、森の民の証であるペンダントだった。
老人は「何故それを?」とルカに聞いた。
🟦ルカ:実は、私の祖母はこの森で生まれた森の民の生き残りなんです。
祖母の名前はレゼ。
生前「アレンは私の友人だったのよ」と自慢げに語っていたのを覚えています。
🐦⬛ルカはペンダントを老人の手にそっと握らせた。
ルカの手は温かく、そして懐かしい感覚がした。
🟦ルカ:だから、私の言葉は祖母の、
いや、あなたの友人レゼ、本人の言葉として受け取ってください。
アレン、あなたは何も悪くない。
あなたはよく頑張った。
🐦⬛そう言うと老人は、傷とシワだらけの顔を更にしわくちゃにしながら、
生まれたての赤ん坊のように泣いた。