『目』 ~その3~
男は必死に島村さんに呼びかけたけど、途切れそうな意識の中で島村さんはこう言うんだ
「これで君達の狙い通りになったというわけだ」 とね。
「どういう事ですか?」 そう聞き返した男に、島村さんは
「二人で私を殺して、財産を奪うつもりだったんだろう?」
そう言ったけど、男は強くそれを否定するんだ。
「それは違います、彼女は本当にあなたの事を愛しています!」 そう言うんだけどさ、島村さんは
「嘘を言うな、彼女のような女性がこんな若くも美しくもない男を愛するわけがない」 そう言ってまるで信じてくれないんだ、
そんな島村さんに男は、彼女が泣きながら訴えた事をありのままに話すんだ。
「確かに、この結婚は私から申し込んだものだし、どんな事があってもあの人に尽くすつもりでいたけど・・・ でも愛されていないのは辛いの」 そう言って泣いていたという事をね、
そして、彼女はわざと夫がすぐに自分の行き先が分かるように行動した事や 「もし迎えに来てくれなければ・・・ 」 という、相当の覚悟を決めていた事。
そして、夫からの連絡があった時にとても喜んでいたという事を・・・
男は、島村さんに一生懸命に説明したよ。
それでもまだ信じられずにいる島村さんに
「私の言った事が嘘じゃない事は、あの声を聞けば分かるでしょう」 そう言ってさ、
島村さんも、すこし遠くから聞こえてくる女性の声に気づくんだ。
「あなたー!」 そう叫ぶ女性の声に、男はこう言うんだ。
「暗い山道がどれほど危険か、島村さんももう分かったはずだ。
でも、彼女はあなたの身を案じてこの暗い山道を下りてくるんですよ!」
その言葉を聞いて、島村さんははじめて奥さんの気持ちを知るんだ
(/_・、)
それで、島村さんは言ったよ
「君に頼みがある」 とね、
そして 「何でしょう?」 そう聞き返した男に彼は言うんだ。
「私は今まで 『鬼の面』 をつけて生きてきた、そうしなければ生きてこれなかったからだ。
だが、今ならこの面をとれそうな気がする・・・
私の顔の血を拭いてくれないか?
せめて死ぬ時は人間の顔で死にたい」
それを聞いた男が彼の顔を拭うと、島村さんの身体は糸の切れた人形のように力を失って崩れたんだ。
それを見て、男は必死で呼びかけて・・・ 異変を感じとった奥さんも、より一層必死に声を上げながら近づいてきたんだ・・・。
~つづく~
「これで君達の狙い通りになったというわけだ」 とね。
「どういう事ですか?」 そう聞き返した男に、島村さんは
「二人で私を殺して、財産を奪うつもりだったんだろう?」
そう言ったけど、男は強くそれを否定するんだ。
「それは違います、彼女は本当にあなたの事を愛しています!」 そう言うんだけどさ、島村さんは
「嘘を言うな、彼女のような女性がこんな若くも美しくもない男を愛するわけがない」 そう言ってまるで信じてくれないんだ、
そんな島村さんに男は、彼女が泣きながら訴えた事をありのままに話すんだ。
「確かに、この結婚は私から申し込んだものだし、どんな事があってもあの人に尽くすつもりでいたけど・・・ でも愛されていないのは辛いの」 そう言って泣いていたという事をね、
そして、彼女はわざと夫がすぐに自分の行き先が分かるように行動した事や 「もし迎えに来てくれなければ・・・ 」 という、相当の覚悟を決めていた事。
そして、夫からの連絡があった時にとても喜んでいたという事を・・・
男は、島村さんに一生懸命に説明したよ。
それでもまだ信じられずにいる島村さんに
「私の言った事が嘘じゃない事は、あの声を聞けば分かるでしょう」 そう言ってさ、
島村さんも、すこし遠くから聞こえてくる女性の声に気づくんだ。
「あなたー!」 そう叫ぶ女性の声に、男はこう言うんだ。
「暗い山道がどれほど危険か、島村さんももう分かったはずだ。
でも、彼女はあなたの身を案じてこの暗い山道を下りてくるんですよ!」
その言葉を聞いて、島村さんははじめて奥さんの気持ちを知るんだ
(/_・、)
それで、島村さんは言ったよ
「君に頼みがある」 とね、
そして 「何でしょう?」 そう聞き返した男に彼は言うんだ。
「私は今まで 『鬼の面』 をつけて生きてきた、そうしなければ生きてこれなかったからだ。
だが、今ならこの面をとれそうな気がする・・・
私の顔の血を拭いてくれないか?
せめて死ぬ時は人間の顔で死にたい」
それを聞いた男が彼の顔を拭うと、島村さんの身体は糸の切れた人形のように力を失って崩れたんだ。
それを見て、男は必死で呼びかけて・・・ 異変を感じとった奥さんも、より一層必死に声を上げながら近づいてきたんだ・・・。
~つづく~