恋敵 ~ずっと・その④~
「わたしだって走れますよね?」 そう言った橋爪さんに、主人公も孫もアレッ?って思ったようだけどさ。
「どうやらやっとコイツが出せそうです」 そう言って橋爪さんが懐から辞表を取り出したのを見て、二人ともとてもビックリしたんだ。
橋爪さんは言うんだ
「社長と夢を追いかけた20年は本当に楽しかった 本当に夢のようでした」
「今や若い優秀な人材が育ち もはや私の役目は終わりました
彼女も過去の思いがふっ切れたようですし 今がまさに潮時だと… そう思えるんです」
そんな彼に、主人公は 「男の引き際 …ですか」 って言うと、橋爪さんは苦笑いと照れ笑いが混じったような顔で
「いえいえ そんなかっこいいモンじゃありません」 って言ってさ、ずっと居酒屋をやりたいと思っていた事や、出資してくれる人がいる事を話してくれて 「リスクは無い」 って言ってさ…
それを聞いた主人公は
「なるほどねぇ…
ま それもいいかもしれんねぇ
しかし… 鞠絵さんが困るんじゃねえのかい?」
そうたずねるんだけど、橋爪さんは首を横に振ると
「ETERNITYの原点である明信さんの Zがあるじゃないですか
この車があれば彼女は大丈夫ですよ」 そう答えて、そして深々と頭をさげると言うんだ
「どうかこの Zの事をよろしくお願いします」 ってね。
その、橋爪さんの真剣さに答えて、主人公は約束するんだ
「安心しなせえ この Z…
あっしが日本一のフェアレディに仕上げてみせまさぁ」 と、それを聞いた橋爪さんは帰ろうとしたんだけどさ… そんな彼を呼び止めるように
少し大きめの声で主人公は言うんだ。
「それにしても… 」
その言葉に足を止めた橋爪さんに、主人公はさらに声をかけるんだ
「ずいぶんとくたびれた辞表でしたなァ」 ってね、そしてその言葉に少し橋爪さんの表情は動揺したカンジだったんだけどさ。
主人公は薄々感じていた事を確かめるように次の言葉を投げかけるんだ
「さぞや長いあいだ内ポケットの中に眠っておったんですかな?」
その言葉に、少しだけ困ったような表情をした橋爪さんは 「あなたにはかないませんなァ」 と言ったけどさ。
なにかを確信したように大きくうなづいた主人公は、そんな橋爪さんにハッキリいうんだ。
「アンタも明信さんとおんなじですなァ」
「え?」 と、おどろいた橋爪さんにとても優しい目で主人公はきいたよ。
「鞠絵さんにホレてなさるね?」 とね、そして橋爪さんはというと…
また額をポリポリとかくと、少してれながら言うんだ
「……
…はい
…ずっと」
と。
~つづく~
「どうやらやっとコイツが出せそうです」 そう言って橋爪さんが懐から辞表を取り出したのを見て、二人ともとてもビックリしたんだ。
橋爪さんは言うんだ
「社長と夢を追いかけた20年は本当に楽しかった 本当に夢のようでした」
「今や若い優秀な人材が育ち もはや私の役目は終わりました
彼女も過去の思いがふっ切れたようですし 今がまさに潮時だと… そう思えるんです」
そんな彼に、主人公は 「男の引き際 …ですか」 って言うと、橋爪さんは苦笑いと照れ笑いが混じったような顔で
「いえいえ そんなかっこいいモンじゃありません」 って言ってさ、ずっと居酒屋をやりたいと思っていた事や、出資してくれる人がいる事を話してくれて 「リスクは無い」 って言ってさ…
それを聞いた主人公は
「なるほどねぇ…
ま それもいいかもしれんねぇ
しかし… 鞠絵さんが困るんじゃねえのかい?」
そうたずねるんだけど、橋爪さんは首を横に振ると
「ETERNITYの原点である明信さんの Zがあるじゃないですか
この車があれば彼女は大丈夫ですよ」 そう答えて、そして深々と頭をさげると言うんだ
「どうかこの Zの事をよろしくお願いします」 ってね。
その、橋爪さんの真剣さに答えて、主人公は約束するんだ
「安心しなせえ この Z…
あっしが日本一のフェアレディに仕上げてみせまさぁ」 と、それを聞いた橋爪さんは帰ろうとしたんだけどさ… そんな彼を呼び止めるように
少し大きめの声で主人公は言うんだ。
「それにしても… 」
その言葉に足を止めた橋爪さんに、主人公はさらに声をかけるんだ
「ずいぶんとくたびれた辞表でしたなァ」 ってね、そしてその言葉に少し橋爪さんの表情は動揺したカンジだったんだけどさ。
主人公は薄々感じていた事を確かめるように次の言葉を投げかけるんだ
「さぞや長いあいだ内ポケットの中に眠っておったんですかな?」
その言葉に、少しだけ困ったような表情をした橋爪さんは 「あなたにはかないませんなァ」 と言ったけどさ。
なにかを確信したように大きくうなづいた主人公は、そんな橋爪さんにハッキリいうんだ。
「アンタも明信さんとおんなじですなァ」
「え?」 と、おどろいた橋爪さんにとても優しい目で主人公はきいたよ。
「鞠絵さんにホレてなさるね?」 とね、そして橋爪さんはというと…
また額をポリポリとかくと、少してれながら言うんだ
「……
…はい
…ずっと」
と。
~つづく~