恋敵 ~ずっと・その③~ | TWO ALONE ~二つの孤独~ 

恋敵 ~ずっと・その③~

鞠絵さんを見送る橋爪さんの顔を無言で眺めていた主人公に、先に声をかけてきたのは橋爪さの方だったんだ。

そして、彼はこうたずねたよ


「しかし本当なんですか?

本当にこの車 走るようになるんですか?」 とね。

その言葉に、主人公は

「もちろんですとも あっしの腕を信じなせぇ それに… 」

そう言った主人公は

「アンタ達は笑うかもしれんが 確かにあっしには聞こえたんですよ

『まだ走れる』 『もう一度走りたい』 っていうこの車からの声がね」 そう言って、

それを聞いた橋爪さんは、笑うどころか本当に驚いて

「そうですか 二十数年前のこの痛々しい車がですか… 」 そう言いながら Z に近づいていくと、

そのボディに触れながらいうんだ。

「この車が走れるなら

私だって走れますよね」

と。



     ~つづく~