恋敵 ~男の叫び・その②~ | TWO ALONE ~二つの孤独~ 

恋敵 ~男の叫び・その②~

「アイツ自身の男の叫びだったんだよ」 そんなオヤジさんの言葉に誰もが驚くなか、

オヤジさんは、明信さんが亡くなる三か月前の話をしてくれたんだ

「あれは事故の3ヶ月前にヤツが来た時だった

話しのほとんどはいつものようにZの自慢話だったんだが… 」

そんな風に話し始めて、オヤジさんは当時彼と話した情景を思い浮かべていてさ

彼はあいかわらず 「いやー ホントこの車最高だよ」 なんて話しをしててさ、

オヤジさんは 「なぁアキちゃんよぉ、車もいいけどアンタもいい歳なんだし
嫁さんでももらったらどうなんだい」 っていってさ、でもオヤジさんはその反面 ”いつもの答え” が返ってくるんだろうと思ってるとさ。

彼は、ドキッとしながら

「ヨ… ヨメさん ……かァ」 なんて言ったもんだから、ついついオヤジさんも冷やかすように

「おいおい、いつものはどうしたんだよ
『嫁さんならここにいるじゃないか 最高の貴婦人が!』 ってのはよお」
って言ったんだけどさ、

その直後にピンときたオヤジさんは

「あ… アキちゃん… まさか」 って言ったら、彼も照れながら

「あ、あぁ
ちょっと気になる女が出来てさァ… 」 なんて少し照れながら話してね

まるで、息子の彼女の話しを聞きたがる親父のような感じで

「で?で?どんな女なんだよ」 なんてせかしてさ

明信さんは 「そ そのぉ ファッションデザイナーの卵」 って…

嬉しそうにひやかすオヤジさんに、彼は鞠絵さんの写真を取り出すと

「 …ただ 彼女はまだ22歳… 俺と20歳以上も年が離れてんだぜ


しかも彼女は伸び盛りの金の卵
それに比べて 俺はしがねえ中年カメラマン


どう考えたって釣り合いがとれねよなぁ」

なんつってさ、それをきいたオヤジさんは小さくため息をつくと

いきなり彼の横っ面をひっぱたいて言うんだ

「中年が何だッ!
年なんか関係ねーだろッ

男なら自分の仕事に自信を持ちなッ!!」 ってね。

「オイラ あんたの写真好きだゼ

いつか必ず認められる日が来るさ」

その言葉に勇気づけられたのか、明信さんは

「じ… 実は彼女も俺の写真を気に入ってくれて」 そういうとオヤジさんは

「それならいい女に決まってる 大切にしなよ」 って言って、

その言葉に勇気づけられた彼は

「そうか そうだよな 歳なんて関係ない…

俺だってまだ走れる いや もっと走りたい

そして彼女と釣りあいの取れるカメラマンになってみせるッ」

そう、叫んだんだ…



     ~つづく~