たった一つの事 ~その11~ | TWO ALONE ~二つの孤独~ 

たった一つの事 ~その11~

彼女がたどり着いた時に、もう電源は止まっていて暗闇にたたずむメリーゴーランドはピクリとも動かなかったんだ。

さみしそうに俯いた彼女が 『いい子』 になってあきらめようとした時、主人公が飛び出してきて

「ガキはガキらしくワガママを言ってみろ!」 って言って。

彼女が 「動いて、キラキラと光るメリーゴーランドを見たい」 っていうと、主人公は運転室に入っていって電源を入れて、

それを間近で見ていた 『亜矢』 ちゃんの目は、きらめくメリーゴーランドの明かりを映して輝いていたよ。

そんな彼女の笑顔を見て、どれだけメリーゴーランドを見たがっていたのかに、お兄さんは初めて気づいたんだ。

それで、なおも主人公を取り押さえようとする部下達を制止すると、お兄さんはこう言ったよ。

「ちくしょう、キレイな

メリーゴーランドだぜ」

と。



~終わり~