『俺はこんな金が欲しくておまえにアイスをおごったんじゃねえぞ』 | TWO ALONE ~二つの孤独~ 

『俺はこんな金が欲しくておまえにアイスをおごったんじゃねえぞ』

さて、今回は 『お金の大切さ』 を書いてみたくなったので、こっちに書いてみました。

もっとも、このお話は何度か別のエピソードをあっちのブログで書いてる物語で、分かる人には元ネタが何かは分かると思うんですがね (^▽^;)

そのお話は、父親から何千億という遺産を相続してしまったために兄弟や親せきから命を狙われることになった少年の物語なんだけどさ、ある時プロの殺し屋にねらわれた主人公は、タイミング悪く居合わせた同級生まで巻き込んでしまうんだ。

少年は父親がいないことで、学校でいじめられていたんだけど、そのいじめっ子もその事件に巻き込まれてさ主人公は自分を助けてくれる人の助けを借りながらその殺し屋達を撃退したんだけどさ。

その時、主人公はいじめっ子もその他の同級生も区別しないで助けたよ、その姿を見たいじめっ子は今までの事を反省して主人公にあやまったんだ。

それで、「仲直りしたい」 そう言ったいじめっ子は、主人公を自分の家に呼んでさ、それで主人公の事を話してもらったんだ。

そうして、主人公が自分には想像もつかないくらいに壮絶な生き方をしてきた事をしって、一言だけ…

うなるように言ったよ 「すげぇな」 ってね。

その時さ、下から怒鳴り声が聞こえて聞こえてくるんだ、それを聞いて彼は言ったよ。


『ああ、とうちゃんとかあちゃんがケンカしてるんだ。

 なんでも、とうちゃんが連帯保証人とかになったらしくて
 
 借金のカタにこの工場もとられそうなんだと。

 それまでは、けっこう仲が良かったんだぜ?家族でピクニックに行ったりとかよ』


そう言った彼は、ふとこんな愚痴をこぼしたよ。


『金さえありゃあ、こんなことにはならなかったのかな?』


ってさ。

でも、すぐに気を取り直した彼は主人公に言うんだ。


『大人の事情は大人に任せて、俺たちは外で遊ぼうぜ!』


って、そうして彼は駄菓子屋の前に来るとポケットをゴソゴソと探ってさ、

とりだしたお小遣いでアイスを一つ買うんだ。

取っ手が二つ付いていて、二つに割れるそのアイスを主人公と半分ずつ食べながら


『このアイス、安いけどけっこううまいんだぜ』


そんな話をしてさ、そんな話をして二人は仲良くなったんだけど、それから数日後のことだったんだ。

事件のことを聞きつけた父兄が学校に怒鳴り込んできて、けっきょく主人公は転校することになったんだ。

そうして、そんなある日の朝のこと… あの主人公と仲直りした少年の家の前に、ダンボール箱の中に無造作に大金が入れて置かれていて、その中には ”見覚え” のある字で、こんなメッセージが書かれていたんだ。


『ウチの息子が、お宅の息子さんと遊んでいただいたそうでとても喜んでいました。

「アイスがとてもおいしかった」 と笑顔でおしてくれましたよ、このお金はそのお礼です。

何かのお役にたててください。』


そのダンボール箱を見ながら、その少年は泣いていたんだ。

彼は言ったよ。


『ちくしょう! 俺はこんな金が欲しくておまえにアイスをおごったんじゃねえぞ

     うれしくねえ うれしくねえよ! こんな金。』


彼だって、本当はそんな事はわかっているんだ… この金があれば借金が返済できて、

きっと両親も少しづつでも仲直りしてくれるだろうことは、そして主人公の気持ちだってわかっている。

でも、彼はやっぱり泣きながら悔しがっていたんだ。

そして最後に自分の中の一番大きな気持ちをぽつりと言ったよ。


『俺はただ、お前と友達によぉ… 』


と。